【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第43話「理非-弐-」の感想など【野薔薇の考察】

 11/30(木)に呪術廻戦2期第43話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本14巻

 ・第123話 渋谷事変㊶

 ・第124話 渋谷事変㊷

 単行本15巻

 ・第125話 あの子の話

リアタイ後の所感

 前回に引き続き辛い回となった。渋谷事変が本当に絶望の塊すぎて、アニメを観進めるのがしんどくなってきている。今まで観てきたアニメの中でもこんなにバタバタと好きなキャラたちがいなくなってしまうものはなく、精神的になかなかくるものがある。当時原作を追っていた方たちの中にも途中で読むのを辞めてしまったという方もいるのではないだろうか…。思い入れのあるキャラクターが苦しんだり亡くなっていくのは本当に辛い。そんな中、筆者の今のモチベは東堂である。東堂の登場を目標に頑張って観進める。

 さて、今回は野薔薇にスポットが当たった1話となった。彼女を形成する過去の話が語られ、価値観や人生観と言ったものが垣間見えた。個人的に野薔薇は推しと言っていいほど好きなキャラクターで、野薔薇の残してきた台詞に支えられることも多かった分、今回のストーリーは辛くて仕方がなかった。最後に虎杖に向けた笑顔と「悪くなかった」と言い切る姿はとてもかっこよくて「野薔薇ちゃんほんと大好きだわ~~~~」となった。

テレビアニメ「呪術廻戦」第43話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:帳内へ向かう野薔薇

 「アイツらが戦ってるのに、独りだけ帰るなんて私にはできない」と言い、止める新田を押し切って帳内に進む野薔薇。野薔薇らしい選択だが、行かないでくれと思ってしまうのは筆者だけではないだろう。

・Aパート:虎杖vs真人

 一般人を巻き込みながら虎杖を攻撃する真人。虎杖が割り切れていない部分を突いてくるような戦い方には、毎度反吐が出そうになる(褒めている)。真人がぶつけてきた男性をちゃんと抱えるように受け身を取っていたり、その一般人が既に真人の手駒と化しているのにまたもや隙を与えてしまうのも虎杖らしい。

・Aパート:野薔薇vs真人

 真人の攻撃を避ける野薔薇の動きが美しい。冷静に戦う姿や鋭い目つきからは、触れたらアウトな真人に対して戦略立てて動いていることが伝わってくる。真人の接近を警戒する野薔薇に対し、本体と違って改造人間をいじったり他者の魂には干渉できない事をモノローグで明かす。

 「分かっててもやんなきゃなんねぇ時があんだよ」と言って走る部分の作画が個性的で面白かった。また、下に降りてきた野薔薇が「ずっと考えてたんだ。アンタの術式聞いた時から、コレは効くんじゃないかって」と言いながら共鳴りを放つがめちゃくちゃかっこよくて、うわ~!!!っと気分が高揚した。まさか真人自体を人形にして共鳴りを撃つとは…!!!熱い展開すぎる!!共鳴りを撃った瞬間に、真人の本体を辿るような演出も素晴らしかった。真人本体から釘が露出した事で、虎杖は野薔薇も今まさに戦っていることを察する。「妙だな、少し離れた所で私の呪力が爆ぜる感じがした」と言い、「オマエ分身かなんかで術式使えねぇんだろ!!」と言い当てる野薔薇がこれまたかっこいい。野薔薇も「…正解」と言う真人も悪い顔をしていて最高である。

・Aパート:虎杖vs真人

 動けない真人に畳みかける虎杖のシーンでは、動作の俊敏さや打撃の重さだったりが表現されていた。そして虎杖の「釘崎、ありがとう。俺には誰も救えなかった。皆の苦労も台無しにしてしまった。それでも、俺は一人じゃないとそう思わせてくれて。だから!!オマエはここで殺す!!」という台詞に胸が熱くなった。特に「釘崎、ありがとう」の静かな言い方が心にスッと入ってくる。

・Aパート:野薔薇vs真人

 こっからが本番かと思っていたら、急に逃げ始める真人。追う野薔薇に対して大丈夫かなと不安が過る。地下に逃げ込む真人を見て、うわ合流して野薔薇を…と察してしまってまずいまずいとハラハラしてしまう。

・Aパート:合流

 虎杖を翻弄し、本体の真人もまた動き始める。本体と分身が合流し入れ替わり、影から野薔薇が見えたときの絶望感といったら…。「逃げろ!!!釘崎!!!」と声を絞りだすように叫ぶ虎杖。ここの絵の演出がまた…すごい。叫びながら手を伸ばす虎杖から、野薔薇が触れられるまでの流れがより一層絶望感を煽る。

・Aパート:回想

 時は2009年、スマブラをしている幼い野薔薇から始まった。

・Bパート:回想

 ランドセルを選ぶ女の子と、その子のモノローグから始まった。水色のランドセルを選んだ彼女は学校でいじめに合っていたようだ。ロッカーの上に置かれたランドセルを取ろうとして落ちそうになったところを野薔薇が登場。そして「ねぇ!ふみのランドセルさ、交換しよ!!」という野薔薇。カワイイ。そしてしっかりいじめっ子に仕返しをして、先生に「釘崎またオマエかー!!」と追いかけられていた。ふみちゃんの家に入り浸ってゲームをする野薔薇、体が動いてしまっているのもとても可愛い。小さい頃から曲がった事が嫌いで、勝気な性格だったのだな~とほっこりしてしまう。

 「狭い村だから友達になるより他人になる方が難しいんだよ」という野薔薇の達観ぶりと言ったらなんの…。赤飯を持ってくる近所のおばあちゃんの気色悪さ、あの表現絶妙に気持ち悪くて芥見先生すごいなと思った。

 ふみちゃんを連れて沙織ちゃんの家に遊びにきた野薔薇のウキウキ具合もめちゃくちゃ可愛くて、年相応の様子ににまにましてしまう。優しいお姉さんが自分の知らないお菓子を出してくれたりお洒落なおもてなしをしてくれて毎回心躍っていたんだろうなと思う。

 沙織ちゃんの家が村から疎外され始め、引っ越すことになったのが寂しくて大泣きしている野薔薇。そして野薔薇自身が上京する際にふみちゃんとの別れを惜しんで泣くのを我慢する様子には、こっちも泣きそうになった。

 そしてところ変わって沙織ちゃんサイドに。次は沙織ちゃんが野薔薇へ思いを馳せる。懐いてくれていた野薔薇が可愛くて当時背伸びしてもてなしていたと思い出話をする沙織ちゃんにもほっこりする。「元気かな野薔薇ちゃん、今どこで何してるんだろ」と言う台詞には、「野薔薇ちゃん戦ってるよ、沙織ちゃんに会いたがってたよ!!」と言いたくなってしまう。

・Bパート:野薔薇の人生の席

 椅子でいっぱいの空間に佇む野薔薇。野薔薇が以前言っていた、“私の人生の席”の概念を表した空間だろう。「(あの村の連中は全員頭がおかしい、そんなことはない。でも、おかしい奴の声は大きくて自分以外の全てに思えて、土足で他人の人生を踏みにじるもんなんだ)」というモノローグから始まり、ソファに仲良く座る五条・虎杖・恵、そして真希・棘・パンダの姿が映る。彼らを見て、「っていう訳でもなかったかなぁ」と微笑む野薔薇。振り返るとふみちゃんがいて、別れを惜しんでいるような思い詰めたような顔をしている。「ゴメンね、ふみ。約束守れなくて」という台詞と共に幼い野薔薇が立ち上がる描写には心が抉られるようだった。もうやめてくれ..そんな気分だった。

