【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第46話「変身-弐-」の感想など【偽夏油の考察多め】

 12/21(木)に呪術廻戦2期第46話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本15巻 ・第133話 渋谷事変50

 単行本16巻 ・第134話 渋谷事変51

        ・第135話 渋谷事変52

リアタイ後の所感:回収された伏線と、さらに張られた伏線

 脹相たち九相図がどのようにして創造され、また仕組んだ人物が誰なのか。そして脹相と虎杖の関係性。今回の話で明確になった事実は今まで筆者も考察してきたものなので、一気に暴いてくれて爽快感があった。また、戦闘シーンはあるものの基本的には偽夏油の説明台詞がメインの回だ。この者が何者で、何を成そうとしているのかを紐解く重要なヒントが散りばめられていたと感じた。今後の展開に置いて伏線となり得る内容も含んでいたので、観ていて気持ちが盛り上がった。

テレビアニメ「呪術廻戦」第46話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 44話で使われていた東堂と新田のシーンを除き、ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

 今回筆者の諸事情により、いつものように最初から最後までをなぞった細かい感想ではなくシーンを限定して述べていく。

・アバン:冥冥と憂憂のシーンの描写が綺麗

 リアタイ時はびっくりして(今までに無いような雰囲気が急に来たので)気がつかなかったのだが、このシーンの描写の美しさに感嘆してしまった。まず、憂憂の照れる描写がすごい。瞳がきょろきょろと彷徨い、瞬きが多くなる表現が細かい。また、窓に映る景色や冥冥、ワイングラス越しに見えるPC画面が美しい。

・アバン:狭い所で小さくなってる脹相

 ホームのせっまい窪みに小さくお山座りをしている脹相。自分のことをお兄ちゃんと言っていたり、ちょこちょこ可愛らしいところを滲ませてくるなと思った。

・アバン:偽夏油と真人の台詞

 結構お喋りな偽夏油。なまず様の呪霊の解説をしたり、呪霊操術の魅力について語っていた。この喋り方がまぁ胡散臭くて胡散臭くて…。後に述べるが「我ながらタフだね、宿儺の器」と溢したり、真人が「知ってたさ、だって俺はオマエらから生まれたんだから」という言葉を残す。非常に意味深であった。

・アバン:呪霊玉にされる真人

 最後まで全力で抗おうとする姿が意地汚くてよい。それが絵や声からも伝わってくる。

・Aパート:自分で解説しといて笑う偽夏油

 呪霊操術についてぺらぺら解説してくれる偽夏油。途中で自分にツボって笑うところは、「何笑ってんの」と虎杖と全く同じ反応をしてしまった。自分で喋っといて自分におかしくなっちゃった感じが絶妙に気味悪い。

・Aパート:偽夏油vs京都校メンバー

 京都校が連携して畳みかけるのにかすりもしないのが非常に腹立たしい。真依の銃弾に気づいたときの息も乗ってるところも良い。三輪が背後から抜刀しようとしている時の偽夏油の表情も余裕でウゲェとなる。

・Aパート:うずまきの描写

 偽夏油がうずまきを発動したときの禍々しい描写も素晴らしかった。劇場版で夏油が放った時とはまた全然違う雰囲気で面白い。あの真人がうずまきに使われているのもあって、気持ち悪さもアップしている。先の台詞で術式の抽出と言っていたが、ここで三輪に無為転変の塊みたいなのを投げてきたのだということがよく分かる描写だった。

・Aパート:脹相合流

 脹相の台詞から今まで謎だった部分が次々に繋がっていく。ここの高揚感はすごかった。伏線が回収されたすっきりさが最高だ。加茂くんが「私?!」となるのは笑った。

 また、弟を殺させようとした仇を取りに来たという点からも、脹相の行動理念が兄弟愛に基づいたものというのが分かってなんだか一気に脹相が好きになってしまった。「どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!!」という台詞もインパクト強くて印象深い。

・Bパート:脹相の戦闘シーン

 ここの戦い方も素晴らしかった。産まれたばかりなのに、洗練された赤血操術を使って巧みに戦う様はめちゃくちゃかっこよい。ただちっとも当たらないのが本当に腹立たしい。先の台詞を裏付けるように、色んな呪霊を使ってひらひらと攻撃を躱す偽夏油。少しくらいは当たってよ!!!と悔しい気持ちになった。「それが弟の前で命を張らない理由になるか?」という台詞もかっこいいが、その後の偽夏油の笑い声がとんでもない嘲笑い加減だった。

 真希が甚爾を見て驚いていたように、加茂も脹相の戦いぶりを見て刺激を受けていた。パワーアップするいい機会になっていればと思うばかりだ。

・Bパート:味方じゃなくてお兄ちゃん

 めちゃくちゃ強そうな敵がまた増えてしまって緊迫した雰囲気が漂っていたのに、「味方でいいんだな?!」「違う!!俺はお兄ちゃんだ」なんてやり取りされたら笑ってしまう。さらっとこういうシーンが挟まれるので呪術界戦は堪らない。

・Bパート:九十九登場

 皆が囚われてしまい、「まずい!!!やられる!!」と思った瞬間に物凄い音と共に現れた九十九由紀。東堂のような頼り甲斐ある背中だ。背丈もあり、体格もいいので直感的に強い…と思ってしまう。東堂のタイプって絶対九十九さん由来でしょうと思ってしまった。

考察・疑問など

・偽夏油と加茂憲倫

 今回の話で偽夏油は加茂憲倫という名前で活動していたことが分かった。ただ、加茂憲倫=本体と捉えていいのかは微妙なところ。加茂憲倫も肉体を利用されていた可能性がある。そしてその予想を裏付けるように、加茂憲倫のカットには額に縫い目があった。ということで、本体はまた別の存在であり、明治前から活動していたという線が濃厚である。偽夏油が加茂憲倫と呪胎九相図の説明をしたのはアニオリ演出ではあるが、よくもまぁあんな風に喋ったな?!と思う程の白々しさだ。全部自分がやったことやろがい!

 また、偽夏油が何故加茂憲倫として活動をしようと思ったのかというのも重要であろう。筆者が予想するには、まず御三家という呪術界での立場が強い環境、そして加茂家の血が欲しかったのでないだろうかと思う。御三家であればその立場を利用して取るに足らない事から上層部しか知り得ない事まで多様な情報収集ができるだろうし、呪具・呪物等何かを物理的に集めることもやり易いだろう。そして加茂家と言えば赤血操術。偽夏油の中身が何に惹かれたのかは不明だが、意図なく乗っ取ることはないだろうから加茂家の血に関しても何等かの利用価値を認めていたに違いない。

ナレーション「加茂憲倫、多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す、御三家の汚点。彼の知的好奇心は呪霊と人間の間に産まれた子の虜となる。九度の懐妊、九度の堕胎。それらがどのように行われ、その後彼女がどうなってしまったのか、一切の記録は破棄されている」(単行本7巻)

・偽夏油が宿儺の器を創造したのか?

 宿儺の器が生まれるように仕向けたのは偽夏油だった可能性が非常に高い。「我ながら流石というべきか。宿儺の器、タフだね」と言っていたので。未だ偽夏油の目的が分からないが、宿儺の器を創造したというならば”宿儺の復活”を成そうとしていると考えるのが一番妥当だろう(宿儺を完全に殺すために~という線もあるが)。ただ、宿儺の復活を成したいならば何故虎杖に強い肉体主導権を与えたのだろうか?宿儺の乗っ取りが即座にできればもっと簡単に復活できるのに。これが縛りなのかそれとも意図的なものなのかが気になるところである。

・”術式の抽出”で何をしたいのか?

