【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第42話「理非」の感想など【七海&野薔薇の考察】

 11/23(木)に呪術廻戦2期第42話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本14巻

・第120話 渋谷事変㊳ p.96~

・第121話 渋谷事変㊴

・第122話 渋谷事変㊵

ファーストインプレッション

 いつも呪術廻戦をリアタイした後、次の週まで5回くらいは見直しているのだが、今回は七海の死を何度も見るのが辛くてなかなか再生ボタンに手が伸びなかった。こうなる予感はしていたし覚悟をしたつもりで観ていたが、受け止めきれないというのが正直な感想である。

 美しいマレーシアの海辺を散歩しながら羽を伸ばして心地よさそうにしている七海と、現実世界のボロボロの七海とが交互に映されていた所は何とも言い難い複雑な感情になった。意識も朦朧としていて、頭の中はほぼ夢の世界といった様子だった。それくらい消耗しているという事であろう。痛ましい姿となっても尚歩みを止めず戦い続けるのはもうほぼ無意識下での行動だろう。

 海辺でリフレッシュしている七海は今まで初めて見る表情をしていた。肩の荷下りて、開放的な様子だった。何といったらいいか分からないが、あの幸せそうな表情に少しホッとしたというか何というか…。死後の世界なのか、今際の際の幻想なのかは分からないが、七海が理想の世界で羽を伸ばしている姿が見れてどこか安堵した気持ちだった。

 「事実に即し、己を律する」、自分にも他人にも厳しく対等な七海は皆の軸とのなる立場だっただろう。人の痛みも理解でき、頼もしく優しい七海は皆に愛される素敵なキャラクターだった。今までたくさん悩んでたくさん苦労してきただろうから、ゆっくり休んで欲しい。今までやりたかったけどできなかった事も多々あるだろう。好きな場所で、好きな事をして、七海の魂が温かく柔らかい場所でほぐれていくといいなと思う。本当にお疲れ様でした。

テレビアニメ「呪術廻戦」第42話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:虎杖の脳内に響く言葉

 自分の発した言葉や、掛けられた言葉が次々に脳内に流れるような演出と、息の上がった虎杖の息遣いが辛くて仕方がない。どの言葉も虎杖が呪術師を目指し、呪術師として今まで過ごしてきた中で重要なものである。特におじいちゃんの遺言や、順平の言葉には心が抉られる。最後の台詞が宿儺の「オマエがいるから人が死ぬんだよ」というのも、もう見てられないくらいしんどい。

 そしてタイトルが白地に黒い文字で「理非」と出る。今までのエピソードと今回の話が差別化されていて大事な1話であることが分かる。

・Aパート:七海の理想の世界と現実

 オープニング明けの真っ青な画面。そして波のカット。七海が心地よさそうに風に吹かれている。海辺を一人でゆっくり歩いている姿に不安と困惑を感じた。そして現実の七海に切り替わる。どこか不気味な地下街を歩く姿を見て、先ほどの海辺は七海の頭の中・心の中なのだなと。もうあちらの世界に意識が向いているのだなというのが察せられる。

 通り過ぎた証明写真機の中には、身体を折り曲げて佇む真人。思わず「うわ…」と声が出てしまった。2人はやはり出会ってしまったのである。真人に気づかない七海はもう相当限界のようだ。

 改造人間の待つエリアまで降りてきた後からの七海の台詞と、交互に映る海辺と渋谷駅構内、そしてピアノのBGMにもう涙が出て仕方がなかった。マレーシアの海辺に家を建てて本を読んで…と理想の過ごし方に思いを馳せつつ、「違う、私は今」と言いながら伏黒や真希、直毘人の安否を気にしている様子に、七海の意識もあちらの世界と現実世界を行ったり来たりな状態なのだなというのが表れていて辛い。「…疲れた。疲れたな、そう疲れたんだ。もう充分やったさ」という言葉には七海の想いが詰まっているようで、何とも言えない気持ちになる。