 呆然とする虎杖に「虎杖、皆に伝えて」と言い、「悪くなかった!!」と笑顔で告げて倒れていく。最後まで野薔薇ちゃんは野薔薇ちゃんだった。だが、七海の事と言い目の前で大事な仲間を2度も失ってしまった虎杖の悲しみや怒りは我々では計り知れない程のものだろう。画面が暗転し、「釘崎」と静かに呼びかけるところで43話はエンディングとなった。

・エンディング:新規絵

 釘崎が横顔で写ってる写真が、場所はそのままでカメラ目線で親指を立てているカットになっていた。「悪くなかった!!」と言い残した野薔薇が過るようだ…。

考察・疑問など

・野薔薇について

 去り方が非常に彼女らしかった。辛かったが、それ以上に「野薔薇ちゃん大好きだな~」と改めて実感させられた。

野薔薇「男がどうとか女がどうとか知ったこっちゃねーんだよ!!テメェらだけで勝手にやってろ!!」

野薔薇「私は綺麗にオシャレしてる私が大好きだ!!強くあろうとする私が大好きだ!!私は”釘崎野薔薇”なんだよ!!」(単行本5巻)

 野薔薇は「私の人生の席に座っていない人間に、私の心をどうこうされたくないのよね」と言っていた。恐らくそれは、野薔薇の幼少期に置かれていた環境も大きく影響しているだろう。他人に干渉しすぎるというか、それでいて目立つ存在がいると排除するかのように抑制してくるその空気感にうんざりしていたのだろう。そんな環境にいた事もあって、他人が自分の人生・自分の気持ちに干渉してくるのが嫌だったのだと思う。そんな野薔薇が心許していたのが、地元ではふみちゃん、沙織ちゃんで、上京してからは虎杖、恵、五条、真希、パンダ、棘だったのだ。野薔薇の人生の席に座っている皆のシーンを見ると、どれだけ大事な存在だったのかが分かる。

 沙織ちゃんやふみちゃんと離れ離れになる時、そして虎杖の死を知った時、野薔薇は涙を流していた。いつも気高く逞しい野薔薇も、仲間との決別は悲しいものなのだ。今回野薔薇がどういう状態になってしまったのかはまだ明確には分からないが、彼女が最後に告げた言葉は最期のつもりで述べたに違いない。涙を見せず、笑顔で胸を張って「悪くなかった!!」と言い切る姿には、「野薔薇ちゃんは最期まで野薔薇ちゃんだった」と思った。呪術師には悔いのない死はないと言うが、彼女は恐らく後悔していないのだろう。果たしたい約束や、やりたい事もまだまだ色々あったと思う。でも、野薔薇ちゃんにとってそれは悔い・後悔として残していないような気がするのだ。呪いの言葉すら残さない姿に心打たれた。

野薔薇「狭ぇ村だからさ、友達になるより他人になる方が難しいのよ」(単行本15巻)

野薔薇「(あの村の連中は全員頭がおかしい、そんなことはない。でも、おかしい奴の声は大きくて自分以外の全てに思えて、土足で他人の人生を踏みにじるもんなんだ)」

野薔薇「…っていうわけでもなかったかなぁ」(単行本15巻)

野薔薇「結局助けられる人間なんて限りがあんのよ。私の...人生の席...っていうか、そこに座ってない人間に私の心をどうこうされたくないのよね。......冷たい?ま、アンタみたいに自分で椅子持ってきて座ってる奴もいるけどね」(単行本8巻)

 筆者は正直、野薔薇の死は確定してない状況なのではと思っている。そう信じたいだけなのかもしれないが、「あの野薔薇ちゃんが?」という気持ちが大きい。変な話、改造人間にされてしまった訳でもないし、治療の施しようもないくらいの状況ではない。真人の無為転変についてもう少し理解していかねばならないと思うが、基本的には「魂に触れてその形を変える」というのが真人の術式だ。顔の左半分に触れられ弾けるような描写はあったが、脳へのダメージはそこまで無さそうに見える。そしてその魂についても、野薔薇ちゃんの魂めちゃくちゃ強そうだけど果たして一発でアウトになるのか?という疑問もある。こればっかりは本編を読み進めないと分からない事なのであろう。ただ、清く美しく去った野薔薇ちゃんのことをあれこれ言うのもナンセンスかもという気持ちもあるので、彼女の気持ちを受け止めながらひっそりとまた逢えることを願っておこうと思う。

■次回、第44話について

 次回は野薔薇が倒れた後の虎杖vs真人戦で緊迫した状況が続きそうだ。ただ、予告を見ると回想シーンの気配がある。今回地元の親友ふみちゃん&沙織ちゃんの話が回想として挟まれたが、次回は高専メンバーとの話がありそうだ。話の流れは全然分からないが、野薔薇が飲み物をこぼす話???がある模様。久しぶりにほっこりした話が差し込まれそうというのと、それがどうストーリーに絡んでくるのかが楽しみである。渋谷事変が地獄すぎるので、もう回想でもいいから日常要素を…!!と思っていた筆者にとっては非常にありがたい。五条先生も今や獄門疆の中で全くといっていいほど出番がないし、久しぶりに1年ズ+先生の様子が見れたら嬉しいな~というところだ。楽しみな分、倒れている野薔薇の顔や、床に転がる金槌や刀が度々映っているのを見ていると心が沈んでいく…。こんなに気分が浮き沈みする予告は初めてである。

 予告で写っていた絵のメモ)コップを真上を見たような絵、デフォルメ伊地知さん、倒れている野薔薇、涙がにじんでいる虎杖の目元、嘲笑う真人の目元、地面に転がる野薔薇の金槌&七海の刀、何か(服?手帳?)に飲み物をジャーっとかけるデフォルメ野薔薇、嘔吐する?虎杖(真人が首の後ろを掴んでいるっぽい)、マグカップを手で倒す絵

■おまけ:第123話の扉絵が素敵

 単行本14巻に収録されている第123話の扉絵が夏!!という感じでとても素敵だった。1年ズ+五条先生でアイスを食べている図だ(恵は食べてない)。この絵のポスターかポストカード販売してないかしら…。

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第、掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。

【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第42話「理非」の感想など【七海&野薔薇の考察】

 11/23(木)に呪術廻戦2期第42話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本14巻

・第120話 渋谷事変㊳ p.96~

・第121話 渋谷事変㊴

・第122話 渋谷事変㊵

ファーストインプレッション

 いつも呪術廻戦をリアタイした後、次の週まで5回くらいは見直しているのだが、今回は七海の死を何度も見るのが辛くてなかなか再生ボタンに手が伸びなかった。こうなる予感はしていたし覚悟をしたつもりで観ていたが、受け止めきれないというのが正直な感想である。

 美しいマレーシアの海辺を散歩しながら羽を伸ばして心地よさそうにしている七海と、現実世界のボロボロの七海とが交互に映されていた所は何とも言い難い複雑な感情になった。意識も朦朧としていて、頭の中はほぼ夢の世界といった様子だった。それくらい消耗しているという事であろう。痛ましい姿となっても尚歩みを止めず戦い続けるのはもうほぼ無意識下での行動だろう。

 海辺でリフレッシュしている七海は今まで初めて見る表情をしていた。肩の荷下りて、開放的な様子だった。何といったらいいか分からないが、あの幸せそうな表情に少しホッとしたというか何というか…。死後の世界なのか、今際の際の幻想なのかは分からないが、七海が理想の世界で羽を伸ばしている姿が見れてどこか安堵した気持ちだった。