 ”うずまき”の”術式の抽出”に何か利用価値を認めているような話しぶり。術式の抽出で何を成そうとしているのか。加茂憲倫が”多くの呪術文化財”を集めていたことや、偽夏油が呪術に関わる色々なことを解説したり「術式は世界か、いいね素敵だ」などと言っていたことを踏まえるとやっぱりこの人物は呪術というカテゴリに対する知的好奇心は並々ならぬものであると察せられる。とするとだ。術式の抽出という事に関しても、いろんな特級呪霊を集めて術式を抽出してはその真価を自分で確かめてみたい~のような探究心がそうさせているのかもしれない。

・偽夏油と呪霊操術の相性

 偽夏油は恐らくめちゃくちゃ呪霊についても詳しいだろう。先にも述べたが、偽夏油が呪術に対して知的好奇心溢れる人物とすれば納得できる(聞いてもないのに色々解説してくれるし)。となると、この呪霊操術という術式は偽夏油にとっては天職(?)のような能力なのかもしれない。この術式の強さや魅力に気づき、呪霊の特色を理解して活かせる程の知識を有するからだ。そう思うと、偽夏油と呪霊操術の相性はかなりよいのでは…と思ってしまった。

メッセンジャーを残したい理由は?

メッセンジャーを必要とする理由は何だろうか。これから自分が喋ること、成す事を呪術師たちに持ち帰って欲しいということだろうが、その意図は?渋谷事変は偽夏油にとって通過点でしかなく、これからまだ事を起こそうとしているのは明白だろう。渋谷事変でこの規模となると、今後は呪術師全員で戦うレベルの話になると思う。となると「呪術師が全勢力をもって宿儺と戦い敗れた」と言っていた過去の歴史をなぞっていくようである。しっかり準備しといてね~みたいな感じでメッセンジャーを必要としたのだろうか。でも偽夏油にとって何が嬉しいのかは未だ分からない。

・裏梅について

 裏梅は宿儺への忠誠心が非常に高い人物と思われる。恐らく一番の優先事項は宿儺(の復活)。偽夏油へはそこまでで、宿儺復活に必要な人物だから協力しているだけ…のような印象。虎杖の肉体は宿儺の肉体だという考えを持っていて、むしろ虎杖が宿儺の身体を勝手に使っているくらいの気持ちでいそう。

・歌姫の術式ついて

 歌姫はこれまで「できるだけ戦うな」「前線に出ていたら意味がない」と言われているので、、戦闘向きではないが味方にとってメリットの大きい術式を有していると思われる。回復系かバフ系じゃないかな~と予想しているがどうだろうか。今のところ回復系のキャラはちょこちょこ出てきているので、歌姫はバフに特化したキャラである可能性が高いか。某ファンパレでもお世話になっている、与ダメージアップとか被ダメージダウンの効果を付けてくれるのではないかしら…。

・冥冥&日下部

今回の話を見て「冥冥と日下部って呪術廻戦の作中では長生きしそうだな」と感じた。冥冥は生に執着しているようには見えないが、それなりに強いというのとここで殺されるのはちょっとな~みたいな所でちゃんと逃げの手段を持っている。日下部に関してはとりあえず基本的に死にたくはないっていうのとめんどくさいのは嫌という節があるので、あんまり前線には出ずにのらりくらりと躱していきそうである。

・脹相の存在しない記憶

 脹相は術式の影響で血の繋がった兄弟の異変は感知できるという。「だからあの時、脹相は混乱していたのか!」とスッキリしたものの、「でも結局あのホームビデオは存在しない記憶なんじゃん…???」となった。つまるところ、脹相もそれなりに東堂属性を有しているということだろう。東堂が今回の場に居合わせたらどうなっていたのだろうと考えてしまう。すごくややこしいことになりそうである。

■次回、第46話について:偽夏油と九十九

 タイトルに「渋谷事変 閉門」とある通り、渋谷事変の幕引きとなる回であろう。九十九が偽夏油にどういうコミュニケーションを図っていくのかが気になるのと、九十九の戦闘スタイル&強さが少しでも分かれば嬉しいな~と思っている。強そうな九十九さんには今ここで偽夏油と裏梅をとっちめて欲しいが、上手いこと逃げられそうだな~というのが筆者の予想だ。それと獄門疆がどっちの手に渡るのかという点についても注目していきたい。どうせ解放されないが、あのまま偽夏油に持っていかれるのはちょっとムカつくというだけなのだが…。解放条件を握っているのが使用者である偽夏油というのが担保されているならば、獄門疆自体は虎杖たちの手に渡っても偽夏油的には問題ない様に思えるがどうなのだろうか?その辺りにも睨みを効かせておこうと思う。

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第、掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 ※アップロード時は割愛。後日更新予定※

以上。

【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第45話「変身」の感想など【東堂最高】【偽夏油の考察まとめ】

 12/14(木)に呪術廻戦2期第45話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本15巻 ・第129話 渋谷事変㊻

        ・第130話 渋谷事変㊼

        ・第131話 渋谷事変㊽

        ・第132話 渋谷事変㊾

 ※筆者コメント:4話という大ボリューム!もう15巻も残すところ1話のようである。2期は残り3話。この感じだと、16巻の後半辺りまでは確実にいくだろう。

リアタイ後の所感:東堂がかっこいい&おかしい、狩る者狩られる者の演出がすごい

 前回に引き続き、東堂の供給に筆者は大歓喜。かっこいいのはもちろん、攻撃を受けて吹っ飛ばされてしまう姿や、真人の黒閃を喰らって血を吐く姿等々、ここまで追い込まれた東堂は見たことがなかったので、非常にヒヤヒヤもした一話であった。うわ~まずいまずいとなったところでネックレスがパカっと開いて謎空間が広がった、あの瞬間の何とも言えない気持ちは忘れられない。若干の気まずさすら覚える素晴らしい演出だった。限界を迎えているだろうに、虎杖が最後決めるとこにちゃんと合わせて出てくるもの最高だった。フェイクで真人の注意を引くというのが何とも粋である。

 また、虎杖が真人を追い詰めた時のあの底冷えするような演出にも思わず唸ってしまった。今まで多くの命を玩んできた真人が一気に”狩られる者”へと転じ、虎杖が圧倒的強者”狩る者”へと転ずるあの瞬間、鳥肌モノのシーンだった。毎度毎度言っているが、榎木淳弥さんと島崎信長さんの表現する虎杖&真人に圧倒される。特に虎杖に関しては、主人公とは思えない恐ろしさだった。ある意味宿儺のような怖さが滲み出ていた。

テレビアニメ「呪術廻戦」第45話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:真人戦

 真人の作り出したフィールド、戦い方、声の全てがしっかり気持ち悪くて関心してしまう。「おいおい俺は仲間外れかい!?」からのテンポ感も堪らない。幾魂異性体という新しい改造人間も出てきたが、芥見先生っぽいな~と思うデザインだった。これまで余裕そうだった東堂が幾魂異性体に先手を取られるところにはヒヤッとした。道路に放り出されるが、その時の弾み方に筋肉の肉厚感(?)があって東堂の肉体の強靭さが表現されているな~と思った。そこら辺に落ちていたハンガーを投げて位置替えし、改造人間の後頭部に打撃を入れる戦い方もかっこいい。その場にあるものを上手く利用して戦うのって柔軟さやクレバーさが見えて好きなのだ。改造人間の仕組みを即座に理解するの所でも「東堂頭よいんだな」と改めて実感。そして筆者がやや沸いたのはこの後の「許せ、憐れな魂達よ」のシーンである。オープニングのやつだ~~~!!!と気持ちもうなぎ登り。この台詞が似合うのも渋くてかっこいい東堂だからこそであろう、流石である。

・Aパート:真人戦(領域展開)

 真人の繰り出す棒状の改造人間は、少しだけ花御vs虎杖&東堂のシーンを彷彿とさせる。懐かしい気持ちになった。また、109を投げ飛ばす等、皆が知っている建物が作中に出てくると現実世界との境界を曖昧にしてくれて一層ワクワクさせられる。また、真人や虎杖の戦い方を見ていると以前から随分成長しているなと思った。120%のポテンシャルを引き出しているという部分がよく分かる。

 予告から領域展開がされることは知っていたが、真人にとって宿儺が問題点である。どう対応するのだろうと思っていたら、五条を真似して一瞬だけ展開するという小技を使ってきた。偽夏油の存在故仕方がなかったとはいえ、結果的に五条先生が敵に塩を送る形になってしまったのが不憫である。最強なので調整されているという点もあるかもしれないが、それにしても上手い具合に五条がMAXの力を出し切れないような展開にもっていかれてるな~と。不穏さしか感じないのだが、芥見先生の描く今後のエピソードを震えて待つしかない。

