【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第37話「赫鱗」の感想など【神演出!】

 10/20(木)に呪術廻戦2期第37話が放送されました。いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本12巻 ・第100話 渋谷事変⑱ p.64~p.67

・第101話 渋谷事変⑲ p.79~p.87

・第102話 渋谷事変⑳ ~p.92

・第103話 渋谷事変㉑ ~ 第106話 渋谷事変㉔ ~p.177

※コメント:約5話分という大ボリュームな1話!!

ファーストインプレッション:演出がハイセンス!&榎木さんの演技がリアル!

 呪術廻戦は毎回予想や期待を大幅に上回るような体験を視聴者に与えてくれている。そういう事もあって、好きな回はどの回かと問われたらかなり迷ってしまうだろう。だが、アニメーションとしての魅せ方そしてバトルシーンと言う観点で、今回の第37話は今までで1番好きかもしれない。もう”かっこいい”に尽きる。始まりから終わりまでずっと目がギラギラしてしまう位、アニメの1つの話としての演出がとんでもなく魅力的だった。何というか、動画という媒体上の魅せ方がめちゃくちゃハイセンスだった。アバンの時点で今回は神回ですと伝えてくれているようなお洒落さ。東堂が非術師の家系で1級になっているハイセンスゴリラと言われているなら、呪術廻戦のアニメに関わっている制作スタッフさんも同じくハイセンスゴリラと言っていいだろう(?)。

 以前じゅじゅとーくで、釘崎野薔薇役の瀬戸麻沙美さんが「この世界を生み出した方たちはどんな世界を見ているのだろう」と言っておられたが、本当にそれである。毎回毎回演出が凝っていてお洒落なので、一体どういう生き方をしたらそのアイデアが出るのだろうと思ってしまうのだ。相当アンテナを張って多種多様の作品をインプットしてこないと出てこないと思うのだ。筆者は呪術廻戦に出会う前もアニメは人並みに好きだったが、アニメの制作背景だったりどうやって作っているのかに興味が出たのは呪術廻戦に出会ってからだ。それくらい、この映像作品に施された様々な工夫が素晴らしいと思ったのだ。今回はほぼ1話丸ごと虎杖vs脹相だったので、言い方はあれだがこういった戦闘シーンは一歩間違えばだらっとした、特に印象に残らない話になってしまったり、それを避けるためにもササっと戦闘を終わらせてしまうことだってできたはずだ。だが、体感5分かと思うくらいの猛烈で濃厚なバトル描写。思わず前のめりになって息を殺して見入ってしまう、そんな第37話だった。ものすごく練り込まれて作られた回だったと思う。

 そして呪術廻戦のアニメを語る上で絶対に触れずにはいられないのは、虎杖悠仁役の榎木淳弥さんだ。今回の榎木さんも素晴らしかった。呪術廻戦がより魅力的なアニメとなったのも、榎木さんの存在は大きいと筆者は考える。何と言ったらいいのか分からないが、読者や視聴者に媚びない自然体な雰囲気がこの作品にはあると思っている。その雰囲気に榎木さんの演技が物凄く合っているのだ。当たり前だが、榎木さんは演技をしている。それなのに、演じていないように聞こえる。この業界に置いて、とても革命的な役者さんだと感じた。まさにアニメ呪術廻戦の作品を具現化したような役者さんだなと思うのだ。話は逸れるが、筆者はアニメを見る時どうしてか主人公に対して前のめりになることがあまりない。だが虎杖に関してはむしろすごく好きなキャラクターである。元々の虎杖像と榎木さんの演技が相乗効果を生んだからこそ、そういう結果になったのではないかと思う。

 少し熱くなってしまったが、呪術廻戦のアニメが何故魅力的なのか、その理由が今回の第37話に存分に表現されていると思った。全くの素人だが、アニメ界に今後引き継がれ得る1話だったと思う。心から素晴らしかった。その一言に尽きる。

