【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第43話「理非-弐-」の感想など【野薔薇の考察】

 11/30(木)に呪術廻戦2期第43話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本14巻

 ・第123話 渋谷事変㊶

 ・第124話 渋谷事変㊷

 単行本15巻

 ・第125話 あの子の話

リアタイ後の所感

 前回に引き続き辛い回となった。渋谷事変が本当に絶望の塊すぎて、アニメを観進めるのがしんどくなってきている。今まで観てきたアニメの中でもこんなにバタバタと好きなキャラたちがいなくなってしまうものはなく、精神的になかなかくるものがある。当時原作を追っていた方たちの中にも途中で読むのを辞めてしまったという方もいるのではないだろうか…。思い入れのあるキャラクターが苦しんだり亡くなっていくのは本当に辛い。そんな中、筆者の今のモチベは東堂である。東堂の登場を目標に頑張って観進める。

 さて、今回は野薔薇にスポットが当たった1話となった。彼女を形成する過去の話が語られ、価値観や人生観と言ったものが垣間見えた。個人的に野薔薇は推しと言っていいほど好きなキャラクターで、野薔薇の残してきた台詞に支えられることも多かった分、今回のストーリーは辛くて仕方がなかった。最後に虎杖に向けた笑顔と「悪くなかった」と言い切る姿はとてもかっこよくて「野薔薇ちゃんほんと大好きだわ~~~~」となった。

テレビアニメ「呪術廻戦」第43話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:帳内へ向かう野薔薇

 「アイツらが戦ってるのに、独りだけ帰るなんて私にはできない」と言い、止める新田を押し切って帳内に進む野薔薇。野薔薇らしい選択だが、行かないでくれと思ってしまうのは筆者だけではないだろう。

・Aパート:虎杖vs真人

 一般人を巻き込みながら虎杖を攻撃する真人。虎杖が割り切れていない部分を突いてくるような戦い方には、毎度反吐が出そうになる(褒めている)。真人がぶつけてきた男性をちゃんと抱えるように受け身を取っていたり、その一般人が既に真人の手駒と化しているのにまたもや隙を与えてしまうのも虎杖らしい。

・Aパート:野薔薇vs真人

 真人の攻撃を避ける野薔薇の動きが美しい。冷静に戦う姿や鋭い目つきからは、触れたらアウトな真人に対して戦略立てて動いていることが伝わってくる。真人の接近を警戒する野薔薇に対し、本体と違って改造人間をいじったり他者の魂には干渉できない事をモノローグで明かす。

 「分かっててもやんなきゃなんねぇ時があんだよ」と言って走る部分の作画が個性的で面白かった。また、下に降りてきた野薔薇が「ずっと考えてたんだ。アンタの術式聞いた時から、コレは効くんじゃないかって」と言いながら共鳴りを放つがめちゃくちゃかっこよくて、うわ~!!!っと気分が高揚した。まさか真人自体を人形にして共鳴りを撃つとは…!!!熱い展開すぎる!!共鳴りを撃った瞬間に、真人の本体を辿るような演出も素晴らしかった。真人本体から釘が露出した事で、虎杖は野薔薇も今まさに戦っていることを察する。「妙だな、少し離れた所で私の呪力が爆ぜる感じがした」と言い、「オマエ分身かなんかで術式使えねぇんだろ!!」と言い当てる野薔薇がこれまたかっこいい。野薔薇も「…正解」と言う真人も悪い顔をしていて最高である。

・Aパート:虎杖vs真人

 動けない真人に畳みかける虎杖のシーンでは、動作の俊敏さや打撃の重さだったりが表現されていた。そして虎杖の「釘崎、ありがとう。俺には誰も救えなかった。皆の苦労も台無しにしてしまった。それでも、俺は一人じゃないとそう思わせてくれて。だから!!オマエはここで殺す!!」という台詞に胸が熱くなった。特に「釘崎、ありがとう」の静かな言い方が心にスッと入ってくる。

・Aパート:野薔薇vs真人

 こっからが本番かと思っていたら、急に逃げ始める真人。追う野薔薇に対して大丈夫かなと不安が過る。地下に逃げ込む真人を見て、うわ合流して野薔薇を…と察してしまってまずいまずいとハラハラしてしまう。

・Aパート:合流

 虎杖を翻弄し、本体の真人もまた動き始める。本体と分身が合流し入れ替わり、影から野薔薇が見えたときの絶望感といったら…。「逃げろ!!!釘崎!!!」と声を絞りだすように叫ぶ虎杖。ここの絵の演出がまた…すごい。叫びながら手を伸ばす虎杖から、野薔薇が触れられるまでの流れがより一層絶望感を煽る。