 そして展開される真人の領域。手がいっぱい出てくる描写はいつ見ても気味が悪い。そして展開されるまでの3者の演出も面白かった。東堂は九十九から簡易領域を教わっていたようで、ちょっとホッとした。しかし東堂や虎杖がそれぞれ対応し切るよりも早く真人の領域展開が完了してしまい、まずいじゃん!!!!とさっき感じた安堵は消え失せる。宿儺に接触してわざわざ煽っていくのが真人らしい。宿儺は薄ら笑みを浮かべているだけで、特に何も言及はしなかった。ちょっと話はズレるが、ここの宿儺の姿勢が好きである。右手を懐に入れているのがかっこよい。

 展開後に真人の手の間から東堂が見えたが、ここの構図も”東堂が真人の術中であること”が分かってよい。東堂の左手が変形するところは筆者、めちゃくちゃ狼狽えてしまった。迷わず手を切り落とす東堂の瞬時の判断力といったら…。まさに(?)恐ろしく速い手刀である。切り落とされた手部は肉塊となり、やがて鋭い硝子の破片のような形で降り注がれる。ネックレスの紐が千切れそうになっていて、さっきは「手がああああああ;;」と思っていたのが今度は「ネックレスがああああ;;」となった。心の中で絶叫しまくりである。ここの千切れそうになる紐も細かく描かれていて素晴らしかった。

・Aパート:真人戦(領域展開?)

 胴体がガラ空きになった東堂の腹部に黒閃を入れる真人。咄嗟に呪力で守ったとはいえ、大量の血を吐き息も上がっている東堂の押され具合は顕著である。真人の無為転変も復活してしまい、これほんとマズい!!!!!と思っていたところで千切れるネックレス。これ見よがしなカメラワーク。そして中身が露わになり、虎杖と高田ちゃんの写真が映し出される。歌も流れ始めたし、視聴者の頭は「??!」でいっぱいだった。真人が「え?…はぇ??え???」と言っていたが、ほんとそれである。真人への共感が過去一だ。筆者はいつもリアタイする際メモを取りながら視聴するのだが、ここのシーンだけ「??!」と「東堂の無量空処」しか残ってなかった。それくらい理解不能。ここから結構な尺で東堂のよく分からないシーンが続くのだが、混乱しすぎて左上の”※東堂のイメージです”の文字をボケっと見ているしかなかった。変な残像を見てしまったかな…みたいな気分だった。リアタイ後に見直してみたが、ぱつぱつのセーラー服を着た東堂がいたり、めちゃくちゃキラキラしててハートもいっぱい飛んでいた。特に見直したからってどうしてこうなったのかは理解できなかった。原作はどうなってるんだ…?と思ったら、ネックレスがパカっと開いて真人が「?」ってなる位のコマしかなくて更に笑ってしまった。原作補完に定評のあるアニメ呪術廻戦、流石である。アニメーションだからこそ、この東堂の謎空間を挟めたのだろう。

 最後高田ちゃんと握手するイメージを経て、東堂が真人の手を叩いて位置替えを発動した。しっかり虎杖に花を持たせる東堂に拍手である。地に横になる東堂は顔色も悪く、手も痛々しい。虎杖が走っていく姿を見届けてから意識を失うのが本当にかっこいい。かっこいいが、心の中では「東堂死なないで!!!!!」と叫んでいた。

・Aパート:真人vs虎杖

 ついに魂の本質を見つけたと述べる真人。蛾が羽化するような描写は、オープニングにもあったカットである。そして自分に無為転変をし、新しい姿へと変身した真人。ここで前半は終了だ。色んな事がありすぎたAパートだった。

・Bパート:真人vs虎杖

 冒頭のやり取りも面白い。真人の「オマエを殺して俺は初めてこの世に生まれ堕ちる」という台詞を聞いている虎杖の表情が鋭くて印象的だった。前髪も上がっているので、宿儺みが出ている。BGMに関しても、1期の真人戦の曲がアレンジで流れていてあの時の戦闘も想起させられてよかった。

 お互い消耗しているのが分かる描写のあと、真人が「お互い元気いっぱいだな」と言うのが真人っぽい。意図していないのかもしれないが、ジャンプの他作品リスペクトっぽい部分もあった。虎杖の構え方はHUNTERxHUNTERのゴンを思い出させるし、虎杖の周りを飛び回る真人にはワンピースのルフィvsベラミーを思い出した。

 東堂に矯正された逕庭拳が今ここで上手く作用するのも熱い。と思ったら暗転からの「呪霊よ、オマエが知らんはずもあるまい」という東堂の台詞で沸く筆者。太陽を背負い、「腕なんて飾りさ、拍手とは魂の喝采!!」とフェイクを入れて真人の注意をそらした東堂…もう最高だよ…となった。術式が使えなくなってもはったりで戦い切る漢、東堂…かっこいいが止まらない。東堂の作ってくれた機会にジャストミートさせてしっかり黒閃を決める虎杖も流石である。

・Bパート:狩る者狩られる者

 変化が解け、改造人間のストックも尽きた真人。「認めるよ、真人。俺はオマエだ」と告げ始める虎杖の抑揚のない淡々とした喋りには、ゾッとした。感情も動かさずただ読み上げるような言い方、鳥肌ものである。真人は恐怖一色といった様子で、涙も滲み出ていた。狩る者と狩られる者の立場が決定した瞬間であった。

虎杖「ただオマエを殺す。また新しい呪いとして生まれたら、ソイツも殺す。名前を変えても姿を変えても何度でも殺す。もう意味も理由もいらない」

虎杖「この行いに意味が生まれるのは、俺が死んで何百年も経った後なのかもしれない。きっと俺は大きな……何かの歯車の一つにすぎないんだと思う。錆び付くまで呪いを殺し続ける。それがこの戦いの俺の役割なんだ」

 冬景色に変わり、逃げ惑う真人と静かに歩き追う虎杖。うさぎと狼の描写が彼らの関係性を強調している。地面に転がる真人と見下ろす虎杖の構図も、真人の絶望的な状況を表していて好きである。また、ここからの島崎信長さんの演技も素晴らしかった。もう為す術なしといった様子で、奇声を上げて雪(砂)を投げつける真人。惨めさが凝縮された演出だった。(この砂を投げるお芝居、1期の真希vs真依でもあって物凄く印象的だったのを思い出した。)

 そうして真人が這いながら逃げようとしているところに、見覚えのある足元が…。いっつも最悪のタイミングでくるじゃん!!!!と憤りを覚える。「助けてあげようか、真人」と告げる偽夏油。いつもいつも胡散臭いし、狙ったような(多分狙っているんだろうけども)タイミングで登場するので頭抱える。でも夏油の恰好をしているので、その胡散臭さすらかっこよく思える。うわーっとなってるところでタイトル画面→エンディングとなった。タイトルが最後なのもお洒落である。

・予告

 詳しくは考察パートに書くが、偽夏油の予告がま~~~~意味深で意味深で…。

考察・疑問など

・真人戦で虎杖が変化した部分について

 最後に真人を追い詰め、”呪霊の命を狩る者”として確立した虎杖。榎木淳弥さんの演技もゾッとするような、冷たい声音だった。前髪が上がっているのもあって、ある意味宿儺感が増したというか圧倒的強者感が増したというか…。主人公らしからぬ、恐ろしさを感じる演出になっていた。虎杖が今後どうなっていくのか分からないが、呪術廻戦と言う作品の底にある薄暗さを改めて実感した。

偽夏油についての考察・疑問まとめ

 危惧していた通り、真人を祓い切る前に登場した偽夏油。五条封印の時といい、毎度毎度「ここで来たら嫌だな」と思うタイミングで出てくるので本当に腹立たしい。リアタイしている時に偽夏油の足元が見えた瞬間「うわ…」と漏らしてしまった程である。次回偽夏油が大きく動きそうな気がするので、今一度情報整理をしてみようと思う。これまで何度も偽夏油について考えてきたので、過去の記事で考察した内容もまとめていく。