参考)第37話 脚本:瀬古浩司さん、絵コンテ・演出:荒井和人さん、砂小原巧さん、演出協力:青木youイチローさん

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より

ストーリー構成

 先に述べた単行本の範囲の順番通りの構成で、そういう意味では原作通り。単行本全体で見ると、第37話以降の各話に合うように上手い具合に構成を組みなおしている。

シーンごとの感想など

・アバン:走る虎杖、棘に出会う

 アバンだけで今話のハイセンスさが伺える。走る虎杖の息遣い、そして通行禁止の標識に重なる虎杖の影…開始した一瞬で心が掴まれる。虎杖を演じる榎木淳弥さん、本当に全力疾走してきたのではないかと思うほどの息遣い。本当に榎木さんの演技は呪術廻戦にぴったりだなと改めて感じた瞬間だ。

 棘先輩が久しぶりに登場した!と思ったら秒で終わると言う、このあっさり感は呪術廻戦らしいなという感じだ。「その語彙は!」という台詞もじわっと笑えてくる。その場を棘に任せ、歩道橋を降りてくる虎杖の動きがまたとんでもなく常人離れしていて面白い。そして何より、タイトルと共に棘の「動くな」の台詞を重ねてくるこの演出には痺れた。こういう変則的な演出、めちゃくちゃかっこいい。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より
・Aパート:虎杖と脹相の出会い

 2人が出会うその瞬間が丁寧に描かれていた。ゆっくり歩く脹相と走る虎杖のお互いの足音が、もう間もなく2人が鉢合う事を予感させてドキドキする。そして出会う瞬間がスローで表現され、秒針の音も重なることでこの2人の出会いは渋谷事変という物語にとって大きなイベントなのだという事が表現されているように思えた。原作勢の方にとって待ちに待ったバトルであることを汲んだ上の演出かもしれない。

・Aパート:構内でのバトル

 虎杖を認めた瞬間に攻撃をしかける脹相。ここのスピード感も物凄かった。心臓が脈打ち、血液が流れ、一点に集まる描写と百斂の説明がマッチしていて、2重の情報で理解しやすかった。脹相の技の原理とその強さが十分に伝わってくるシーンだったと思う。またこの辺りのネオン光の表現が堪らなくよい。

 そして戦いの合間に脹相が「弟は最期に何か言い遺したか?」と問う。電灯がチカチカする描写と共に過る、血塗と壊相の姿。虎杖の何とも言えない表情に心が苦しくなる。「……別に何も、でも」「泣いてたよ」と静かに伝える虎杖は、何を思っていたのだろうか。「俺が殺した命の中に、涙はあったんだなって…それだけ」と言っていた虎杖が思い出される。野薔薇が虎杖に「共犯ね、私達」と言っていたように、罪の意識を持って今立っているのかもしれない。泣いていたと聞いて怒りを露わにする脹相の怒りの表現も興味深かった。壊れかけた通路誘導標識がパァンっと弾け飛び脹相の足元に落ちてくるが、矢印の向きが虎杖の方向になっている。脹相の虎杖に対する憎しみが振り切った事が明確に分かる。呪術廻戦のこういった視覚的な情報の表現、毎回本当に素晴らしい…。

 一気に仕掛けてくる脹相と、それに何とか対応する虎杖。ここの戦いの演出も大迫力だ。戦いの場は駅構内という大変閉鎖的な空間であるのに、その制限された中で繰り広げられる2人の激しいバトルが巧みに表現されていて感動した。虎杖が脹相に飛び掛かり、投げて交わされたりする時の声もまた凄い。榎木さん、本当にこの動きをして声を出しているのではないかと思うほどだ。一体どうやって撮っているんだ…。そして繰り出される脹相の攻撃を見ていると、この人めちゃくちゃ強い…赤血操術ヤバい…となってくる。かっこよすぎて呼吸をするのも忘れてしまいそうになる。

 スピード感溢れる脹相の攻撃が一旦止み、穿血を繰り出そうとするシーンになった時のあのピタっと戦いが静止する感じも堪らない。虎杖がじりっと足の幅を広げたのを受けて脹相も構えを取る。ここの、少しでも読み間違えたら速攻死が待ち構えているというような緊迫感。虎杖が飛び上がり、着地した瞬間に穿血を撃たせるその発動までの緊張感。バトルの緩急の表現が物凄い。

 再度始まる戦闘。脹相の穿血のスピード感がえげつない。足を刺された虎杖の痛そうな声、そしてそのまま耐えつつ足を振り上げる声、ここの榎木さんもとんでもなかった。見ているこっちも足が痛い気がしてくる。