・Aパート:回想

 時は2009年、スマブラをしている幼い野薔薇から始まった。

・Bパート:回想

 ランドセルを選ぶ女の子と、その子のモノローグから始まった。水色のランドセルを選んだ彼女は学校でいじめに合っていたようだ。ロッカーの上に置かれたランドセルを取ろうとして落ちそうになったところを野薔薇が登場。そして「ねぇ!ふみのランドセルさ、交換しよ!!」という野薔薇。カワイイ。そしてしっかりいじめっ子に仕返しをして、先生に「釘崎またオマエかー!!」と追いかけられていた。ふみちゃんの家に入り浸ってゲームをする野薔薇、体が動いてしまっているのもとても可愛い。小さい頃から曲がった事が嫌いで、勝気な性格だったのだな~とほっこりしてしまう。

 「狭い村だから友達になるより他人になる方が難しいんだよ」という野薔薇の達観ぶりと言ったらなんの…。赤飯を持ってくる近所のおばあちゃんの気色悪さ、あの表現絶妙に気持ち悪くて芥見先生すごいなと思った。

 ふみちゃんを連れて沙織ちゃんの家に遊びにきた野薔薇のウキウキ具合もめちゃくちゃ可愛くて、年相応の様子ににまにましてしまう。優しいお姉さんが自分の知らないお菓子を出してくれたりお洒落なおもてなしをしてくれて毎回心躍っていたんだろうなと思う。

 沙織ちゃんの家が村から疎外され始め、引っ越すことになったのが寂しくて大泣きしている野薔薇。そして野薔薇自身が上京する際にふみちゃんとの別れを惜しんで泣くのを我慢する様子には、こっちも泣きそうになった。

 そしてところ変わって沙織ちゃんサイドに。次は沙織ちゃんが野薔薇へ思いを馳せる。懐いてくれていた野薔薇が可愛くて当時背伸びしてもてなしていたと思い出話をする沙織ちゃんにもほっこりする。「元気かな野薔薇ちゃん、今どこで何してるんだろ」と言う台詞には、「野薔薇ちゃん戦ってるよ、沙織ちゃんに会いたがってたよ!!」と言いたくなってしまう。

・Bパート:野薔薇の人生の席

 椅子でいっぱいの空間に佇む野薔薇。野薔薇が以前言っていた、“私の人生の席”の概念を表した空間だろう。「(あの村の連中は全員頭がおかしい、そんなことはない。でも、おかしい奴の声は大きくて自分以外の全てに思えて、土足で他人の人生を踏みにじるもんなんだ)」というモノローグから始まり、ソファに仲良く座る五条・虎杖・恵、そして真希・棘・パンダの姿が映る。彼らを見て、「っていう訳でもなかったかなぁ」と微笑む野薔薇。振り返るとふみちゃんがいて、別れを惜しんでいるような思い詰めたような顔をしている。「ゴメンね、ふみ。約束守れなくて」という台詞と共に幼い野薔薇が立ち上がる描写には心が抉られるようだった。もうやめてくれ..そんな気分だった。

 呆然とする虎杖に「虎杖、皆に伝えて」と言い、「悪くなかった!!」と笑顔で告げて倒れていく。最後まで野薔薇ちゃんは野薔薇ちゃんだった。だが、七海の事と言い目の前で大事な仲間を2度も失ってしまった虎杖の悲しみや怒りは我々では計り知れない程のものだろう。画面が暗転し、「釘崎」と静かに呼びかけるところで43話はエンディングとなった。

・エンディング:新規絵

 釘崎が横顔で写ってる写真が、場所はそのままでカメラ目線で親指を立てているカットになっていた。「悪くなかった!!」と言い残した野薔薇が過るようだ…。

考察・疑問など

・野薔薇について

 去り方が非常に彼女らしかった。辛かったが、それ以上に「野薔薇ちゃん大好きだな~」と改めて実感させられた。

野薔薇「男がどうとか女がどうとか知ったこっちゃねーんだよ!!テメェらだけで勝手にやってろ!!」

野薔薇「私は綺麗にオシャレしてる私が大好きだ!!強くあろうとする私が大好きだ!!私は”釘崎野薔薇”なんだよ!!」(単行本5巻)

 野薔薇は「私の人生の席に座っていない人間に、私の心をどうこうされたくないのよね」と言っていた。恐らくそれは、野薔薇の幼少期に置かれていた環境も大きく影響しているだろう。他人に干渉しすぎるというか、それでいて目立つ存在がいると排除するかのように抑制してくるその空気感にうんざりしていたのだろう。そんな環境にいた事もあって、他人が自分の人生・自分の気持ちに干渉してくるのが嫌だったのだと思う。そんな野薔薇が心許していたのが、地元ではふみちゃん、沙織ちゃんで、上京してからは虎杖、恵、五条、真希、パンダ、棘だったのだ。野薔薇の人生の席に座っている皆のシーンを見ると、どれだけ大事な存在だったのかが分かる。