・予告の台詞

 45話に向けた予告もなかなかに意味深である。偽夏油は台詞数も少ない分、発言した内容については重要な情報を含んでいるとみていいだろう。もちろんこの台詞に関してもだ。下記で気になった点を一つ一つ上げていこうと思う。

偽夏油「作為的な運命は運命じゃないかもしれない。でもね、偽物の運命が交じり合う瞬間はどうしようもなく運命なんだよ。メッキの中で育つものもあるよね。」

1)作為的な運命

 作為的な運命という言葉がこれ程似合う者がいるかね?と思う程、偽夏油にピッタリな言葉だと思った。もちろん筆者はアニメ勢なので、偽夏油にとって何が”運命”なのかは分からない。だが、これまでの行動を見ていると”自分の描いたストーリーに向けて念入りに準備&行動している”印象を受けるので、”作為的な運命”というのがピッタリだなと思ったのだ。もう引くほど昔から”ある目的”のためだけに、めちゃくちゃ練られたシナリオを用意して戦略も立てて、今行動するタイミングなんです~という臭いがプンプンする。じゃなきゃ、五条封印のためにあんなに準備しないだろう。

2)偽物の運命が交じり合う瞬間

 さて、偽物と言えばこの偽夏油本人を指している事は当然の事であろう。ここで注目したいのは、”偽物の運命が交じり合う”と表現している事だ。これをそのまま捉えると、他にも偽物の運命がいることになる。誰だろうか?偽物の運命、つまり作為的な運命を歩んでいる者が少なくともあと1人いるのだ。直感的に虎杖かな?と思った。真人もあり得るが。

 偽物の運命を別の言葉に置き換えよう。「運命と見せかけて、実は狙ってやったもの」と言い換えることができる。ここで虎杖について思い当たるのは、①虎杖が宿儺の器であること、②虎杖が指を喰らって宿儺が受肉した事、③宿儺と縛りを交わした事、そして④虎杖が五条の生徒になり、死線をいくつも乗り越え真人を追い込み夏油の姿をした者と出会う事…等々、正直偽夏油が糸を引いていそうな”運命”が多すぎる。今虎杖と偽夏油が出会ったことも作為的な”運命”にしか思えない。

3)どうしようもなく運命なんだよ

 2)を踏まえてた上でのこの”運命”とは一体何なのか。なんだかとても嫌な感じがする。運命と言ったらポジティブな意味でも使うし、その反対でも使う。でも偽夏油が言うとどうしても偽夏油にとってポジティブな意味での運命と聞こえてくるのだ。「意図的に仕掛けたこと同士が交じり合ったのは偶然だよ。別に狙ってやったことじゃないよ^^」と絶対狙って交じり合わせたんだろうと思える台詞である。偽物の運命が交じり合う瞬間は運命…偽夏油の指す”運命”ってなんだろうか。

 偽夏油、虎杖、真人の3者の交じり合いなのかもしれないし、偽夏油と虎杖、あるいは虎杖と真人のことなのかもしれない。例えば、虎杖が宿儺の器である事も、宿儺の指を喰らった事も、全部偽夏油が作り上げた偽物の運命だとする。そして真人も実は偽夏油が生み出した存在だったとする。その2人が渋谷事変で交戦することになるのって、運命じゃない??と、こういう解釈もできる。

 偽物が夏油を狙っていたと述べていた以上、夏油の運命も作為的運命と言えるだろう。こう考えると、1つのパターンの交じり合いというよりかは、今まで撒いて育ててきた作為的運命全ての事を指しているような気がする。何が偽夏油の目的かも分からないので結局堂々巡りなのだが、とにかく主人公サイド的には嫌な方向の展開が待っていそうだ。

4)メッキの中で育つもの

 ここもまた意味深。作為的な運命の中でも育つものがあるよねという意味だろうが、どうであれ偽夏油にとってメリットになりそうな表現である。種まきして芽吹きから言って以上成長するまではしっかり見守っててそれ以降は個々に任せていたけど、ちょうどいい感じに育ってるじゃん~~みたいな印象を受ける。

・偽夏油の目的とは?そのシナリオは?

 いつからかは不明だが、この者は”ある目的”のためにかなり長い期間動いていたことが察せられる。そしてこの目的を達成すると、”新しい世界”になっているという。それに際して、五条悟はどうしても邪魔な存在で抑制しておきたかったことが下記の台詞から分かる。

偽夏油「そういう術式でね、脳を入れ替えれば肉体を転々とできるんだ。勿論、肉体に刻まれた術式も使えるよ

   「夏油の呪霊操術とこの状況が欲しくてね、君さぁ夏油傑の遺体処理を家入硝子にさせなかったろ」

   「変な所で気をつかうね、おかげで楽にこの肉体が手に入った」

   「心配しなくても封印はその内解くさ。100年…いや1000年後かな。

君強過ぎるんだよ。私の目的に邪魔なの」(単行本11巻)

五条 「ハッ、忘れたのか?僕に殺される前、その体は誰にボコられた?」

偽夏油「乙骨憂太か、私はあの子にそこまで魅力を感じないね。無条件の術式模範、底なしの呪力。どちらも最愛の人の魂を抑留する縛りで成り立っていたに過ぎない。残念だけど、乙骨憂太は君にはなれないよ

偽夏油「おやすみ五条悟。新しい世界でまた会おう」(単行本11巻)

 その五条悟をいつから危険視していたのかも分からない(産まれたその瞬間からかもしれない)が、かなりの期間をかけて入念な準備をしてきたことはこれまでの活動を見ても十分に伝わってくる。そのために夏油を利用したという点もあるので、夏油の身に起きたこともシナリオの内だった可能性が大いにある。“呪霊操術”と“五条悟”の唯一の親友という2つを持ち合わせていたが故、生きている間も死んだあとも地獄のような状況で苦しまなければならない夏油が不憫で仕方がない。

 シナリオと言えば、以前から気になっていた虎杖が指を拾ったと表現していた点。この寄生体は宿儺を引き込むことも目的の内にしているので、虎杖が宿儺の器であることを事前に把握して”拾うように仕向けた”としてもおかしくない。また、加茂憲倫の件も何やら糸を引いているような気がしてならない。

 「夏油の呪霊操術が必要だった」と述べていた件も気になる。今までのストーリーを見る限り、呪霊の動きに関してそこまで作為的だと思う場面は見当たらなかった。強いて言うならば、虎杖が宿儺の指を飲む羽目になった場面、そして恵のお姉さんたちが呪われた事くらいである。この辺りの件も、呪霊を操って仕向けた可能性は0ではない。はたまたこれから本領発揮ということも大いにあるだろう。弱って捕獲しやすそうな真人がちょうど目の前にいるので…。

 またこの偽夏油、かなりの年数を生きているように思える。それ故アニメ勢が予想するにはまだヒントが無さ過ぎて想像するにも厳しいものがある。呪術廻戦ではちょくちょく呪術全盛の時代(=平安時代)の人物名が出てくるので、もしかしたらその時代の者なのかもしれない。

 今の時点でぼんやり言えることを書いてみる。1000年後に五条を解放するだろうと言っていることと、虎杖が1000年生まれてこなかった逸材であることを関連付けると、宿儺が猛威を振った呪術全盛時代そして1000年という時間を経て産まれる宿儺の新たな器…これを繰り返すことが目的だったりするのだろうか?あとは、宿儺vs総力をあげて戦う術師たちのその状況をまた再現したい…とか?繰り返すことに何のメリットあるのかは考えもつかないのでただの妄想だが…。呪術廻戦という名前の作品だけあって、呪術+廻る戦いということでこの作品の核心に触れられる大事な部分な気がするのだ。なんとなく…。

夏油「戦争の前に2つ条件を満たせば勝てるよ」

  「五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺、虎杖悠仁を仲間に引き込む」(単行本2巻)

夏油「宿儺の動きがさ、少し私のイメージとズレる。これは推測でしかないんだけど、恐らく学生の中に宿儺にとっての地雷がいる。それを踏めば最悪今回の行動全てが台無しになる」

漏瑚「先に虎杖だけ攫ってしまえばいいだろう、どの道使う駒だ」

夏油「いや虎杖…宿儺自身もまた爆弾だ。私達にとっても高専にとってもね。刺激するタイミングはより混乱が求められる時にしたい」

夏油「10月31日渋谷、五条悟の封印のために利用できるものは温存する」(単行本7巻)

・真人をどうするつもりなのか?