 それでも改造人間に挑む七海。ボロボロな身体で戦う姿と、海辺でリラックスしている姿が重なるような演出で、もう辛くて辛くて仕方がない。術式を使う余地もなさそうだったり、途中意識が削がれて頬を打たれたりする姿も痛々しい。もう休んでくれと目を背けたくなる程だった。地下街を歩く虎杖は落ち込んだ様子だったが、戦闘の音に気付いて駆けていった。虎杖!ナナミンがいるよ!戦ってるよ!!と伝えたくなる。

・Aパート:七海の遺した言葉

 ピタリと止まり、え…と思うと「いたんですか」と七海が問いかけ、「いたよ、ずっとね」と真人答える。七海の背には真人の手が当たっていた。そして虎杖の視点で先のやり取りがなされる。状況を目にして理解するまでの虎杖の表情と息遣いの変化も辛い。

 真人が「ちょっとお話するかい?君には何度か付き合ってもらったし」と言うと、七海は灰原に問いかけ始める。七海の最期の言葉である。結局自分は何がしたかったんだろうと問う七海。そして灰原が何かを言ったのであろうか、七海が「駄目だ。それは違う。駄目だ灰原。言ってはいけない。それは彼にとって呪いになる」と否定する。

 虎杖に気づいた真人は、ちょうどいいところに来たねみたいな感じで嬉しそうだ。虎杖の「ナナミン…」の声が弱弱しくて辛い。まるで迷子の子どものような印象を受けた。灰原が指をさしてまた何か言ったのであろう。七海が驚いたような表情をする。「駄目だ」と再度否定するも、灰原に押されたのだろうか、七海は眉を下げ笑みを浮かべて表情を緩めた。そして覚悟を決めたような表情になり、重たい口を開くようにして「虎杖君、」と呼び掛け「後は頼みます」と言葉を遺す。この時、虎杖からは火傷の部分が見えにくいような振り返り具合という所に七海の優しさを感じてしまったのは私だけではないだろう。最期の言葉を遺した七海は、真人によって殺されてしまった。

・Aパート:虎杖vs真人

 「なんなんだ、オマエは!!なんなんだ!!真人!!」「デケェ声出さなくても聞こえてるよ!!虎杖悠仁!!」の声の張り合いも凄かった。ここからは真人vs虎杖となるが、もう真人の最低で最悪で気持ち悪い部分が存分に表現されている。毎回思うが、島崎信長さんはほんっとうにハマり役だと思う。素晴らしい。島崎さんが演じたからこそ、真人の良さ(悪さともいうが)がピカピカに輝いているように思う。こんなに魅力的な悪役はなかなかいない。

 七海の言葉が虎杖の脳内で再生されてからの、「証明しろ、俺は(君は)呪術師だ」に七海の声重なっている所には、七海が虎杖の傍にいてくれているような、そんな温かさを感じた。

・Bパート:虎杖vs真人

 先程も述べたが、真人の戦い方がいちいち気持ち悪いし、この人は何でもアリだなともはや呆れてしまうくらいだ。そして脹相戦でも流れていたアップテンポのBGMがカッコよい。(サントラ予約せねば…)

 「虎杖の魂には改造人間の方が効く。そして俺達はもう一枚ダメ押しのカードを手に入れる」という台詞が最低すぎるし、もうこれ以上やめてくれと思った。

・Bパート:回想

 波に攫われる人々が映ったと思ったら、陀艮が人を吸引していて真人が横で飲め飲め言っている。漏瑚が見切れていてちょっと可愛い。虎杖を殺そうと浮きだつ真人を漏瑚が咎めるが、真人が分裂して二手に分かれて去って行ってしまった。分裂もできるとか聞いてない…となった。真人が展開した改造人間の壁に阻まれる漏瑚が可愛い。ここに来て漏瑚に癒されるとは思わなかった。