 沙織ちゃんやふみちゃんと離れ離れになる時、そして虎杖の死を知った時、野薔薇は涙を流していた。いつも気高く逞しい野薔薇も、仲間との決別は悲しいものなのだ。今回野薔薇がどういう状態になってしまったのかはまだ明確には分からないが、彼女が最後に告げた言葉は最期のつもりで述べたに違いない。涙を見せず、笑顔で胸を張って「悪くなかった!!」と言い切る姿には、「野薔薇ちゃんは最期まで野薔薇ちゃんだった」と思った。呪術師には悔いのない死はないと言うが、彼女は恐らく後悔していないのだろう。果たしたい約束や、やりたい事もまだまだ色々あったと思う。でも、野薔薇ちゃんにとってそれは悔い・後悔として残していないような気がするのだ。呪いの言葉すら残さない姿に心打たれた。

野薔薇「狭ぇ村だからさ、友達になるより他人になる方が難しいのよ」(単行本15巻)

野薔薇「(あの村の連中は全員頭がおかしい、そんなことはない。でも、おかしい奴の声は大きくて自分以外の全てに思えて、土足で他人の人生を踏みにじるもんなんだ)」

野薔薇「…っていうわけでもなかったかなぁ」(単行本15巻)

野薔薇「結局助けられる人間なんて限りがあんのよ。私の...人生の席...っていうか、そこに座ってない人間に私の心をどうこうされたくないのよね。......冷たい?ま、アンタみたいに自分で椅子持ってきて座ってる奴もいるけどね」(単行本8巻)

 筆者は正直、野薔薇の死は確定してない状況なのではと思っている。そう信じたいだけなのかもしれないが、「あの野薔薇ちゃんが?」という気持ちが大きい。変な話、改造人間にされてしまった訳でもないし、治療の施しようもないくらいの状況ではない。真人の無為転変についてもう少し理解していかねばならないと思うが、基本的には「魂に触れてその形を変える」というのが真人の術式だ。顔の左半分に触れられ弾けるような描写はあったが、脳へのダメージはそこまで無さそうに見える。そしてその魂についても、野薔薇ちゃんの魂めちゃくちゃ強そうだけど果たして一発でアウトになるのか?という疑問もある。こればっかりは本編を読み進めないと分からない事なのであろう。ただ、清く美しく去った野薔薇ちゃんのことをあれこれ言うのもナンセンスかもという気持ちもあるので、彼女の気持ちを受け止めながらひっそりとまた逢えることを願っておこうと思う。

■次回、第44話について

 次回は野薔薇が倒れた後の虎杖vs真人戦で緊迫した状況が続きそうだ。ただ、予告を見ると回想シーンの気配がある。今回地元の親友ふみちゃん&沙織ちゃんの話が回想として挟まれたが、次回は高専メンバーとの話がありそうだ。話の流れは全然分からないが、野薔薇が飲み物をこぼす話???がある模様。久しぶりにほっこりした話が差し込まれそうというのと、それがどうストーリーに絡んでくるのかが楽しみである。渋谷事変が地獄すぎるので、もう回想でもいいから日常要素を…!!と思っていた筆者にとっては非常にありがたい。五条先生も今や獄門疆の中で全くといっていいほど出番がないし、久しぶりに1年ズ+先生の様子が見れたら嬉しいな~というところだ。楽しみな分、倒れている野薔薇の顔や、床に転がる金槌や刀が度々映っているのを見ていると心が沈んでいく…。こんなに気分が浮き沈みする予告は初めてである。

 予告で写っていた絵のメモ)コップを真上を見たような絵、デフォルメ伊地知さん、倒れている野薔薇、涙がにじんでいる虎杖の目元、嘲笑う真人の目元、地面に転がる野薔薇の金槌&七海の刀、何か(服?手帳?)に飲み物をジャーっとかけるデフォルメ野薔薇、嘔吐する?虎杖(真人が首の後ろを掴んでいるっぽい)、マグカップを手で倒す絵

■おまけ:第123話の扉絵が素敵

 単行本14巻に収録されている第123話の扉絵が夏!!という感じでとても素敵だった。1年ズ+五条先生でアイスを食べている図だ(恵は食べてない)。この絵のポスターかポストカード販売してないかしら…。

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第、掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。