 「事実に即し、己を律する」、自分にも他人にも厳しく対等な七海は皆の軸とのなる立場だっただろう。人の痛みも理解でき、頼もしく優しい七海は皆に愛される素敵なキャラクターだった。今までたくさん悩んでたくさん苦労してきただろうから、ゆっくり休んで欲しい。今までやりたかったけどできなかった事も多々あるだろう。好きな場所で、好きな事をして、七海の魂が温かく柔らかい場所でほぐれていくといいなと思う。本当にお疲れ様でした。

テレビアニメ「呪術廻戦」第42話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとの感想など

・アバン:虎杖の脳内に響く言葉

 自分の発した言葉や、掛けられた言葉が次々に脳内に流れるような演出と、息の上がった虎杖の息遣いが辛くて仕方がない。どの言葉も虎杖が呪術師を目指し、呪術師として今まで過ごしてきた中で重要なものである。特におじいちゃんの遺言や、順平の言葉には心が抉られる。最後の台詞が宿儺の「オマエがいるから人が死ぬんだよ」というのも、もう見てられないくらいしんどい。

 そしてタイトルが白地に黒い文字で「理非」と出る。今までのエピソードと今回の話が差別化されていて大事な1話であることが分かる。

・Aパート:七海の理想の世界と現実

 オープニング明けの真っ青な画面。そして波のカット。七海が心地よさそうに風に吹かれている。海辺を一人でゆっくり歩いている姿に不安と困惑を感じた。そして現実の七海に切り替わる。どこか不気味な地下街を歩く姿を見て、先ほどの海辺は七海の頭の中・心の中なのだなと。もうあちらの世界に意識が向いているのだなというのが察せられる。

 通り過ぎた証明写真機の中には、身体を折り曲げて佇む真人。思わず「うわ…」と声が出てしまった。2人はやはり出会ってしまったのである。真人に気づかない七海はもう相当限界のようだ。

 改造人間の待つエリアまで降りてきた後からの七海の台詞と、交互に映る海辺と渋谷駅構内、そしてピアノのBGMにもう涙が出て仕方がなかった。マレーシアの海辺に家を建てて本を読んで…と理想の過ごし方に思いを馳せつつ、「違う、私は今」と言いながら伏黒や真希、直毘人の安否を気にしている様子に、七海の意識もあちらの世界と現実世界を行ったり来たりな状態なのだなというのが表れていて辛い。「…疲れた。疲れたな、そう疲れたんだ。もう充分やったさ」という言葉には七海の想いが詰まっているようで、何とも言えない気持ちになる。

 それでも改造人間に挑む七海。ボロボロな身体で戦う姿と、海辺でリラックスしている姿が重なるような演出で、もう辛くて辛くて仕方がない。術式を使う余地もなさそうだったり、途中意識が削がれて頬を打たれたりする姿も痛々しい。もう休んでくれと目を背けたくなる程だった。地下街を歩く虎杖は落ち込んだ様子だったが、戦闘の音に気付いて駆けていった。虎杖!ナナミンがいるよ!戦ってるよ!!と伝えたくなる。

・Aパート:七海の遺した言葉

 ピタリと止まり、え…と思うと「いたんですか」と七海が問いかけ、「いたよ、ずっとね」と真人答える。七海の背には真人の手が当たっていた。そして虎杖の視点で先のやり取りがなされる。状況を目にして理解するまでの虎杖の表情と息遣いの変化も辛い。

 真人が「ちょっとお話するかい?君には何度か付き合ってもらったし」と言うと、七海は灰原に問いかけ始める。七海の最期の言葉である。結局自分は何がしたかったんだろうと問う七海。そして灰原が何かを言ったのであろうか、七海が「駄目だ。それは違う。駄目だ灰原。言ってはいけない。それは彼にとって呪いになる」と否定する。

 虎杖に気づいた真人は、ちょうどいいところに来たねみたいな感じで嬉しそうだ。虎杖の「ナナミン…」の声が弱弱しくて辛い。まるで迷子の子どものような印象を受けた。灰原が指をさしてまた何か言ったのであろう。七海が驚いたような表情をする。「駄目だ」と再度否定するも、灰原に押されたのだろうか、七海は眉を下げ笑みを浮かべて表情を緩めた。そして覚悟を決めたような表情になり、重たい口を開くようにして「虎杖君、」と呼び掛け「後は頼みます」と言葉を遺す。この時、虎杖からは火傷の部分が見えにくいような振り返り具合という所に七海の優しさを感じてしまったのは私だけではないだろう。最期の言葉を遺した七海は、真人によって殺されてしまった。

・Aパート:虎杖vs真人

 「なんなんだ、オマエは!!なんなんだ!!真人!!」「デケェ声出さなくても聞こえてるよ!!虎杖悠仁!!」の声の張り合いも凄かった。ここからは真人vs虎杖となるが、もう真人の最低で最悪で気持ち悪い部分が存分に表現されている。毎回思うが、島崎信長さんはほんっとうにハマり役だと思う。素晴らしい。島崎さんが演じたからこそ、真人の良さ(悪さともいうが)がピカピカに輝いているように思う。こんなに魅力的な悪役はなかなかいない。

 七海の言葉が虎杖の脳内で再生されてからの、「証明しろ、俺は(君は)呪術師だ」に七海の声重なっている所には、七海が虎杖の傍にいてくれているような、そんな温かさを感じた。

・Bパート:虎杖vs真人

 先程も述べたが、真人の戦い方がいちいち気持ち悪いし、この人は何でもアリだなともはや呆れてしまうくらいだ。そして脹相戦でも流れていたアップテンポのBGMがカッコよい。(サントラ予約せねば…)

 「虎杖の魂には改造人間の方が効く。そして俺達はもう一枚ダメ押しのカードを手に入れる」という台詞が最低すぎるし、もうこれ以上やめてくれと思った。

・Bパート:回想

 波に攫われる人々が映ったと思ったら、陀艮が人を吸引していて真人が横で飲め飲め言っている。漏瑚が見切れていてちょっと可愛い。虎杖を殺そうと浮きだつ真人を漏瑚が咎めるが、真人が分裂して二手に分かれて去って行ってしまった。分裂もできるとか聞いてない…となった。真人が展開した改造人間の壁に阻まれる漏瑚が可愛い。ここに来て漏瑚に癒されるとは思わなかった。

・Bパート:野薔薇vs真人

 ところ変わって真人が誰かに話しかけている。すると野薔薇の声が聞こえて、真人の影から姿が見える。真人に煽りで返していく野薔薇ちゃんの喧嘩っ早さ。通常運転で安心する。個人的に野薔薇ちゃんの戦闘シーンがめちゃくちゃ好きで、今回も簪を

唱える時のカットが美しい&かっこいいでグッと来た。そして後ろに飛んで構えを取る仕草も素晴らしい。

 野薔薇には早く逃げて!と言いたい気持ちでいっぱいだが、多分野薔薇ちゃんの性格的には引かないだろうな~というのと、真人も真人で完全に野薔薇をターゲットとしてロックオンしてしまっていて、あぁ、もう逃げられない…やばい…となってエンディングとなった。次の43話が怖い。

考察・疑問など

・七海の想い、遺した言葉

 虎杖が近くにいる事に気づいた七海は一体どんな気持ちだっただろうか。慕っている人間が目の前で殺されるのを虎杖は見なければならない訳で、その絶望や悲しみ、怒り等の様々な感情や思いを抱かせてしまう事に申し訳なさがあったのではないかと思った。明確には描かれてないが、灰原が殉職したあの任務には七海も同行していて、目の前で灰原が亡くなるのを見てしまった可能性もある。そして灰原が何か七海に言葉を遺していたかもしれない。七海は仲間を目の前で失うその辛さを理解しているからこそ、虎杖の存在に気づいてショックを受けたような表情を浮かべたのかもしれないと思った。遺される虎杖に対し、何か虎杖の支えとなるような言葉を遺さねばならないという気持ちもあっただろう。その中で、灰原とのやり取りの中で「駄目だ、それは違う」「言ってはいけない」と虎杖に呪いをかけないように葛藤していたのだろう。