 真人に「助けてあげようか」と言うものの、以前真人に通用する攻撃をしたメカ丸を見てニヤニヤと笑みを浮かべていた偽夏油。「効いてるね」「場合によっては今この場で…」という台詞からは、真人が追い込まれるのを望んでいるかのような口ぶりだった。

 真人の死を求めているのか、或いは手駒にしてしまおうと思っているのかは現状不明である。ただ花御や漏瑚、陀艮たちは五条の封印のために散々利用され、今や皆冥界である。真人が偽夏油にとってまだ利用価値のある存在であれば、取り込んで完全な手駒とし、命擦り切れるまで利用されそうである。

夏油「……効いてるね」

夏油「(やるね彼。一時的だろうけど特級クラスの呪力出力。真人対策もしっかりしてきたわけだ」」

夏油「場合によっては今この場で……」(単行本10巻)

・「虎杖悠仁、両面宿儺を仲間に引き込む」はどうなる?

 夏油が漏瑚達に提示していた第2条件の「両面宿儺 虎杖悠二を仲間に引き込む」はどうなるのだろうか。現時点、五条封印という第一条件は達成され、残すところは宿儺(虎杖)を引き込むことである。夏油と裏梅が繋がっている事と宿儺と裏梅が旧知の関係性であることから、宿儺を仲間に引き込むことに関してはハードルが低そうである。ただ、引き込むにしても肉体の主導権は虎杖にあるので直接のやり取りや情報交換はできない。ここをクリアしなければ偽夏油の条件は達成できない。そこでポイントとなるのは、①縛り、②契闊 の2点であろう。

 まずは①縛りについて。虎杖と偽夏油の間で他者間の縛りを結ぶという方法だ。偽夏油の懐には封印された五条がいる。虎杖の良心に付け込んで取引するにはあまりにも好条件だろう。また偽夏油は弁が立つし、縛りに関する知識も豊富そうだ。虎杖が縛りを結ばざるを得ないような状況にもっていくことも容易い話だろう。

 2点目の②契闊であるが、これは可能性としては低いかなと思いながらの予想である。1分間宿儺優位となれば、偽夏油も直接宿儺と会話できる。ただ、これは宿儺と虎杖しか知らない契約であろうということと、宿儺がトリガーを引かなければいけないということからあまりこの線はなさそうだ。やはり契闊は恵を利用して自由になる時まで取っておくだろう。

夏油「いや縛りはあくまで自分が自分に科すものだ。他者の介入や他者間との縛りは簡単ではないよ」

夏油「私達に協力し情報を提供する、その対価として真人の“無為転変”で体を治す。そういう“縛り”を私達は彼と結んでいるからね、殺すのは治した後だ。彼には渋谷でも働いてほしかったけど仕方ないね」

夏油「真人、他者間との”縛り”は自らが自らに科す”縛り”とはわけが違う。その違いの1つに“罰”の不確定さがある。自分の中の“縛り”は破った所で得たモノ…向上した能力などを失うだけだが、今回は駄目だ。”縛り”を破った時、私達にいつどんな災いが降りかかるか分からない」(単行本9巻)

・偽夏油と呪胎九相図&加茂憲倫の関係性

 加茂憲倫の件も糸を引いているような気がしてならない。下記の五条や真人とのやり取りから、偽夏油は未知の事に触れる事ができて嬉しそうである。また「術式は世界か、いいね素敵だ」という台詞からも、なんとなく術式に対しての探求心や好奇心などを感じた。分かりやすく言うと、呪術オタク…のような気配を感じる。

偽夏油「おやすみ五条悟。新しい世界でまた会おう」

五条 「僕はな。オマエはそろそろ起きろよ

五条 「いつまでいい様にされてんだ、傑

偽夏油「あっはっは、凄いな初めてだよこんなの」

偽夏油「真人、見てくれ。君は肉体は魂の先に在ると述べたが、やはり肉体は魂であり、魂は肉体なんだよ

偽夏油「でなければこの現象にも、入れ替え後の私の脳に肉体の記憶が流れてくるのにも説明がつかない」

真人 「それって一貫してないといけないこと?俺と夏油の術式では世界が違うんじゃない?

偽夏油「術式は世界か…フフ…いいね素敵だ」(単行本11巻)

 そしてここで思い浮かんだのが加茂憲倫である。加茂憲倫については、アニメでは偽夏油が説明しており、彼の知的好奇心により呪胎九相図が生まれたと述べている。また「多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す」とあるので、彼もまた呪術に対しての執着があったと予想できる。つまるところ、加茂憲倫は悪い意味で知的好奇心の塊のような人物であり、自分の知識欲のためなら何でもするといった性格だったのではなかろうか?

 寄生体と加茂憲倫との関連性は全く説かれていないが故まだ妄想段階ではあるが、やはりこの二人には何か重要な繋がりがあるとしか思えない。寄生体が加茂憲倫の身体を乗っ取っていたのか、加茂憲倫がそうなるように仕向けたのか、それとも加茂憲倫こそがこの偽夏油なのか、はたまた別の関連性があるのか…まだ謎は深い。それにしてもこの史上最悪の呪術師と同じ名前を付けた(漢字は違うが…)加茂くんの名付け人は一体どんな人物なのか気になってしまう。

ナレーション「明治の初め、呪霊の子を孕む特異体質の娘がいた。呪霊と人間の混血、異形の子。身に覚えのない懐妊に始まり、親類縁者からの風当たりは常軌を逸し、彼女は子の亡骸を抱え山向こうの寺へと駆け込む。その寺は呪術師が開いたものだったが、その時点で彼女の運は尽きてしまう」

ナレーション「加茂憲倫、多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す、御三家の汚点。彼の知的好奇心は呪霊と人間の間に産まれた子の虜となる。九度の懐妊、九度の堕胎。それらがどのように行われ、その後彼女がどうなってしまったのか、一切の記録は破棄されている」(単行本7巻)

・偽夏油にとってのリスクは?

 今のところ偽夏油の思惑通りに進んではいるが、彼の行動を阻害する可能性のある要素をまとめてみようと思う。余りにも状況をコントロールされているので、どうにか弱点を見つけたい一心である。

1)旧・夏油一派

 ミゲルやラルゥ等、夏油を慕っている腕っぷしの良さそうなメンバーが何らかの行動を起こすかもしれない。ただ、偽夏油の脅威になるほどの存在かと言われると否かな…と思う。

2)夏油本人の意思

 トリガーが不明だが(五条の存在は大きな影響を与えそうだ)、偽夏油にとっては予測不可能であろう。リスクとしてはかなり大きそうだ。

3)五条悟

 五条先生は現状獄門疆に閉じ込められてしまっているが、五条悟が故の何かしらの想定外が起きる可能性もあるし、五条が解放された後に偽夏油が狙われる可能性も大いにある。前者においては、筆者としてはなんかミラクル起きてくれ~という気持ちだ。後者は自分にとって不味い状況にならないから五条を解放するはずなので、あまり期待はできなさそうである。

4)その他術師

 特に虎杖・乙骨・秤は五条の一押し生徒であることと寄生体の想定や予想を大きく上回りそうということでリスクになり得るであろう。乙骨については下記のように、偽夏油の解釈が若干甘い部分がある。そういう意味ではこの中では一番有力なのではなかろうか。

五条「忘れたのか?僕に殺される前、その体は誰にボコられた?」

寄生体「乙骨憂太か、私はあの子にそこまで魅力を感じないね。」

寄生体「無条件の術式模範、底なしの呪力。どちらも最愛の人の魂を抑留する縛りで成り立っていたに過ぎない。残念だけど、乙骨憂太は君にはなれないよ」(単行本11巻)

五条「菅原道真の子孫だった。超遠縁だけど僕の親戚!!

乙骨「え誰?」

真希「日本三大怨霊の一人」

パンダ「超大物術師だ」

棘 「ツナ」(単行本0巻)

・五条の封印が解かれた後は?