・Bパート:野薔薇vs真人

 ところ変わって真人が誰かに話しかけている。すると野薔薇の声が聞こえて、真人の影から姿が見える。真人に煽りで返していく野薔薇ちゃんの喧嘩っ早さ。通常運転で安心する。個人的に野薔薇ちゃんの戦闘シーンがめちゃくちゃ好きで、今回も簪を

唱える時のカットが美しい&かっこいいでグッと来た。そして後ろに飛んで構えを取る仕草も素晴らしい。

 野薔薇には早く逃げて!と言いたい気持ちでいっぱいだが、多分野薔薇ちゃんの性格的には引かないだろうな~というのと、真人も真人で完全に野薔薇をターゲットとしてロックオンしてしまっていて、あぁ、もう逃げられない…やばい…となってエンディングとなった。次の43話が怖い。

考察・疑問など

・七海の想い、遺した言葉

 虎杖が近くにいる事に気づいた七海は一体どんな気持ちだっただろうか。慕っている人間が目の前で殺されるのを虎杖は見なければならない訳で、その絶望や悲しみ、怒り等の様々な感情や思いを抱かせてしまう事に申し訳なさがあったのではないかと思った。明確には描かれてないが、灰原が殉職したあの任務には七海も同行していて、目の前で灰原が亡くなるのを見てしまった可能性もある。そして灰原が何か七海に言葉を遺していたかもしれない。七海は仲間を目の前で失うその辛さを理解しているからこそ、虎杖の存在に気づいてショックを受けたような表情を浮かべたのかもしれないと思った。遺される虎杖に対し、何か虎杖の支えとなるような言葉を遺さねばならないという気持ちもあっただろう。その中で、灰原とのやり取りの中で「駄目だ、それは違う」「言ってはいけない」と虎杖に呪いをかけないように葛藤していたのだろう。

 原作とアニメの表現を総合して考えると、七海の遺した「虎杖君、後は頼みます」という言葉は虎杖を縛り付けてしまう言葉だったかもしれない。危惧していた”呪いの言葉”だったのかもしれない。だけれども、虎杖が七海からこの言葉を貰っていなかったら…と想像してみると、これは呪いの言葉だけど呪いじゃないという形になるのではなかろうかと思う。だってあのナナミンなのだ。虎杖にとって本当に重荷になるようなことは言わないはずだ。大人オブ大人で、子どもを子どもとして扱ってくれる、人の痛みが分かる慈悲深い七海だ。きっと今後、虎杖の心の支えになる言葉なのだと思う。七海自身もまた、虎杖に託すことによって今まで背負っていた荷が下りたと信じたい。虎杖がどう受け止めるかは分からないが、きっと七海の分も生きてくれるはず。そう願わずにはいられない。

・灰原と七海のやり取りを紐解く

 七海が灰原に語りかけるシーンがあるが、ここをきちんと汲み取りたいのだがなかなか解釈が難しい。リアタイ後に原作も読んだが、原作で受けた印象とアニメの印象が少し違うというか…でも恐らく、芥見先生の意向を汲んだ上であのアニメの演出になっているはずだ。双方の流れをまとめつつ、どんなやり取りだったのか自分なりに整理してみたい。

1)原作

 

七海の台詞、動作・様子

灰原の動作・様子

その他

1

「灰原、私は結局何がしたかったんだろうな」

 

2

「逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて」

 

3

虎杖の方を指刺す灰原(真人がいた位置にいる)

 

4

虎杖に気づく七海

 

5

虎杖に気がつく真人

6

七海に気がつき、声をかける虎杖

7

「駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」

 

8

「虎杖君、後は頼みます」

 