 原作とアニメの表現を総合して考えると、七海の遺した「虎杖君、後は頼みます」という言葉は虎杖を縛り付けてしまう言葉だったかもしれない。危惧していた”呪いの言葉”だったのかもしれない。だけれども、虎杖が七海からこの言葉を貰っていなかったら…と想像してみると、これは呪いの言葉だけど呪いじゃないという形になるのではなかろうかと思う。だってあのナナミンなのだ。虎杖にとって本当に重荷になるようなことは言わないはずだ。大人オブ大人で、子どもを子どもとして扱ってくれる、人の痛みが分かる慈悲深い七海だ。きっと今後、虎杖の心の支えになる言葉なのだと思う。七海自身もまた、虎杖に託すことによって今まで背負っていた荷が下りたと信じたい。虎杖がどう受け止めるかは分からないが、きっと七海の分も生きてくれるはず。そう願わずにはいられない。

・灰原と七海のやり取りを紐解く

 七海が灰原に語りかけるシーンがあるが、ここをきちんと汲み取りたいのだがなかなか解釈が難しい。リアタイ後に原作も読んだが、原作で受けた印象とアニメの印象が少し違うというか…でも恐らく、芥見先生の意向を汲んだ上であのアニメの演出になっているはずだ。双方の流れをまとめつつ、どんなやり取りだったのか自分なりに整理してみたい。

1)原作

 

七海の台詞、動作・様子

灰原の動作・様子

その他

1

「灰原、私は結局何がしたかったんだろうな」

 

2

「逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて」

 

3

虎杖の方を指刺す灰原(真人がいた位置にいる)

 

4

虎杖に気づく七海

 

5

虎杖に気がつく真人

6

七海に気がつき、声をかける虎杖

7

「駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」

 

8

「虎杖君、後は頼みます」

 

 灰原が真人の立っている位置に見えていることや、花御の下記の台詞を加味すると真人の「ちょっとお話するかい?」が違う意味にも聞こえてくる。七海とは発現したばかりの頃からの付き合いだし、七海から色々吸収した知識もある。それにもう七海はボロボロで、真人的にはちょうど居合わせた虎杖に七海の死を見せつけさえできれば十分なので、気まぐれに最期の時間を取ってくれたのだろう。花御の言葉を入れ替えると、真人とは人にとって”死(=鏡)”そのものという事になる。そして”鏡(=死)”の向こうにもまた”人”が佇んでいるという解釈もできるので、真人は七海の鏡となり死の世界にいる灰原を映し出していた…みたいな捉え方もできるな~と。

順平「真人さんはなんの呪いなんですか?」

真人「人間。俺は人が人を憎み恐れた腹から産まれた呪いだよ」(単行本3巻)

花御「”人”が恐れ忌む”死”、だがその向こうにもまた”人”が佇んでいる

花御「”人”にとって”死”は鏡。真人はその鏡そのものです」(単行本14巻)

七海「……いたんですか」

真人「いたよ、ずっとね。ちょっとお話するかい?君には何度か付き合ってもらったし

七海「(灰原、私は結局何がしたかったんだろうな)」

七海「(逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて)」

七海「(駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる)」

七海「虎杖君、後は頼みます」(単行本14巻)

 そして灰原は七海に対して、虎杖に関する何等かの言葉を七海にかける。それについて七海は「駄目だ灰原、それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」と反対している。そして「虎杖君、後は頼みます」と告げる。流れ的には、七海は虎杖にとって呪いにならないように、「後は頼みます」という託す言葉を遺したように感じられた。(後述のアニメの流れを踏まえると、「後は頼みます」が呪いになることを分かっていて言った可能性が濃厚。)

2)アニメ

 

七海の台詞、動作・様子

灰原の動作・様子

その他

1

「灰原、私は結局何がしたかったんだろうな」

2

「逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて」

3

七海の前に歩み寄る灰原

4

「駄目だ、それは違う」

5

「駄目だ、灰原」

口元だけ笑みを浮かべる灰原。目のハイライトもほぼなく、顔に陰りもあり、少し不気味な出で立ち。

6

言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」(否定的な表情)

7

虎杖に気がつく真人

8

「ナナミン…」と弱弱しく声をかける虎杖

9

虎杖の方を指さす灰原

10

虎杖に気づく?七海(瞳がキュッと小さくなる)

 

11

「駄目だ。」(虎杖の方に瞳を動かす七海)

 

12

七海をぐっと見つめる灰原。圧を感じさせるような顔の動作。

13

駄目だと言いかける。眉を下げて微笑。そして覚悟を決めたような表情になる。

14

(言いにくい言葉を無理やり言おうとしているような口の動き)「虎杖君」

15

歩みを止める虎杖

16

「後は頼みます」(穏やかな笑みを浮かべて)

 リアタイして初見でこのシーンを見たとき、そもそも4が何に向けての「駄目だ、それは違う」なのかが分からなかった。伝えたい思いがあるが、「駄目だ、それは違う」という自分に対しての言葉なのか、灰原が言った事に対しての言葉なのか。

 そして気になったのは、5の灰原の表情だ。正直、不気味でゾッとした。懐玉・玉折で見た灰原は元気でハツラツとしていて、目に活力があり、明るい!を体現したような人物だった。今回このカットでは、目のハイライトもかなり控え目で、目元に陰りがあり、口だけ笑みを浮かべているような表情だった。生前の灰原のイメージとはかけ離れている。本当に灰原なのか?と疑ってしまった。意図的にあのように描いたと筆者は受け取ったのだが、皆さんはどう捉えているのだろうか…?

 上記に加え、9の指をさす灰原にも少し違和感を感じてしまう。無表情で虎杖の方を指す様子には、なんだか虎杖を責めるようなそんなニュアンスを受け取ってしまった。12は七海を説得するような、そんな表情に見えた。

 ただ、仮に”灰原が虎杖を責めるような事を言っていた(呪詛)”とすると、12までは筋が通るのだが、13の七海の言動と繋がらない。例え親友であっても虎杖を否定するような事を言われて、七海が13のような微笑をしないはずだからだ。だとしたら…?灰原は何を訴えていたのだろうという事になる。灰原が「後は頼みます」という言葉を七海に提案し、七海が「駄目だ」「言ってはいけない。それは彼にとって”呪い”になる」と否定していたのだろうか?それは何故か?

 客観的に「後は頼みます」という言葉は呪いにならないと思う。マイナスな意味でもないし、単純にそのままの意味で仲間に託す言葉と捉えられる。しかし1つ考えられるのは、七海自身が灰原にあの言葉を遺されて苦しんだのかもしれないということだ。先ほども述べたが、灰原が殉職した例の任務には恐らく七海も同行していて、まさに亡くなる直前に「後は頼む」と言われたのではないだろうか?