 圧縮が足りず仕留めそこなったと言った様子で、体勢を整え直す脹相。虎杖は脹相の強さにやや押されている様子だ。そこで切り込んできたのはなんとメカ丸だった。メカ丸は瞬時に状況を理解し、脹相の有する赤血操術の解説をしてくれる。ここの案内板が技名になっているのが面白い。ちゃんと駅の路線案内みたく、多言語対応しているのも細かい。メカ丸が虎杖にトイレに逃げ込めと提案する。警戒する脹相を、メカ丸が煽って誘う。ここまでがAパートとなる。

・Bパート: トイレでのバトル

 戦いの舞台は更に狭いトイレへと変わる。今回脹相視点のカットが度々入るが、ゲームの一人称視点みたいで面白い。あらゆる場所から水が噴き出し、水浸しになっているトイレ。虎杖が脹相に攻撃をしかける。「(今のが最後のチャンス…)」のとこで瞬きをしながら嚥下をする仕草がなんだか好きで巻き戻してしまう。水が触れていることによって、百斂が維持できなくなった脹相にゆっくり近づいていく虎杖。制服の左袖と、背中の部分が大きく破れている。PVで見た宿儺っぽい虎杖の服装と一致する…とふと思った。ちょっと「ん???」と思ったことがあるので、後の考察パートで述べようと思う。

 体外での血液操作が不可能になり、咄嗟に体内での血液操作に切り替える脹相。そして脹相の技を封じることに成功し、自分の土俵へと持ち込んだ虎杖。2人のバトルが再開するその間の演出もまた凝っていて素晴らしかった。

 肉弾戦のセンスはピカイチと五条からもお墨付きの虎杖だが、戦闘経験のまだ浅い脹相がかなり攻めていて、彼の強さが際立っていた。不意打ちを狙われ、肝臓を撃ち抜かれた虎杖は死を予感する。この”死”が頭に過った瞬間の強い踏み込み、ここに虎杖が覚悟を決めたことが表れていて好きだ。そしてゾーンに入ったように雑念を振り払い、自分の役割を理解し脹相に対峙する。脹相も脹相で、血栓症のリスクを負って虎杖に立ち向かう。お互い死を覚悟した上での戦いである。また、ここからの盛り上がりがめちゃくちゃかっこいい。特にBGM。この曲は血塗&壊相戦で流れていたREMEMBERのアレンジである。なんと粋な演出であろうか。

 PVで気になっていた謎の塊は歯で、「ハッ?!」という虎杖の台詞とかかっていてちょっとお茶目さが出ているのも面白い。特に好きなのは、脹相が穿血?と思しき技を拳から出すシーンだ。ここの脹相もめちゃくちゃかっこいいし、虎杖が攻撃を受けた瞬間BGMがこもった音になり、虎杖の着地辺りでまたすぐ戻るという音の演出が最ッ高である。もう必死の戦いっぷりに呼吸も忘れて見入ってしまう。虎杖の最後の一撃も、血塗&壊相戦を彷彿させる作りになっていて素敵だった。虎杖の攻撃が決まったかと思いきや、脹相のが一枚上手で彼の攻撃は武装した身体には決定打とはならなかった。ここで完全に虎杖は戦闘不能になってしまう。トドメを刺す脹相と、打撃の音で暗転し出てきたのはなんと宿儺であった。大変久しぶりの登場だ。「下らん」と言いながら目を瞑るも、何か異変を感じた様子だ。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より
・Bパート:存在しない記憶

 宿儺が「?」となった後、狼狽える脹相の姿があった。最後のトドメは外した様子だ。床に広がる虎杖の血と、脹相の血液が交じり合っていたのが印象的だった。そして苦しみながらその場を離れてふらふらと歩く脹相。画面端がチカチカしている(後の演出を考えるとちょっと面白い)。そして唐突に「突如、脹相の脳内に溢れ出した“存在しない記憶”」というナレーションが入る。画面はひと昔前の4:3のアス比である。パスタをぐるぐると巻き、血塗に食べさせてあげている虎杖。壊相、脹相、虎杖、脹相、そして6体の九相図で食卓を囲んでいて大変平和な映像である。薔薇越しに見える、脹相の満足気な姿にちょっと笑ってしまう(その肘の付き方何…)。絵の感じもセル画っぽく仕上げており、MAPPAさんの凝った演出に感嘆してしまう。そして謎に皆お揃いのパーカー姿に切り替わり、今度は脹相にパスタを食べさせてあげようとする虎杖。視聴者としては、一体何を見せられているんだ…???状態である。そして現実世界ではかなり混乱した様子の脹相。我々もどういうことだ…?という感じである。よく分からんうちに勝手に閉まっていく画面…。訳の分からないまま取り残されたような状態でエンディングを迎えた。この意味不明なまま置いてけぼりにされる感じ、癖になりそうである。