 灰原が真人の立っている位置に見えていることや、花御の下記の台詞を加味すると真人の「ちょっとお話するかい?」が違う意味にも聞こえてくる。七海とは発現したばかりの頃からの付き合いだし、七海から色々吸収した知識もある。それにもう七海はボロボロで、真人的にはちょうど居合わせた虎杖に七海の死を見せつけさえできれば十分なので、気まぐれに最期の時間を取ってくれたのだろう。花御の言葉を入れ替えると、真人とは人にとって”死(=鏡)”そのものという事になる。そして”鏡(=死)”の向こうにもまた”人”が佇んでいるという解釈もできるので、真人は七海の鏡となり死の世界にいる灰原を映し出していた…みたいな捉え方もできるな~と。

順平「真人さんはなんの呪いなんですか?」

真人「人間。俺は人が人を憎み恐れた腹から産まれた呪いだよ」(単行本3巻)

花御「”人”が恐れ忌む”死”、だがその向こうにもまた”人”が佇んでいる

花御「”人”にとって”死”は鏡。真人はその鏡そのものです」(単行本14巻)

七海「……いたんですか」

真人「いたよ、ずっとね。ちょっとお話するかい?君には何度か付き合ってもらったし

七海「(灰原、私は結局何がしたかったんだろうな)」

七海「(逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて)」

七海「(駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる)」

七海「虎杖君、後は頼みます」(単行本14巻)

 そして灰原は七海に対して、虎杖に関する何等かの言葉を七海にかける。それについて七海は「駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」と反対している。そして「虎杖君、後は頼みます」と告げる。流れ的には、七海は虎杖にとって呪いにならないように、「後は頼みます」という託す言葉を遺したように感じられた。(後述のアニメの流れを踏まえると、「後は頼みます」が呪いになることを分かっていて言った可能性が濃厚。)

2)アニメ

 

七海の台詞、動作・様子

灰原の動作・様子

その他

1

「灰原、私は結局何がしたかったんだろうな」

2

「逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて」

3

七海の前に歩み寄る灰原

4

「駄目だ、それは違う」

5

「駄目だ、灰原」

口元だけ笑みを浮かべる灰原。目のハイライトもほぼなく、顔に陰りもあり、少し不気味な出で立ち。

6

言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」(否定的な表情)

7

虎杖に気がつく真人

8

「ナナミン…」と弱弱しく声をかける虎杖

9

虎杖の方を指さす灰原

10

虎杖に気づく?七海(瞳がキュッと小さくなる)

 

11

「駄目だ。」(虎杖の方に瞳を動かす七海)

 

12

七海をぐっと見つめる灰原。圧を感じさせるような顔の動作。

13

駄目だと言いかける。眉を下げて微笑。そして覚悟を決めたような表情になる。

14

(言いにくい言葉を無理やり言おうとしているような口の動き)「虎杖君」

15

歩みを止める虎杖

16

「後は頼みます」(穏やかな笑みを浮かべて)

 リアタイして初見でこのシーンを見たとき、そもそも4が何に向けての「駄目だ、それは違う」なのかが分からなかった。伝えたい思いがあるが、「駄目だ、それは違う」という自分に対しての言葉なのか、灰原が言った事に対しての言葉なのか。

 そして気になったのは、5の灰原の表情だ。正直、不気味でゾッとした。懐玉・玉折で見た灰原は元気でハツラツとしていて、目に活力があり、明るい!を体現したような人物だった。今回このカットでは、目のハイライトもかなり控え目で、目元に陰りがあり、口だけ笑みを浮かべているような表情だった。生前の灰原のイメージとはかけ離れている。本当に灰原なのか?と疑ってしまった。意図的にあのように描いたと筆者は受け取ったのだが、皆さんはどう捉えているのだろうか…?