 七海は高専で呪術師を目指して学んでいく中で、いろんな事を感じてきただろう。灰原の死や夏油の離反も受け、呪術師なんてうんざりだと思う事も多々あっただろう。そうして選んだのが一般企業で働く事。そこでは呪いと他人との関わりを絶つためにお金のことだけを考え、お金に縛られていた七海。そんな中、体調不良に悩むパン屋の女性の蠅頭を祓い、そこで言われた「ありがとう」にやりがいを感じてしまった七海は、再び呪術師として出戻ることになったのだ。一般企業で働いていた七海は、きっと「呪い」と「他人」を避ける事で頭がいっぱいだったのだろう。呪術師でないのにずっとそこに縛られていたのだろう。だから”逃げた”という言葉を使ったのではないだろうか。更に灰原に「後は頼む」と言われていたとしたら、その呪縛はより一層強いものだっただろう。呪術師として生きる辛さを七海は痛いほど理解している。呪いに立ち向かう厳しさ、仲間を失う絶望そういったものに虎杖の人生を縛り付けてしまいそうだったから、「言ってはいけない」と躊躇していたのかもしれない。

 七海がずっと抱えていた呪いを虎杖に託すことで、七海はある意味解放されたというか…自由になれたのかもしれない。ただやはり物凄く覚悟がいる言葉だっただろう。子どもは守るべき対象と唱えている七海が、自分より10も違う少年に呪いをかけることになるのだから。

・野薔薇が危ない気がする

※次回予告の映像も考察のヒントとして含むので、気になる方は飛ばして下さい。※

 予告に野薔薇の回想らしきカットが複数入っていたのが嫌な予感を助長させる。2年の先輩たちや、1年ズの皆そして五条先生、沙織ちゃんと思しき子、どの人物も野薔薇にとっては大事な存在だろう。そして予告の最後が、後ろ姿というのも何とも言えない不穏な空気を感じてしまう。

 真人は虎杖を”精神的に殺す”ために野薔薇を徹底的に追い込むだろう。真人は紛うことなき特級呪霊。そして野薔薇は1級術師に推薦されたばかりだ。そもそものレベルの格差は著しく大きく、更に”あの真人”である野薔薇にとってはかなりの強敵となるだろう。

 お互いどこまで知っているのかということから整理する。真人は恐らく野薔薇のことは”虎杖の大事な仲間”という認識しかないはずなので、技や性格等は事前には知らない状態であろう。野薔薇は”魂に関わる術式”と”手に触れてはならない”という点については情報共有されていたようだ。

 次に真人にどう戦うべきなのかについて。現状野薔薇は知らないが、対真人戦において重要なのは魂にダメージを与えなければならないという点である。そして絶対に手に触れない事、領域展開をさせない事。それぞれに対して考えてみる。

①魂にダメージを与えなければならない

 こちらに関しては野薔薇は可能だと筆者は考える。そしてその鍵を握るのは、「芻霊呪法 共鳴り」だ。この共鳴りを使えれば、真人の魂に直接ダメージを与えることが可能だろう。現状野薔薇は①の条件に気づいていないが、野薔薇の観察力と洞察力があれば戦う中で察する事はできると思うので、上手くそこまで持っていけるかというのが重要になってくる。だが問題は、共鳴りが真人を祓える程の効果を発揮するのかどうか…である。分裂した真人がオリジナルからどの程度力の差があるのかという事もあるが、正直言うと野薔薇一人では厳しいのではないかなと思う。少なくとも、オリジナルの真人であった場合は真っ向勝負は無理であろう。加勢を狙った時間稼ぎ、もしくは逃げに徹するという方向性にしないと生存確率は下がる一方であろう。あの真人が元の1/2くらいの実力になっていれば野薔薇でも勝てるかな…くらいである。

 そしてそもそも、真人の一部を手に入れる事の難易度が高すぎる。例えば一番お手軽そうな髪の毛を引きちぎるにしても、真人に近づかなければならないので相当な難しさだ。また野薔薇の攻撃手段は釘と金槌なので、身体の一部を切って入手することも更に難しそうである。街中の物を上手く使って戦闘すれば可能性はなくはないが..。実力差という件もあるので、真人の欠損部位を入手して共鳴りを撃ったとしても、真人を祓える程の威力になるのかが何とも言えないところだ。(逆に、格上の相手の方が”稀少”ということで攻撃力が底上げされる可能性もあると思うが、その辺はまだ分からない。)

②手に触れない事

 野薔薇は釘を飛ばして戦える中距離攻撃タイプでもあるので、七海や真希のような近接系の術師よりは安全に戦えるだろう。だが、真人はその気になれば身体を変形させて急接近することもできるので、その前に逃げ切るか加勢が来るかしないと厳しいだろう。

③領域展開させない事

 分裂した真人がもし呪力量も少なく領域展開ができない状態であれば杞憂だが、もしできる状態であれば一大事である。呪力を削って物理的に不可能な状態にする等しないと止めようがないので、こればっかりは完全に運である。しかも真人は口の中で印を結ぶことができるという初見殺しなタイプだ。戦闘を長引かせたり興味を持たせすぎると危険のパーセンテージがどんどん上がっていくので、どうにか逃げるか何かしらのアクシデントを祈るしかない。

 オープニングの考察でも述べたが、野薔薇が左目を覆っているカットがある。全く根拠もない勘だが、この真人戦においてこのカットに隠されたメッセージが分かるのだろうなと感じる。

 以上で考えた通りかなり劣勢だが、こっちも“あの野薔薇ちゃん”なのだ。そう易々と真人の思惑通りにいかないだろうとも思う。野薔薇の頼もしいところは、覚悟の決まり方がダントツである事・根負けしない強い精神力・観察力&洞察力の高さ である。もし真人の思惑に気づいた場合、死んでも自分の身体は真人に渡さないだろうなくらいの頼もしさがある。心配なのは、野薔薇ちゃんは絶対に逃げるということを選ばなさそうという点である。虎杖レベルの味方が1人でもいればいけると思うが、野薔薇ちゃん1人で真人を相手するのはちょっと荷が重そうだ。どうにか…どうにか無事でいてほしい。

芻霊呪法 共鳴り:対象から欠損した一部に人型を通して呪力を打ち込むことで、対象本体にダメージを与える術式。術式範囲の制限はゆるく、対象との実力差、欠損部位の希少価値によって効果が変わる。(単行本7巻)

■次回、第43話について

 考察パートでも述べているように、野薔薇vs真人がメインになりそうだ。野薔薇にとって大事な存在を思い返しているようなカットが挟まれていたのが気がかりである。最期に後ろ姿を見せているのも心配になってしまう。野薔薇にとって大事な局面になることは間違いないだろう。オープニングのカットの謎も解けそうである。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットOPムービー(URL: https://youtu.be/5yb2N3pnztU?si=d5qCu87WR5445kct)より

芥見先生のコメント

 ※投稿され次第掲載予定※

■アニメーターさんの投稿

 

以上。

【呪術廻戦】神回!!アニメ勢による2期 第41話「霹靂-弐-」の感想など【宿儺の考察多め】

 11/16(木)に呪術廻戦2期第41話が放送されました。最近ずっと神回が続いていますね!いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本14巻 ・第117話 渋谷事変㉟~第120話 渋谷事変㊳ p.95まで

ファーストインプレッション: まるで映画のよう

 2期、神回が多すぎやしないか?と思ってきた。今回は前編シネマスコープで描かれていたというのもあるのだが、もう…話のまとまり方や演出や作画やら全部ひっくるめて映画1本観たのかなという程の1話だった。映画にしたってこのクオリティはすごいくらいだ。冒頭はおじいちゃんの遺言から始まり最後は虎杖のしんどいシーンという点から、呪術廻戦を1話から観てきたからこそ分かるこの…どうしようもない絶望感。友人から「呪術廻戦ってこれで一旦終わるの?」と聞かれるくらいまとまりのある話で、ある意味一つの区切りだったのかなという1話だった。筆者的にどんな区切りと捉えたかというと、“もうこっからは本腰入れて地獄ですよ”という区切りと思っている。