・Cパート: 虎杖に接触する双子

 意識もなく、辛うじて生きている状態の虎杖に近づいてきたのは旧夏油一派の枷場姉妹だ。「生きてるよね?」「じゃあ、始めるよ」という台詞で終わり、虎杖の身に何が起きるのかという事と、この双子の目的や意図がものすごく気になるところで第37話は幕を閉じた。

考察・疑問など

・1年ズの今後:虎杖

 正直全然先が読めないが、オープニングやPV時点で分かっている虎杖の今後のイベントとしては真人戦with東堂、宿儺に肉体の主導権が移行する の2つである。筆者はてっきり、真人戦→宿儺の順かと思っていたが…今回の制服の破れ方を見て自分の予想が誤っていると気がついた。真人戦では虎杖は無傷で制服も元の綺麗な状態である一方、宿儺のカットでは今回脹相とのバトルで受けた左袖&背中の破れがそのまま残っている。ということは、宿儺→真人戦の順であるということだ。意外すぎる。これを踏まえると、双子たちは虎杖の治療をしたという説もあり得るが、宿儺が主導権を担う事に関連する何らかの処置をしたという可能性も出てくる。前者の場合は、何の見返りもなく治療するのは考えにくいので、何等かの約束や縛りが虎杖と双子の間で結ばれるかもしれない。後者の場合、彼女たちにはリスクしかないように思えるが可能性としては残しておいても良いだろう。双子が虎杖に縛りを設けた場合は、何というか…虎杖が今後縛りだらけにならぬか心配になる。今は宿儺との縛りだけだが、今後増えないという保証はない。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より
出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットOPムービー(URL: https://youtu.be/5yb2N3pnztU?si=d5qCu87WR5445kct)より

 さて、宿儺が出てきてしまうことは確定しているが、どうやって収めるのであろうか?少年院編では虎杖は自ら宿儺に交代し、最後の最後でなんとか虎杖自身が主導権をもぎ取って事なきを得たが…、渋谷事変のタイミングで宿儺が出てきてしまったらもう止めようがないというか…。止めようがないが、本当に止められなかった場合、瞬く間に皆殺しにされて呪術廻戦が終わってしまうので、どこかで虎杖に戻るには戻るのであろうが…。仮に五条の封印が解けて~となったとしても、ストーリー的に五条vs宿儺が渋谷事変で起きるのは早すぎる気がするので恐らく五条が止めてくれる云々はなさそうと予想する。となるとやはり虎杖自身の精神力で戻ってきてもらう他ないのだろうか?正直全く予想ができない。というかそもそも宿儺に代わってしまっていること事態、どういう事?状態ではあるが…。まぁ、今回分かったのは東堂の出番は私が想像するより遥か先なのかもしれないという事だ。東堂、待ってるよ…。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より
・1年ズの今後:恵

 恐らく近いうちに甚爾と遭遇しそうである。手強すぎる相手になると思うが、どうなるのであろうか。また、恵に関して気がかりなのはやはり宿儺である。なんの理由もなく恵に興味を持ってしまったらそれこそただの宿儺Pになってしまうので、宿儺が自分の目的のために恵を利用しようとしているのは明白だろう。恵がある程度呪術師として成長したら宿儺は契闊を使って恵に干渉してくると思われる。すぐにどうこうしようとはしないであろうが、いずれその時が来るであろうと思うとしんどくてならない。恵の成長は嬉しいものの、宿儺の動きを考えると不穏…という地獄まっしぐらな状況だ。お姉さんの存在も気がかりだし、恵の取り巻く環境が薄暗過ぎて不安だ。

・1年ズの今後:野薔薇

 野薔薇は新田ちゃんと救護を待っている状況だが、どうも嫌な予感しかしない。あの近くにはまだ重面(生きていると予想)もいるし、他の呪詛師もいるかもしれない。野薔薇自身はある程度回復しているかもしれないが、もし敵と遭遇した場合は新田ちゃんを守ることも考えなければならない。相当分が悪いであろう。ナナミン、お願い!カムバック!!!