 上記に加え、9の指をさす灰原にも少し違和感を感じてしまう。無表情で虎杖の方を指す様子には、なんだか虎杖を責めるようなそんなニュアンスを受け取ってしまった。12は七海を説得するような、そんな表情に見えた。

 ただ、仮に”灰原が虎杖を責めるような事を言っていた(呪詛)”とすると、12までは筋が通るのだが、13の七海の言動と繋がらない。例え親友であっても虎杖を否定するような事を言われて、七海が13のような微笑をしないはずだからだ。だとしたら…?灰原は何を訴えていたのだろうという事になる。灰原が「後は頼みます」という言葉を七海に提案し、七海が「駄目だ」「言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」と否定していたのだろうか?それは何故か?

 客観的に「後は頼みます」という言葉は呪いにならないと思う。マイナスな意味でもないし、単純にそのままの意味で仲間に託す言葉と捉えられる。しかし1つ考えられるのは、七海自身が灰原にあの言葉を遺されて苦しんだのかもしれないということだ。先ほども述べたが、灰原が殉職した例の任務には恐らく七海も同行していて、まさに亡くなる直前に「後は頼む」と言われたのではないだろうか?

 七海は高専で呪術師を目指して学んでいく中で、いろんな事を感じてきただろう。灰原の死や夏油の離反も受け、呪術師なんてうんざりだと思う事も多々あっただろう。そうして選んだのが一般企業で働く事。そこでは呪いと他人との関わりを絶つためにお金のことだけを考え、お金に縛られていた七海。そんな中、体調不良に悩むパン屋の女性の蠅頭を祓い、そこで言われた「ありがとう」にやりがいを感じてしまった七海は、再び呪術師として出戻ることになったのだ。一般企業で働いていた七海は、きっと「呪い」と「他人」を避ける事で頭がいっぱいだったのだろう。呪術師でないのにずっとそこに縛られていたのだろう。だから”逃げた”という言葉を使ったのではないだろうか。更に灰原に「後は頼む」と言われていたとしたら、その呪縛はより一層強いものだっただろう。呪術師として生きる辛さを七海は痛いほど理解している。呪いに立ち向かう厳しさ、仲間を失う絶望そういったものに虎杖の人生を縛り付けてしまいそうだったから、「言ってはいけない」と躊躇していたのかもしれない。

 七海がずっと抱えていた呪いを虎杖に託すことで、七海はある意味解放されたというか…自由になれたのかもしれない。ただやはり物凄く覚悟がいる言葉だっただろう。子どもは守るべき対象と唱えている七海が、自分より10も違う少年に呪いをかけることになるのだから。

・野薔薇が危ない気がする

※次回予告の映像も考察のヒントとして含むので、気になる方は飛ばして下さい。※

 予告に野薔薇の回想らしきカットが複数入っていたのが嫌な予感を助長させる。2年の先輩たちや、1年ズの皆そして五条先生、沙織ちゃんと思しき子、どの人物も野薔薇にとっては大事な存在だろう。そして予告の最後が、後ろ姿というのも何とも言えない不穏な空気を感じてしまう。

 真人は虎杖を”精神的に殺す”ために野薔薇を徹底的に追い込むだろう。真人は紛うことなき特級呪霊。そして野薔薇は1級術師に推薦されたばかりだ。そもそものレベルの格差は著しく大きく、更に”あの真人”である野薔薇にとってはかなりの強敵となるだろう。

 お互いどこまで知っているのかということから整理する。真人は恐らく野薔薇のことは”虎杖の大事な仲間”という認識しかないはずなので、技や性格等は事前には知らない状態であろう。野薔薇は”魂に関わる術式”と”手に触れてはならない”という点については情報共有されていたようだ。

 次に真人にどう戦うべきなのかについて。現状野薔薇は知らないが、対真人戦において重要なのは魂にダメージを与えなければならないという点である。そして絶対に手に触れない事、領域展開をさせない事。それぞれに対して考えてみる。