テレビアニメ「呪術廻戦」第41話 場面カット ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ストーリー構成

 タイトル前はアニオリの演出で、以降は多少の入れ替えはあったもののほぼ原作通り。そして、今回はオープニングなしの特殊構成だった。

シーンごとの感想など

・Aパート:遺言の回想

 「悠仁、オマエは強いから人を助けろ」というおじいちゃんの言葉、それに耳を傾ける虎杖の横顔、そしてそれが現在の宿儺の横顔に切り替わるという演出からスタートした。辺りは焼かれ、渋谷だと言われてもピンと来ないほどの有様だ。もうここだけでしんどい。疑いようのない善人で、祖父の遺言から「できるだけ多くの人を助け、多くの人に囲まれて死にたい」と願い、宿儺の指を全部食べて死ぬことを選んだ虎杖という少年にはあんまりな展開である。

・Aパート:恵の術式

 時間軸が渋谷事変に戻ってからはシネマスコープに。タイトル後は恵の視点から始まった。全体的に彩度が抑えられており、恵の血痕が鮮やかに浮かび上がっている。重面が「でもその出血じゃあ(以後省略)」と言ったときに、カメラが下がり血痕を画角に入れるというカメラワークもお洒落だ。ボロボロの状態で重面に術式について説明する恵。時間稼ぎだろうか。調伏するためにならどの式神でも呼べるという事を開示した恵は、あのポーズを取る。ついに奥の手というやつをやるんだなという緊張感が走る。

・Aパート:五条との会話(回想)

 かつて五条家と禪院家の当主が御前試合で本気で戦い死んだという話が挟まれた。十種影法術は六眼+無下限呪術使いにも匹敵するような能力なのだと五条は恵に伝えたのだ。自分に続く優秀な術師を育てていきたい、強くなって欲しいという五条の想いが伝わってくる。

・Aパート:布瑠部由良由良の開始&宿儺

 恵が布瑠部由良由良をするまでの演出も素敵だった。そして何かを察知する宿儺。裏梅に急用だと言い、「俺が自由になるのもそう遠い話ではない」と告げる。恵を利用して…と暗に言っているようなものである。「ゆめ準備を怠るな」という言葉にはっとする裏梅が若干気になった。何だったのだろうか。

・Aパート:魔虚羅の召喚

 恵が式神を呼び出すシーンも圧巻だ。異様な空気が感じられる。そして玉犬と蝦蟇っぽい式神たちが呼び出され、なんだか物凄く巨体な式神がパッと浮かび上がった。そして重面を強制的に調伏の儀式に巻き込み、相打ちを狙った戦術を仕掛けたことが明かされる。虎杖と交わした「またな」「応」の台詞が脳裏に過るような演出で、「またなって言ったじゃん恵!!(;_;)」と眉間に皺が寄ってしまう。そして恵は「おいクソ野郎、先に逝く。せいぜい頑張れ」と言い残し、魔虚羅に頭を打たれてぐったりと壁に寄りかかってしまう。

 重面も頭からぐしゃりとやられたかと思った瞬間、彼の術式の説明が入った。日常の奇跡を記憶から末梢して蓄え、目元の紋様に現れる。その紋様は命に係わる局面で発動されるらしい。といっても七海との戦いで使い果たしたので残機0だが。今回は純粋にラッキーと言ったところで、超ギリギリで重面は宿儺に助けられる。

・Aパート:宿儺の思惑

 状況を瞬時に理解した宿儺は、”恵を生かす”ために重面を生かしたまま魔虚羅を倒し、調伏の儀を無効にする”という算段を立てる。仮死状態の恵に「死ぬな、オマエにはまだやってもらわねばならんことがある」と告げ、反転術式っぽい術を施した。そして味見といったところだなと言いながら戦闘開始となる。

・Bパート:宿儺vs魔虚羅

 ここからは戦闘シーンが続くのだが、映像が凄すぎて目で追うのがやっとであった。視覚情報を処理するのにいっぱいいっぱいで、途中の説明だとか、宿儺が何を喋っていたのか、ぶっちゃけ右から左状態だ。

 冒頭の30秒だけでも凄すぎてポカーンとしてしまった。そして絵がゆっくりになったと思ったら、宿儺がコーラ(?)とポップコーンを両手に持って出てきたものだから、さらに頭のキャパシティが圧迫された。このアニオリには宿儺への愛(?)を感じる。

 ビルが崩壊したり、物凄い量の車が放り出されたり、もう渋谷はお終いだ…と思う程のダイナミックさ。そして瞬きしている暇がないくらいのスピード感で戦闘シーンが進んでいくのだが、原作と比較するととんでもないくらいに肉付けされている。無料で毎週観ていい類の物じゃない!と感じる。戦い方や、細やかな仕草等々、想像力豊かな方達が作ってくださったんだな…と感嘆してしまう。

 一般人が避難している様子や、棘の姿も確認できた。そして重面が逃げようとしたところに車が上から降ってきて、怯え震えている。あんな好き勝手に暴れてる傍らには、非術師や高専の仲間達がいるのだと思うと怖くて仕方がない…。棘は無事だろうか。

 車だけではなく建物も吹き飛び始め、周囲の人が巻き込まれていく様子も表現されている。宿儺って首にも口出せるんだな…と、もはや本筋とは関係のないところに目が行ってしまう。かっこいいBGMと共に空中戦が始まり、宿儺の街を上手く使った動きにも感動してしまう。本当に劇場版レベルである。

 終いには電車も空に舞い始め、更に戦闘規模は大きくなる。宿儺が「やってくれたな!!」と言っていたが、目で追うだけで精一杯な筆者は「なにが!!??」という感想しか出てこない。屋内に飛ばされて、空中で回転しながら斬撃を放つ宿儺の動きもかっこよかった。「見えてるな!俺の術が!!」とゲラゲラ笑いながら言っているというのにも、これまた「何?!分からない!!!」と困惑。初見には厳しい戦闘シーンである。見直して勉強します。

 飛行機は落ちてくるし、ビルは倒れるしでもう大災害レベルになってくる。そりゃあ魔虚羅を調伏できた術師がいない訳だ。レベルがおかしい。魔虚羅の能力は「あらゆる事象への適応。最強の後出し虫拳」ということが宿儺の分析から明かされるも、「あの時(指3本分)の俺なら敗れていたかもしれんな」という事から今の宿儺なら余裕で勝てるレベルなのだということも分かった。ずっと楽しそうだが、宿儺的に何%くらいのつもりで戦っているのだろうか…。3本分で負けていた“かも“レベルなので、15本の今では20%くらいの力なのだろうか。化け物すぎる。

・Bパート:宿儺の領域展開

 作中2度目の伏魔御廚子が展開され、ナレーションで「“伏魔御廚子”は他の物の領域とは異なり結界で空間を分断しない。結界を閉じず、生得領域を具現化することはキャンバスを用いず空に絵を描くに等しい。正に神業」という説明が入る。これもリアタイ時は「????」となっていた。五条先生の無下限呪術の説明よりも理解できなかった。しかも効果範囲は200mにも及ぶと…とんでもなくヤバい事は伝わった。