 「新しい世界でまた会おう」と言っていた。“また会おう”なのだな~と意外に思った。もうこのまま封印しておくつもりだろうと予想していたからだ。何故“また会おう”なのだろうと少し気になってしまう。五条は間違いなく偽夏油を始末しにかかるであろうし、そもそも「君強過ぎるんだよ」と言って五条を警戒しここまで念入りに準備して抑制したのだ。自身に危害を加える恐れがあるのに何故解放するのだろう?

 恐らく、解放しても自身にとってまずい状況にならないからわざわざそうする訳だ。自分が五条より強い立場にいる予定なのでOKなのか、それとも新しい世界になっていれば自身に危害を加えられようと何も問題はないのか…。むしろ必要だから解放する可能性すらある。

 仮に「呪術全盛の時代の再来、そして宿儺が猛威を振る状況の再現」を偽夏油の目的として置いてみる。偽夏油としてはその状況を鑑賞したいと思っているとする。思惑通り宿儺が復活してめちゃくちゃになった世界で開放されたとしたら、五条は宿儺を止めることが最優先事項になる。つまり偽夏油に対する優先度は下がるであろう。そこを見越しての解放かもしれない。まぁ根拠のない妄想であるが…。

・夏油の身体を乗っ取ったのは何者なのか?

 100年、1000年後も生きているつもりでいるが、一体何者なのだろうか。肉体に限界が来たらまた新しい肉体へと移り変わるみたいな要領で、実質不死のような感じだろうか。なんだか天元みたいなタイプだなと思ってしまった。

・冥冥たちの安否

 あのタイミングで夏油がこっちに来たということは…という感じである。まだ呪霊を使って足止めされている可能性もあるが、あまりよい状況ではなさそうだ。

・you are my SPECIALのmyとは…

 予告の運命云々をいろいろ考えていたら、SPECIALZが偽夏油視点の歌に思えてきた。ちなみにyouは虎杖(宿儺)を指してるように感じる。偽夏油に「君は私にとって特別なんだよ^^」とか言われたら吐いてしまいそうである。想像すると割と言いそうではあるのでなおさらゾッとする。

■次回、第46話について:偽夏油の動き、京都校メンバー参戦、脹相も登場しそう

 予告の映像からすると、今回の続き(偽夏油の登場~)と京都校のメンバーの動向がメインになりそうだ。虎杖を取り巻く状況は偽夏油によって大きく乱されるだろう。真人が劣勢なのは確定であろう。後は彼がどうなってしまうのかという点と、偽夏油が虎杖にどういう会話を持ちかけるのかが気になる。眉をハの字にして困ったように笑う偽夏油と、額に汗を浮かべる虎杖から、嫌な臭いがプンプンする。その笑い方していいのは本物の夏油だけだぞ。

 また、度々映るルーレットのような絵は1期の八十八橋編で偽夏油と真人、脹相で遊んでいたシーンを思い出させる。そしてアップで写っている誰かの目元や、足首に包帯?が巻かれていてショートブーツっぽい靴を履いている者が誰なのかも気になる。新たなキャラクターが参画する可能性もありそうだ。眉毛が下がり眉で目が垂れ目っぽく、下瞼には隈か何かがある。乙骨くんか?!っと思ったが、ここで乙骨が出るかね…?というのもあるので確証はない。足元の方は靴のデザインも包帯でぐるぐる巻きの足首も脹相のキャラデザと一致する。脹相もどうなっちゃったんだろうと気になっていたので、出てくれるなら嬉しいことこの上ない。足元アップが脹相だとすれば、目元の方もアイメイク諸々が落ちた脹相と考えればあり得そうである。彼も下がり眉だしちょっと眠そうな目をしているので…。脹相が出てくるとなると、現着している加茂くんと絡みがあるのかも少し気になってしまう。加えて日下部っぽい人物のカットもあるので、第46話は散り散りになった術師たちの安否や動向も知ることができそうだ。

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第、掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。

【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第44話「理非-参-」の感想など【東堂に大歓喜】

 12/7(木)に呪術廻戦2期第44話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本15巻 ・第126話 渋谷事変㊸

        ・第127話 渋谷事変㊹

        ・第128話 渋谷事変㊺

リアタイ後の所感:情緒が忙しい&声優さんのお芝居が物凄い&絵の細やかさ

 非常に感情の上げ下げが激しい回だった。呪術廻戦特有のテンポというものだろうか。冒頭にあった1年ズのほっこり回想で心が温まり(何なら最後の恵に思いっきり笑っていた)、ほかほかしていた所に急に現実に引き戻すように映し出された野薔薇の姿。そして虎杖を痛みつけ、首を搔っ切ろうとしたところでの東堂の!!入場!!!東堂推しの筆者、心の中で大歓声である。“ヒーローは遅れてやってくる“と言うが、まさにそれ。東堂が輝いて見えて仕方がない。嬉しさとかっこよさで頭がいっぱいいっぱいになってしまい、入場と共に何か喋っていた台詞は全然頭に入ってこなかった。今回は何と言っても東堂。東堂の回である。特に目を引いたのは黒閃のシーン。それまでのかっこよさを払拭するような様子のおかしい演出&カットの数々。この第44話は東堂とは何たるかが存分に表現された1話だったと思う。本当に最高だった!

 また、声優さんたちの演技に感嘆することの多い1話でもあった。特に虎杖役の榎木淳弥さん、真人役の島崎信長さん。榎木さんの悲痛な演技や希望が見えた時の声音、島崎さんの狂気を感じる叫びや戦闘中の声には度々驚かされた。物凄い。このお二人の芝居に関する考え方やお話もめちゃくちゃ面白いので、まだ聞いていない方はじゅじゅとーくでぜひ確認してほしい。はまり役だな~と思う位、すんごい演技だった。

 細かい話は後の【シーンごとの感想】にて書いていくが、絵の細やかな演出も素晴らしかった。冒頭だと、野薔薇の「どっちが悪い?」のリップシンク。恐らく声を撮った後に仕上げたものだと思うが、こういう細かなこだわりが作品のクオリティをグッと上げているのだと思う。そして今回は原作の絵をリスペクトしているな~というのが凄く伝わってきた。

テレビアニメ「呪術廻戦」第44話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 東堂と新田が渋谷駅に到着した場面を除いてほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:1年ズのエピソード(回想)

 虎杖の頬に野薔薇の血が飛んできたと同時に、野薔薇がマグカップを倒してしまうカットで回想が始まった。1年ズでおやつタイムをしていたのだろう、お菓子と飲み物を囲んで3人が座っている。(マグカップは皆お揃いのパンダ柄で可愛い)机に置いてあった五条のシャツに、野薔薇がコーヒーをこぼしてしまったようだ。シャツを私達に任せて置いていった伊地知さんと私とどっちが悪い?と問うのが野薔薇らしい。そしてこの「どっちが悪い?」のリップシンクがバッチリで素晴らしい。間髪入れずに「オマエ」と答える虎杖&恵がこれまた可愛い。机にシャツを広げて染み抜きを一緒にやっているのも可愛い。染み抜きは虚しく、というかむしろ広がっているような仕上がりが「あるある~」と思わせる。こういう、「あるよね~」というエピソードがスッと出てくるのが呪術廻戦の魅力でもある。「マリメッコに見えなくもないわね」という曲がったポジティブさも素敵。25万(税抜き)のシャツを汚してしまったことが発覚した野薔薇がさらっと連帯責任にしようとするのも平和でよろしい。

 五条がシャツを取りに来た時に、恵の胸元にシャツが隠蔽されていてパツパツになってるのがこれまた可愛くて可愛くて…思わずリアタイ時に声を上げて笑ってしまった。自分で隠したのか、虎杖に入れられたのか…笑 ヒーヒー泣きながら笑ってる野薔薇&虎杖とムスッとしている恵…これ五条もほっこりしただろうな~とニコニコ見ていたら、急に倒れた姿の野薔薇が映し出される。筆者は一気に真顔になった。この落差に心が壊れそうになる。

・アバン:真人と虎杖

 爆ぜた部位からの視点で虎杖を映すカメラワークといい、虎杖の息遣いといい、もう見てられないくらい辛い。「釘崎」と溢す虎杖の声はもう声というより音に近いものだった。今までの惨劇に虎杖の心はもう限界だろう。呼吸の乱れが痛々しい。