①魂にダメージを与えなければならない

 こちらに関しては野薔薇は可能だと筆者は考える。そしてその鍵を握るのは、「芻霊呪法 共鳴り」だ。この共鳴りを使えれば、真人の魂に直接ダメージを与えることが可能だろう。現状野薔薇は①の条件に気づいていないが、野薔薇の観察力と洞察力があれば戦う中で察する事はできると思うので、上手くそこまで持っていけるかというのが重要になってくる。だが問題は、共鳴りが真人を祓える程の効果を発揮するのかどうか…である。分裂した真人がオリジナルからどの程度力の差があるのかという事もあるが、正直言うと野薔薇一人では厳しいのではないかなと思う。少なくとも、オリジナルの真人であった場合は真っ向勝負は無理であろう。加勢を狙った時間稼ぎ、もしくは逃げに徹するという方向性にしないと生存確率は下がる一方であろう。あの真人が元の1/2くらいの実力になっていれば野薔薇でも勝てるかな…くらいである。

 そしてそもそも、真人の一部を手に入れる事の難易度が高すぎる。例えば一番お手軽そうな髪の毛を引きちぎるにしても、真人に近づかなければならないので相当な難しさだ。また野薔薇の攻撃手段は釘と金槌なので、身体の一部を切って入手することも更に難しそうである。街中の物を上手く使って戦闘すれば可能性はなくはないが..。実力差という件もあるので、真人の欠損部位を入手して共鳴りを撃ったとしても、真人を祓える程の威力になるのかが何とも言えないところだ。(逆に、格上の相手の方が”稀少”ということで攻撃力が底上げされる可能性もあると思うが、その辺はまだ分からない。)

②手に触れない事

 野薔薇は釘を飛ばして戦える中距離攻撃タイプでもあるので、七海や真希のような近接系の術師よりは安全に戦えるだろう。だが、真人はその気になれば身体を変形させて急接近することもできるので、その前に逃げ切るか加勢が来るかしないと厳しいだろう。

③領域展開させない事

 分裂した真人がもし呪力量も少なく領域展開ができない状態であれば杞憂だが、もしできる状態であれば一大事である。呪力を削って物理的に不可能な状態にする等しないと止めようがないので、こればっかりは完全に運である。しかも真人は口の中で印を結ぶことができるという初見殺しなタイプだ。戦闘を長引かせたり興味を持たせすぎると危険のパーセンテージがどんどん上がっていくので、どうにか逃げるか何かしらのアクシデントを祈るしかない。

 オープニングの考察でも述べたが、野薔薇が左目を覆っているカットがある。全く根拠もない勘だが、この真人戦においてこのカットに隠されたメッセージが分かるのだろうなと感じる。

 以上で考えた通りかなり劣勢だが、こっちも“あの野薔薇ちゃん”なのだ。そう易々と真人の思惑通りにいかないだろうとも思う。野薔薇の頼もしいところは、覚悟の決まり方がダントツである事・根負けしない強い精神力・観察力&洞察力の高さ である。もし真人の思惑に気づいた場合、死んでも自分の身体は真人に渡さないだろうなくらいの頼もしさがある。心配なのは、野薔薇ちゃんは絶対に逃げるということを選ばなさそうという点である。虎杖レベルの味方が1人でもいればいけると思うが、野薔薇ちゃん1人で真人を相手するのはちょっと荷が重そうだ。どうにか…どうにか無事でいてほしい。

芻霊呪法 共鳴り:対象から欠損した一部に人型を通して呪力を打ち込むことで、対象本体にダメージを与える術式。術式範囲の制限はゆるく、対象との実力差、欠損部位の希少価値によって効果が変わる。(単行本7巻)

■次回、第43話について

 考察パートでも述べているように、野薔薇vs真人がメインになりそうだ。野薔薇にとって大事な存在を思い返しているようなカットが挟まれていたのが気がかりである。最期に後ろ姿を見せているのも心配になってしまう。野薔薇にとって大事な局面になることは間違いないだろう。オープニングのカットの謎も解けそうである。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットOPムービー(URL: https://youtu.be/5yb2N3pnztU?si=d5qCu87WR5445kct)より

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。