 必中効果の説明時に、非術師の手には「捌」スマホには「解」が当たっており、説明の内容が言葉と絵からよく分かる。この辺の説明もリアタイ時はボケっと聞いていたが、つまるところ魔虚羅を倒すには”初見の技にて適応前に屠る”しかないと。「捌」は魔虚羅にとって初見なので見込みはあるが、「斬撃」自体に適応されたら「捌」も無効となるという。あの攻撃を受けて魔虚羅は立ち上がっていたし、その様子を見た宿儺は炎に切り替えていたので、魔虚羅は斬撃自体に適応していたので「捌」も「解」も無効だったということと理解した。そして宿儺の炎の能力で街が溶け始め、フーガが放たれる。もう神同士の戦いかなと思うほどの規模感である。

・Bパート:魔虚羅戦の終了

 唖然とする虎杖が数秒映し出され、次には重面を2枚おろしにする宿儺が映し出された。「生き延びた」と言いながら殺される姿は何とも皮肉なものである。そして宿儺は恵を硝子たちのもとへ届けその場を去る。夜蛾は、宿儺なのかもしれないと勘づいているようだ。

 そして宿儺はニヤリと笑って「小僧、せいぜい噛み締めろ」と言い、虎杖に主導権が返ってくる。わざわざ平らになった場所に移動してタイムリミットを迎えるのが本当に憎たらしい。画面に映る数々の惨劇。やはり記憶は完全でないにしろ残っているようだった。宿儺の「オマエがいるから人が死ぬんだよ」という台詞が脳裏に過るようだ。地面に這いつくばって吐いてしまう虎杖も痛々しくて見てられない。血痕が付くほどアスファルトを引っ掻き、「死ねよ!自分だけ、自分だけ!!」と泣き叫ぶシーンも辛すぎる。そして畳みかけるようにかかるオープニングのSPECIALZ。「you are my special」という冒頭の歌詞が恐ろしい。この悪魔的演出を考えた方誰…と思うし、なんでこんな酷い事するの…と言いたくなってしまう。そして曲と共に渋谷の惨状を1カット1カット振り返るように映してくるのも悪趣味である。こんな心も壊れそうな状況なのに尚また立ち上がって戦おうとする虎杖。辛い方向に覚醒してしまったなという感じである。今後も絶望的展開が待っていそうである。

・Bパート:七海

 渋谷の地下街と思しき場所に静かな足音が鳴り響き、映し出されたのは左上半身に重度の火傷を負った七海だった。こんな状態でも歩き続ける姿が痛ましく辛い。

考察・疑問など

・五条と恵の関係性を知るほど、今後の展開が不穏

 この2人の濃い因縁というか…そういうのを感じさせる情報が今回開示された。約400年くらい前に”六眼持ちの無下限呪術師”と”十種影法術師”がお互い本気で戦い、双方命を落としたと…。そもそも、五条が何百年ぶりの~と呼ばれる存在なので、もしかすると先代の”六眼持ちの無下限呪術師”とはこの会話で出てきた者なのかもしれない。恵の方はどうか分からないが、”十種影法術師”も珍しい術式だと思う。つまるところ、この能力を持った2人が同じ時代に存在しているということ自体がとてつもなくレアケースなのではないか

 そして、五条は「僕を倒せる可能性が恵にはあるんだよ」と暗に諭している。恵は「いやいや、そうは言っても…」といった具合で否定しているが、どうも…どうも怪しい…。単純にポジティブな意味で恵が「最強の五条悟を超える可能性がある」と捉える事もできるが、筆者はどうも素直に受け止められない。これは地獄の創造者、芥見先生の特大なヒントなのかもしれない…と思うのだ。

 というのも、以前から述べている通り恵は宿儺にとって切り札と成り得る存在で、必ずどこかのタイミングで恵を利用し、”自由”になろうとするだろう。そうなった場合、復活した宿儺の相手をしないといけないのは五条である。呪術師として最強と謳われる五条が相手をしなければ、一体誰が対応できるのか?という、立場的な義務でもある。そして五条自身も、宿儺を何とかする自信がそこそこある&説得力があるからこそ虎杖の死刑を延期できているのだ。いずれ絶対宿儺は復活するだろうし、その時に五条が抑えにかかるだろう。

 また、宿儺が”十種影法術”を悪用する可能性は大であろう。そうなった時に過るのが、今回の下記のやり取りである。もし恵の能力を使って五条を追い込むような事が起きたら…とんでもない地獄展開ではないだろうか。しんどすぎるが、あり得なくもなさそうだし、こんな会話が挟み込まれるとどんどん裏付けされていくようである。

 恵の父親を倒し、取り残された恵と津美紀を養い育て、生徒と先生という関係を紡いできた五条と恵は、もうただの師弟関係には当てはまらない程である。客観的に見たら親子兼子弟みたいな感じであろう。そんな2人がもし…と想像するだけで辛くて泣ける。杞憂だといいのだが。まぁ、まずは五条がその時が来るまでに獄門疆から出てこないと実現しない話だが、何となく…最悪のタイミングで解放されそうなんだよな…といったところである。

五条「なんで五条家と禪院家が仲悪いか知ってる?」

恵 「そもそも仲悪かったんですか?」

五条「もーバチバチよ」

 「江戸時代?慶長?忘れたけどそん時の当主同士がね、御前試合で本気で殴り合って両方死んだの

恵 「そん時の当主って……」

五条「僕と同じ六眼持ちの無下限呪術使い。ちなみに相手の術式は恵と同じ”十種影法術”

 「僕の言いたいこと分かる?

恵 「だからってアンタに勝てる術師になれるかよ」(単行本14巻)

・宿儺の計画とは?

 今回の話で、確実に恵を利用しようとしていることが分かった。具体的にどう利用するのかというのが次に考えるべきポイントだろう。宿儺は登場シーンも台詞も少ない分、発する言葉や行動は大変重要な情報源で、本人の様子からも嘘は言っていないと思われる。つまり、宿儺の発言や行動は全て本意に沿ったものである可能性が非常に高い。という事で、今までの宿儺の発言&行動から特に重要そうな部分をピックアップした。

発言

宿儺「クソ!まただ!のっとれない!!抑え込まれる。この虎杖悠仁とかいう小僧、一体何者だ?!」(単行本1巻)

宿儺「オマエの式神、影を媒体にしているのか。フム、分からんな。(呪符を使うありきたりな術式ではない。応用も利く。)オマエあの時何故逃げた。宝の持ち腐れだな。」(単行本2巻)

宿儺「オマエが条件を呑めば、心臓を治し生き返らせてやる」

宿儺「事情が変わったのだ。近い内面白いモノが見れるぞ(恵の絵が背景)

宿儺「条件は2つ。①俺が“契闊”と唱えたら1分間体を明け渡すこと、そして②この約束を忘れること

宿儺「ならばその1分間誰も殺さんし傷つけんと約束しよう。これでいいだろう」(単行本2巻)

宿儺「俺が自由になるのもそう遠い話ではない。ゆめ準備を怠るな、またな裏梅」(単行本14巻)

宿儺「死ぬな、オマエにはやってもらわねばならんことがある

宿儺「(伏黒恵を生かすには異分子の俺がこの式神を倒し、調伏の儀を無かったことにする)」

宿儺「……味見、といった所だな」(単行本14巻)

行動

・重症を負った恵に反転術式で暫定処置?をした

・その後、治療を受けさせるために硝子の元へ恵を届けた

 以上のことから再度宿儺についてまとめてみる。

  • 1)自由になるには虎杖悠仁の身体から抜け出す必要がある。
  • 2)影を媒体にした式神使いという点で恵に興味を持ち始めた(稀有&応用力)。
  • 3)契闊は宿儺が恵を利用するときに使う可能性が大。
  • 4)宿儺にとって恵は、自身が自由になるために欠かせない存在である。
  • 5)恵にやって貰いたい事があるので、それまでは死んで欲しくない。
  • 6)魔虚羅がどんな式神なのかor恵の実力の幅を把握(味見)した。