・双子は虎杖に何をしようとしているのか?その目的は?

 今のところ双子は夏油の肉体の解放を求めている。「夏油様をこれ以上玩ぶな」というのが彼女たちの一番の想いであろう。そしてなんの理由もなく善意で虎杖に接触するとも思えない。先に述べた件と重複するが、オープニングやPVから考えると虎杖は今後、宿儺と入れ替わる→虎杖の姿で真人戦という出番を控えている。双子は寄生体に対応するための一策として虎杖を治療し利用(or手を組む)、もしくは宿儺に入れ替わらせて利用しようとしている可能性がある。偽夏油には「次術師と約束をするときは、縛りであることを明確にするんだな」と言われていたので、縛りを設ける可能性もある。皮肉な話ではあるが。

・脹相の存在しない記憶

 リアタイしていて「??!」となった。脹相も相当狼狽えていたが、視聴者も「なんだこれ」状態である。あのシーンが何なのか、一旦やれるだけの事はしてみようと思う。

 訳が分からなくなるので当たり前の話からさせて頂くが、そもそも”存在しない”と言っているのだから、本当に存在しない記憶なのだと思う。つまり、存在しない記憶を見た者に対して2つのパターンが考えられる。①ただの妄想、②何等かの理由で幻想を見せられている の2択だ。

 更に、東堂は存在しない記憶の第一人者であるため、彼のことにも触れずにはいられまい。ということで、2人の状況を整理しながら考えてみようと思う。

対象者

場面

存在しない記憶が溢れる直前の状況

存在しない記憶

東堂

バトルシーン

虎杖の頭部を足蹴にして流血させ意識を失わせる。その後東堂が虎杖に好みのタイプを聞き、自分と全く同じ返答が返ってきた。

シネマスコープっぽいアス比。虎杖との存在しない中学時代が描かれる。(1分45秒間)

脹相

バトルシーン

虎杖がダウンする程追い詰めた。虎杖と脹相の血が混じったような表現もあり。

4:3のセル画っぽい描写。九相図たち(兄弟)と食卓を囲む姿が描かれる。(1分間)

 2人に共通することと言えば、バトルシーンであること、虎杖が流血していること、意識を失っていること…位である。東堂に関しては正直、「高田ちゃんと結婚したいので、アイドルの恋愛には賛成」という設定を有していたり、戦闘中に脳内の高田ちゃんからアドバイスを貰う程のバチバチに仕上がったオタクである。今まで一匹狼でやってきた東堂にとって、趣味がバッチリ合った(言い回しも完璧)虎杖と出会った瞬間、めちゃくちゃ嬉しかったのではなかろうか。それはもう、存在しない記憶をでっちあげる程の…。②の何等かの理由で幻想を見せられているというのもあり得なくもないし、否定するための根拠も現時点では存在しないが、筆者の勘では東堂は完全①タイプと思われる。個人的にはむしろそうであって欲しいとさえ思う。東堂はよく分からん次元で生きていて欲しい。

 一方脹相は如何か?彼は今回初めてしっかり登場した位のレベルで、まだどんな思想を持っているキャラなのか分からない。弟たち(九相図)の事を第一に考えている事だけはよく分かる。よって①、②どっちの可能性も考えられる。①の場合、脹相は東堂以上に相当ヤバい素質を持っているとしか言いようがない。ガチの敵相手に、突然あんな幻想が過ってしまうとしたら怖すぎる。②の場合、これには今のところ2パターンの可能性を考えている。一つは、虎杖も実は呪胎九相図に関連する者であること、つまり脹相の兄弟分であるという場合。もう一つは、虎杖の能力である場合である。

  • 虎杖が呪胎九相図に関連する者である場合:虎杖も呪胎九相図の1人という可能性も考えたが、絵をよく見ると虎杖、脹相、血塗、壊相、呪胎九相図の6体となっており、全員で10人になってしまう。ちょっと違う気がする。例の女性から産まれた、九相図とは別の”呪霊と人間の混血の子ども”という方があり得るかなと思った。本当の血のつながった兄弟であるならば、脹相が何かを感じ取ってしまって幻想を見たと言えばそれはそれでありそうな話である。あの血の混じる表現も、出会ったというような意図で描かれたと思えば理に適う。この説が本当だとすれば、いよいよ明治時代の話が気になってくる。