 そんな虎杖を見て嬉しそうに畳みかける真人。ほんっとうに最悪である(褒めている)。下記の台詞も面白いなと思った。虎杖と対局にいる真人という存在。裏と表の関係性というか、そういうものを感じられてなるほどと考えさせられる。また、この辺りの島崎信長さんのお芝居が物凄い。昂り狂気に満ちた演技で圧倒されてしまう。島崎さんが真人役でよかった..と謎の感想が産まれてしまう。

真人「これは戦争なんだよ!!間違いを正す戦いじゃねぇ!!正しさの押し付け合いさ!!ペラッペラの正義のな!!」

「オマエは俺だ、虎杖悠仁!!俺が何も考えずに人を殺すように、オマエも何も考えずに人を助ける!!呪いの本能と人間の理性が獲得した尊厳!!100年後に生き残るのはどっちかっつーそういう戦いだ!!そんなことにすら気づけない奴がどうして俺に勝てるよ」

・アバン:ヒーロー登場

 虎杖を追い詰め、首を目掛けて振りかぶる真人。もうすぐ当たる!!!というところで聞き覚えのある音。そして消える虎杖。東堂が!!来たのである!!!!!!!!もうめちゃくちゃ嬉しかった!!バストアップのカットから足元のカットへと移り、一歩一歩踏み込む描写がまた高揚感を煽る煽る。「ただし俺達を除いてな」の東堂の絵が芥見先生リスペクトであることはアニメ勢でもすぐに分かった。そしてタイトル画面でオープニングとなった。5分のアバンだったが、ここだけでも上がって下がって下がって爆上がりみたいな起伏の激しさである。

・オープニング

 ラストの東京の夜景カットと、仲間達の集合絵が変わっていた。夜景カットは渋谷を中心に闇が広がる描写になっており、仲間は誰もいなくなっていた…。不穏である。

・Aパート:少し前の東堂&新田(回想)

 23:09の渋谷駅B5F、五条が封印されてしまった場所に降り立ったのは京都校の1年新田新、そして東堂であった。床に残された跡を見て、「夏油傑はすでに獄門疆を持ち去ったようだな」と察する東堂。状況に狼狽える新田に対し、「切り替えろ。五条悟と取り戻す戦いから、味方を救い出来得る限り敵戦力を削ぐ戦いへと、“今”目的が変わったんだ。急ごう、ブラザーなら近くに来ているはずだ」と言い切る姿は判断力が抜群でめちゃくちゃ頼もしい。かっこよすぎる。新田が「兄弟おったんや…絶対一人っ子やと思ってたわ」と内心呟くのには笑ってしまった。どこかの五条さんと同じことを言われている。

・Aパート:東堂に想いを吐き出す虎杖

 虎杖が消えたこと、そして東堂の登場に状況を整理する真人。新田は野薔薇に何等かの処置をしてくれたようだ。東堂が登場してから辺りが明るくなったが、特に起きろと言われた後の虎杖のカットを見ると上から光が差してきていて、希望が見えるような表現になっているのが素敵だ。

 東堂の足元でうずくまって感情を吐露する虎杖には胸が痛んだ。渋谷事変を迎えてから虎杖が誰かに気持ちをぶつけるのは初めてである。東堂という頼れる存在だったからこそ、吐き出せた言葉だったのだろう。

虎杖「東…堂…、俺は…もう戦えない…!!釘崎だけじゃない…ナナミンも死んだ。宿儺が…いっぱい殺したんだ。だから…俺はもっといっぱい…人を助けなきゃって」

  「だけどできなかった!!俺はただの人殺しだ!!俺が信念だと思っていたものは俺のための言い訳だったんだよ!!俺はもう俺を許せない」

 上記のシーンも言葉がでなかった。榎木淳弥さんの演技も相まって、しんどくて涙が出てくる。宿儺が言ってきた「オマエがいるから人が死ぬんだよ」という言葉が真実のようになってきてしまって、自分の軸であった「たくさんの人を助けたい」という気持ちが折れてしまったのだと思う。自分が嫌になってしまったのだろう。

 虎杖を狙って走ってくる真人に対し、ドンと構えて動じず見向きもせず虎杖の邪魔をするなとでもいうように真人を遠ざける東堂。特に蹴り飛ばした真人が新田とぶつかりそうになった時のパァンのカットインがめちゃくちゃかっこいい。ゲームっぽい表現で好きである。そしてここからの東堂の台詞がめちゃくちゃ良い。大きな頼り甲斐のある背中や、夏油や灰原と思しき人物の足元のカット等、台詞と絵が一緒に流れ込んできた。後に考察パートでも述べるが、東堂のこの台詞こそが呪術師として生きる者達への1つのアンサーなのかもしれない。

東堂「虎杖…オマエ程の漢が小さくまとまるなよ。俺達は呪術師だ。俺とオマエと!!釘崎!!Mr.七海!!あらゆる仲間、俺達全員で呪術師なんだ!!」

  「俺達が生きている限り、死んでいった仲間達が真に敗北することはない!!」

  「罪と罰の話ではないんだ。呪術師という道を選んだ時点で、俺達の人生がその因果の内に収まりきることはない。」

  「散りばめられた死に、意味や理由を見出すことは時に死者への冒涜となる!!それでも!!オマエは何を託された?今すぐ答えを出す必要はない。だが…答えが出るまで決して足を止めるな。それが呪術師として生きる者達へのせめてもの罰だ。」

 「あの事を今の虎杖に言う必要はないな」と言っているが、これは恐らく”五条の封印された獄門疆は既に持ち出されている事”であろう。今の虎杖の状況を把握し受け止め、再び気持ちを立て直させるために諭していく東堂の指導者っぷりよ…。この辺りで流れるBGMが希望を与えてくれてでグッとくる。新田が虎杖と野薔薇に”今ある怪我が悪化しない”術式を施してくれた。野薔薇が助かる可能性も0じゃないと言ってくれて、虎杖がどれだけ救われただろう。「うん…!!」と答える虎杖が可哀そうで可哀そうで…。

・Aパート:虎杖&東堂vs真人

 しっかり真人を観察し、動きを読んで戦う東堂。最初のスライディングからのキックや、「どうした?俺には触ってくれないのか?」の所はま~~~~~~かっこよくて拍手である。どこで磨いてきたのか謎な圧倒的戦闘センス、そしてそのクレバーさ。IQ53万と自称しているのも伊達じゃない。真人は真人で流石と言ったところで、東堂を分析し適応するために自分を高めている。また、自身の魂の本質に辿りつきたいという欲も出ており、真人らしいなぁと感心(?)してしまう。この後の虎杖の台詞にも涙が出そうになった。「ナナミンの分までちゃんと苦しむよ」という言い回しが呪術廻戦らしくて印象深い。

虎杖「ごめんナナミン、楽になろうとした。罪すらも逃げる言い訳にした。」

  「俺、ナナミンの分までちゃんと苦しむよ」

 立ち直った虎杖に「おかえり」という言葉を選ぶのもかっこよい。ただ徐にシャツを破りだすので、破るな脱ぐなという視聴者の声が聞こえてくるようであった。(私も思った)ここでAパート終了である。

・Bパート:渋谷に向かう京都校のメンバー

 薄暗い新幹線の車内には三輪が一人で座っていた。戻るんだと告げるメカ丸は、三輪を危険な目に合わせたくないのだろう。唇を噛む描写が三輪の複雑な感情を表していて切なくなる。ここのシーンは本当に切なくて辛かったが、とても美しく描かれていた。三輪の隣の空席が映し出され、三輪が泣き叫ぶシーンには涙が出てしまった。

 渋谷に向かっていたのは三輪だけでなく、歌姫を始めとした京都校のメンバーも同行していた。きっとメカ丸と三輪の最後の時間を2人きりにしてあげたのだろうな~と思うとこれまた切なくて胸が締め付けられるようだ。不器用なメカ丸の願いや想いを仲間達はしっかり受け止めて渋谷に向かうのだろう。