 ということで、今のところは ①いいタイミングで契闊をする→②新しい器に移動→③自由の身→④好き勝手する(皆殺し?) というのが宿儺の大まかなプランなのかなと思う。

・宿儺の新しい器

 上の話に関連して、宿儺が自由になるために新しい器を用意する必要があるが、それって一体なんだろう..と。筆者は今まで「恵の影(式神)を新しい器として利用するのでは?」と考えてきたが、またちょっと分からなくなってきた。器の条件が明確でないからだ。

 宿儺限らず、呪胎九相図の受肉には人間の身体を利用している。これがどうも引っ掛かるのだ。両面宿儺は元々人間だったというし、呪胎九相図も人間と呪霊のハーフだし、もしかしたら器が人間じゃないといけないという制約があるのかもしれない。そうなると、単純に考えたら恵になってしまうのだろうか?ただ、いまいちイメージが湧かない。まぁ影を器にするのもそれはそれで具体的にどうやってやるんだろうという点に関しては想像がつかないので同じなのだが…。

 仮に恵を器とするにしても、恵の肉体が宿儺に耐えられなければ死んでしまうのでは?と思うのだ。そんなの宿儺の本望ではないだろうから、影等の別の器なのか、それとも恵に耐性があると見込んでいるのか…その辺が気になってくる。

 また、1分間肉体の主導権を握れば虎杖から新しい器へ移動できるとして、一体どうやるつもりなのだろう。やれる算段があるからそう言っていると思うが…まだ明かされてない宿儺の能力なのか、それとも裏梅に言っていた”準備”に何か関係があるのか…。

・宿儺は最高のシェフ?

 単行本を読んでいて、あるコマが目に留まった。宿儺の斬撃の説明シーンである。第119話の1ページ目なので何のことと思う方は見返してほしい。“包丁”の絵が描いてあるのだ。そして偶然にも?もう一つ分かっている能力として、炎がある。そして呪術に対する理解の深さと、それに見合うセンス・強さ…。東堂のあの台詞が過るではないか。

東堂「呪力の味を理解したんだ。オマエは今まで口に入れたことのない食材を、なんとなく鍋に入れて煮込んでいるような状態だった。だが、”黒閃”を経て呪力という味食材の”味”を理解した今、呪術師(シェフ)として3秒前の自分とは別次元に立っている。」(単行本6巻)

・宿儺と裏梅が次会う頃には…

 宿儺は裏梅に「またな」と言った。今回、宿儺の一時的な肉体主導権は終わってしまったし、虎杖は既に15本指を食べている。残りは5本だし、もう一回宿儺に強制交代させるにもさせられない状態だ。つまり、次裏梅に会う時は完全に復活している時…という事になりそうだ。めちゃくちゃ怖い。

・宿儺が完全復活したら日本が吹き飛ぶんじゃないか

 各シーンでの感想でも述べたが、指3本分で敗れていたかもという事はだいたい魔虚羅=宿儺の指3本分としてもいいだろう。そうした場合、15本取り込んで完全復活したら魔虚羅が5体以上いるようなものであろう。そして今回のあの大規模な戦い。もう宿儺が復活して大暴れされたら東京どころか日本の存続が危うくなりそうだ。

・宿儺の領域展開の描き方

 以前も述べたことがあるが、1期から宿儺の領域展開は「結界で空間を分断しない」というのを上手く表していた。宿儺以外の領域展開はだいたい領域に閉じ込めるという形で、閉鎖空間のような表現がされていたのだ。こういった細やかな設定もきちんと絵に反映されているので、呪術廻戦は見落としができないのだ。

・宿儺の目的に高専関係者が気づけるのか

 渋谷事変中に…というのはなかなか厳しいかもしれないが、夜蛾学長と硝子は恵が届けられたという事実は目視している訳だ。そして学長は「虎杖…いや、宿儺なのか?!」と言っているので、宿儺と気づかないにしても虎杖の恰好をした者が届けたという事は認識しているはずだ。となると、この情報は大ヒントな訳だ。恵を運んだのが宿儺だという確証が得られれば、高専関係者は「宿儺が何故恵を保護したのか」について疑問に思うはずだ。ここまで来れば「何か意図があって恵を保護した」と言う仮説にたどり着くだろうし、警戒&対策を立てることも可能であろう。対策をしたとて抑止できるとは限らぬが、重要なポイントになると思う。

・偽夏油が宿儺をどうしたいのか分からない

 今回の宿儺タイム?で、偽夏油も接触してくるかと思ったらそうでもなく、裏梅だけが宿儺と会話していた。裏梅には随分久しぶりに再会した様子だったので、虎杖に受肉してからは初のご対面であろう。偽夏油と裏梅が通じているのは明確だが、どういう関係性なのかは会話シーンもないので何も分からない。お互い利用し合っているだけかもしれないし、呪術全盛時代からの旧知の仲なのかもしれないし、はたまた別の関係性という場合もあるだろう。要するに、偽夏油が宿儺をどうしたいのかが全く読めないのだ。せめて一時的に宿儺に主導権を受け渡す方法を、漏瑚に伝えた意図が分かれば…と思うが、それすら不明。不明の嵐である。宿儺と偽夏油が現状通じ合っているとも思えないし、本当にどういうつもりなのだろうか。

・七海が危ない

次回予告の映像も考察のヒントとして含むので、気になる方は飛ばして下さい。※

 41話のラストは、痛々しい七海の姿のカットで終わった。漏瑚の攻撃を受けても何とか生還していたようで良かったと思う反面、左上半身~頭部にかけて酷い熱傷を負っていて歩けているのが不思議なくらいである。表情も虚ろで、見ているだけでしんどい。硝子の処置も受けず、地下街をふらふら彷徨う七海は何を思っているのだろうか。

 そして、次回予告を見ると42話には真人が出るようだ。七海や虎杖も登場しそうである。七海と真人が鉢合うという決定的なカットは無かったが、物凄く嫌な予感がする。七海と虎杖言えば1期の真人戦で因縁のある相手。そして、七海はその時真人の領域に閉じ込められて一度死を覚悟した身である。再びこの2人が戦うことになる…というのは、あり得そうな話ではないだろうか。予告に七海が海岸を歩くカットがあったのも、余計に不安な気持ちにさせる。

 真人なんて五条と戦闘した時にちょっと無量空処に当たっただけの元気ピンピン状態であろう。そんな相手に七海が太刀打ちできるとは思えない。その状況を虎杖が目撃してしまうかもしれないし、真人が意図的に虎杖の前で…というのも十分に考えられる。これ以上七海を傷つけないで欲しいし、生きていて欲しい。虎杖もこれ以上苦しまないで欲しい…が、最悪の状況が待っていそうだ。木曜日が怖い。

おまけ:東堂はまだか

 真人が出てきたという事は、そろそろ筆者待望の東堂が出てきてもおかしくないのではなかろうか。筆者はオープニングの虎杖との共闘をずっと待っている。実は存在しないシーンとかだったら、私は間違いなく泣く。

■次回、第39話について

 考察パートでも述べたが、真人がどういう行動をするのか、七海や虎杖がどうなってしまうのかというのが見どころになるのでは…と思っている。真人は虎杖を殺すために渋谷駅付近をふらついており、七海は渋谷駅の地下へ向かう。虎杖も恐らく七海と同じエリアを目指して歩いている。この3人が出会ってしまうような予感がするけども、でもそれは見たくないような…複雑な気持ちである。

芥見先生のコメント

■アニメーターさんの投稿

 

以上。