ナレーション「明治の始め、呪霊の子を孕む特異体質の娘がいた。呪霊と人間の混血、異形の子。身に覚えのない懐妊に始まり、親類縁者からの風当たりは常軌を逸し、彼女は子の亡骸を抱え山向こうの寺へと駆け込む。その寺は呪術師が開いたものだったが、その時点で彼女の運は尽きてしまう。加茂憲倫――多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す御三家の汚点。彼の知的好奇心は呪霊と人間の間に生まれた子の虜となる。9度の懐妊、9度の堕胎。それらがどのように行われ、その後彼女がどうなってしまったのか、一切の記録は破棄されている。呪胎九相図――1番から3番。特級に分類される程の呪物。その呪力の起源は、母の恨みかそれとも――」(単行本8巻)

  • 虎杖の能力である場合:こちらもあり得なくはないであろう。血が混じる事で発動する~とかであればあの表現にも納得ができるし、ありそうな話でもある。

 そして脹相はあの後どうなるのか気になるところである。兄弟思いの彼からすれば、幻想or幻想であっても以前のように目の敵にするのは難しくなりそうだが…。とは言っても虎杖が血塗と壊相を手にかけたことは揺るがない事実なので、どの道脹相は苦しむことになりそうだ。ちょっと可哀そうなお兄ちゃんである。

おまけ1:五条の存在する記憶と、東堂&脹相の存在しない記憶

 以前も同じような事を書いたが、偽夏油を目の前にした時に五条の脳に溢れた“夏油と過ごした記憶”のシーンは、何とも言えない切ない気持ちにさせられた。…が、東堂の存在しない記憶が既出が故に、また違う意味での何とも言えない気持ちにもなる。そして今回の脹相のシーンが加わった事で、存在しない記憶にサンドイッチされる五条先生が不憫に思えてきた。

おまけ2:呪術廻戦はどんな終わりを迎えるのだろうか

 最近ふと考えるのは、「呪術廻戦ってどんな終わり方をするのだろう?」という事についてだ。筆者は”深く狭く派”なので、今まで読んできた作品の中で完結まで見届けた作品はそこまで多くない。一般的な漫画の完結の仕方についてはあまりインプットはない状態なのだが、呪術廻戦についてはなんだか気になってしまう。

 終わり方としては、全ての伏線を回収してすっきり終わるというより、なんだかまだ続きそうな感じでスッと終わりそうな気もする。そして俗にいうハッピーエンドにはならなさそうだ。やはり呪術廻戦という名前だけあって、廻るようなことが示唆される形なのだろうか。現在の本誌や単行本の物語がどのくらいの地点にあるのかは不明だが、完結間際まで生き残っているキャラクターは果たしてどのくらいいるのか…という事も気がかりである。アニメ勢の筆者も、芥見先生が容赦ないことには薄々気がついているので、終盤は知ってるキャラがほとんどいない…なんてこともあり得そうだ。芥見先生がこの呪術廻戦という大作をどのようにまとめるのか本当に楽しみである。

■次回、第38話について

 一旦、虎杖サイドから外れた話になりそうだ。特に冥冥・憂憂vs疱瘡神(夏油)のバトルが佳境になるのではなかろうか。呪霊の領域展開からは脱出できたようなカットがあったが、そうであっても偽夏油が控えているのでなかなかピンチである。また若干気になったのは、憂憂と思しき人物が血だらけで地面に倒れているカットがあったこと…。ちょっと嫌な予感が…。

 恵サイドの話も出てきそうだ。いつか甚爾と遭遇しそうかなと思っているが、どうなのであろうか。予告ではカエルの上を走っていたり呪霊と戦っており、まぁまぁ大変そうな様子だった。

五条のカットが入っていたのも気になる。回想や説明シーンで出てきているだけなのか、獄門疆の中にいる五条なのか…。ナナミンも出てきそうだ。オープニングからするとこれから真希や直毘人と一緒に行動すると思うのだが、そのオープニングの描写もやばそうな感じなので恐ろしさしかない。皆頼むから無事でいてくれ…。

芥見先生のコメント

■アニメーターさんの投稿

 

以上。