・Bパート:虎杖&東堂vs真人

 本格的に虎杖と東堂の共闘が始まる。恵でさえ虎杖に合わせて戦うのは難しいと言っていたのに息ピッタリで共闘するこの2人。虎杖について行ける東堂も凄いし、東堂について行ける虎杖も凄い。その辺の石に呪力を纏わせて位置替えに利用しており、柔軟で面白いなと思った。

 真人曰く、それぞれの残りHPは東堂はほぼMAX、虎杖は1割、真人は4割程度という予想らしい。あの真人を4割にまで削れているのがすごい。恐らく野薔薇が4-5割潰したんじゃないだろうか。流石野薔薇ちゃんである。

 真人が電車みたいな改造人間を出した辺りからはアニオリなのだが、線路で挟み撃ちされそうになった瞬間に東堂が小石を投げ、虎杖と自分をホームに移動させる戦い方にすごっとなった。何気に虎杖から助けてあげている点で、既にMAXを通り越した好感度が更に上がる。人を刃物に変えて迫ってくる真人を交わす動き、ホームの壁で踏み切って蹴りを入れる動き…細かい動き1つ1つがめちゃくちゃかっこいい。島崎さんの何とも言えない気持ち悪い戦闘ボイスも素晴らしい。

 言葉を交わさずとも通じ合っているかのように、階段を駆け上がる虎杖と東堂。もう最高のコンビとしか言いようがない。走る東堂の口角が上がっていて、虎杖が戻ってきてくれたこと、一緒に戦えていることの喜びが伝わってくる。

・Bパート:東堂の黒閃

 走りながら破片を拾い上げ、虎杖に託して投げさせた後に東堂のモノローグが始まる。猛スピードで飛ぶ石が東堂と入れ替わり、今度は東堂が猛スピードで真人に向かって飛んでいく。なんだか画面の様子が怪しくなってきて、終いには東堂が光始める。「再び虎杖を独りにする気か?!東堂葵!!」と自分に問うているのはかっこいいのだが、「何だこれ」と言わざるを得ない絵に情緒がおかしくなりそうになる。黒閃を打つ瞬間に流れ出る、東堂の存在しない記憶カットの嵐。ぜひ低倍速で見て欲しい。しれっと虎杖が京都校のメンバーにされていたり、高田ちゃんがいたり、東堂の顔が迫ってきたりと色々混じっていて混沌としている。

・Bパート:虎杖&東堂vs真人

 東堂の黒閃を受けて受け身を取る真人。あのシーンからわずか4秒足らずで流れるエンディングのmore than words。感情が忙しい忙しい。3者全員が120%の状態で揃い、ラウンド2が始まりながらの特殊エンディングとなり、「アゲてけよ虎杖!!!俺とオマエ!!最後の呪い合いだ!!」の台詞で44話は幕を閉じた。ものっすごい1話だった。

考察・疑問など

・野薔薇について(前回の続き)

 完全に手遅れという訳でもなく、絶対助かるという訳でもない…という何とも言えない状態に置かれていることが分かった。今後の展開次第で再登場するかもしれない。ただ仮に再登場するとしても、その頃にはもっと辛酸な状況になっていそうで怖い。

・夏油の葛藤に対する1つのアンサー

 東堂の下記の台詞を高専自体の夏油が聞いていたら…と思わずにはいられなかった。この言葉を東堂の師匠である九十九があのタイミングで言ってくれていたらなぁ…と少し惜しい気持ちになってしまう。とはいっても偽夏油に目を付けられていた時点で結局はこうなる運命を避けられなかったかもしれないのだが、どうしても夏油の気持ちを受け止めて諭してくれる存在がいたらどれだけ救われただろうかと考えてしまう。

東堂「虎杖…オマエ程の漢が小さくまとまるなよ」

  「俺達は呪術師だ。俺とオマエと!!釘崎!!Mr.七海!!あらゆる仲間、俺達全員で呪術師なんだ!!」

  「俺達が生きている限り、死んでいった仲間達が真に敗北することはない!!」

  「罪と罰の話ではないんだ。呪術師という道を選んだ時点で俺達の人生がその因果の内に収まりきることはない。」

  「散りばめられた死に、意味や理由を見出すことは時に死者への冒涜となる!!それでも!!オマエは何を託された?今すぐ答えを出す必要はない。だが…答えが出るまで決して足を止めるな。それが呪術師として生きる者達へのせめてもの罰だ。」

・真人の今後の動き

 真人の現在の気持ちとしては、①虎杖を自分の手で倒したい、②自分の魂の本質を追求したい の2点であろう。①の虎杖は精神的にも肉体的にもダメージが蓄積されている状態なので、どちらかというと②の方が強いのかもしれない。真人は虎杖&東堂という敵と戦いながら、自分の興味を追求していくであろう。

・真人は東堂にどう対処するのか?

 ある意味自分を高めてくれる存在だとは思うが、それにしても東堂は厄介であろう。真人も東堂の術式を分析して徐々に適応してくるだろうし、その術式をどう阻害するのか手を打ってくる可能性も高い。掌印があるのだから術師にとって”手”は非常に大事な部位なので特段東堂に限った話ではないのだが、”手を叩くのが発動条件”というのが分かれば、”手を叩けない状態にする”と考えるのが妥当ではないだろうか。手を拘束するとか、怪我を負わせるとかそう言った対処をするのではないかな~と思う。ただ”あの”東堂なのでちょっとやそっとじゃあ自分の弱点を突かれないだろうし、むしろ狙われ得ることは百も承知であろう。2人の攻防がどう展開されるのか楽しみである。

・真人戦の勝敗は?

 真人はそろそろ虎杖にしっかり祓われてほしいという思いも含めての予想だが、恐らく虎杖たちが優勢になるだろう。ただ、完全に祓えるのかどうかは微妙だ。偽夏油が動きそうだからだ。メカ丸の攻撃が真人に効いているのを見てしめしめ…といった様子だったので、真人が良い感じに弱ったところを搔っ攫っていく可能性も大であろう。というか偽夏油どうなったんだろう…。

・偽夏油はどうなった?

 上で偽夏油の話をしてそう言えばと思い出したので考えてみる。最後に出たのは冥冥と憂憂が疱瘡神を倒した後のところである。今何をしているのか不明だが、冥冥と憂憂と一戦交えたのは確かであろう。冥冥たちが弱いとかそういう意味ではなく、まだ謎をいっぱい抱えた偽夏油がここで負けるはずがないので彼女たちの安否が物凄く気がかりだ。

 東堂たちが指摘していた通り、偽夏油は既に獄門疆を持って移動している(それで冥冥のとこにいる)。この後どういう動きをするのか気になるが…呪術廻戦2期も残り4話である。この短期間で偽夏油のことについて今以上の情報を得ることはなかなか難しそうだ。渋谷事変の次のエピソードを仄めかすくらいで終わりそうである。オープニングで唯一まだ回収されてない、魚みたいな呪霊を落とす部分があるかもしれない…位だろうか。

・渋谷事変の残り4話

 1期が終わって2年半待った2期ももう残り4話である。真人戦で4話を全消費するというのはあんまり無さそうだな~というのが個人的予想で、あっても後2~3話分くらいではないだろうかと見ている。そうなると残りの1~2話分はどんな話になるだろうか?先も述べたが、冥冥たちと偽夏油がどうなったのかや、偽夏油の動向は恐らく多くはないにしろ少しは触れられるはず。そして渋谷事変がどう収束するのかという部分は必ず入るだろう。あとは京都校の皆が合流することによる何かしらのドラマもありそうだ。特に真希の安否に絡んで真依のエピソードがあるのでは~?と思っている。

■次回、第45話について

 虎杖&東堂vs真人戦が更に盛り上がりそうだ。特に真人がパワーアップしそうだ。予告の映像には、真人と思しき人物がマダラみたいな髪型&肉体になっているのが確認できた。「変身」とあるが、ヒーローが変身するのではなく真人が変身するのではないかというところだ。また、真人の自閉円頓裏が展開されているようなカットもあったのが気になる。東堂のみを閉じ込める意図なのか、もう宿儺の事は差し置いて2人を狙ったものなのか…。魂に効かないと言われていた東堂の攻撃も、もしかしたら…?という場合もあると思うので楽しみである。

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第、掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。