【呪術廻戦】劇場版呪術廻戦0を観た感想など

 皆さんこんばんは。呪術廻戦0が公開されてしばらく経ちましたね。ご覧になられた方も、まだの方もいらっしゃると思いますが、今回は映画を観た感想を残していきたいと思います。ネタバレになるので、まだ観ていらっしゃらない方はご注意くださいませ。0巻の単行本もついに解禁したので、単行本との違いも含めてまとめていけたらと思います。

 

※下記から、劇場版呪術廻戦0・単行本0巻のネタバレ及び、筆者の考察要素を含みます。

 

サプライズ要素

①主題歌「一途」だけでなく、エンディングテーマ「逆夢」が準備されていた

 当日驚いた方も多いのでは?と思うが、エンディングで主題歌が流れるかと思ったら違う曲が流れるという…!これまた切なく良い曲で、最高であった。逆夢の後に主題歌の一途が流れ、やっぱりこの曲もいいわ~と思いながら楽しむエンドロール。本作品に関わったスタッフの方の名前を見ながら素敵な2曲を堪能するという、最後まで感動でいっぱいな時間であった。

②エンディング後のおまけ映像

 これまたびっくり。公式ツイッターには、「エンディングの後までお楽しみください」とツイートされてたので何かがあるんだな~フーン?と思ってはいたが、全く予想していない内容だった。

状況:海外(=ケニア)にいる乙骨とミゲルが一緒におり、乙骨はご飯中。ミゲルは乙骨にケニアを案内しているような雰囲気。

ミゲル「奴は帰ったか?」

乙骨「うん!」

ミゲル「ならいい…」

その後、背後から五条先生が出現する。

ミゲル「何でお前がここに…?」

乙骨「先生!?」

五条「や、久しぶり」

多分これは五条先生が海外出張に行っていた時(=虎杖&ナナミンが真人に対峙している時間軸)のストーリーであろう。やはり乙骨くんに会いに行っていたのか…。2期OPで乙骨に同伴していたのもミゲルで間違いないだろう。そしてここで疑問が4点。

1)何故敵対していたミゲルと乙骨が一緒にいるのか?

 映画見終わったアニメ勢の方は皆思うはず。「何で一緒にいるの?」と。どういった経緯なのだろうか。ヒントになりそうなのは、0巻単行本における芥見先生のコメント。

「1.2巻を既に読んでいる人にはなんとなく気付いているかもしれませんが、百鬼夜行MVPはミゲル

そしてミゲルはこれをきっかけに今後苦労することに・・・」

(下に何やら企んでいそうな五条先生の絵。「ニヤリ」とある。)

ミゲル、もしや五条先生にいい様に使われている? 夏油の百鬼夜行が終わった後に夏油一派に接触し、その中でもミゲルとは何等かの主従関係を構築したのだろうか。「せっかくだし、海外留学しておいで~~!ミゲル後は頼んだよ、よろしく^^(圧)」みたいなやり取りがあったり?(妄想)そうだと仮定するとミゲルが「何でお前がここに」と言うのが少し引っ掛かるが。まあ乙骨も「先生?!」と驚いていたので、二人に知らせず様子を見に来たとすれば納得できる。

2)ミゲルの言う”奴”とは誰か?

 これ意味深では…?全く予想できないが、結構重要な伏線なのでは?個人的に五条先生という説はないと思う。そうだったらもっとミゲルは驚くだろうし。

3)五条先生は何用で出張を?

 ここも以前より疑問だった部分。乙骨が海外で上手くやっているか見に来たのだろうか?

4)このエンディングはつまり…?

 つまり、2期があると思っていいんですよね?MAPPAさん、期待しちゃいますよ。

③アニメ勢に馴染みのあるキャラも登場

 ナナミンこと、七海。いのたく、そして京都校のメンバー等々!!これは原作派の皆さんもアニメ勢の皆さんも、グッと拳も握ったサプライズポイントだったのではないだろうか。

まずはナナミン…本当にこのお方はかっこいいとしか言いようがない。怯える呪術師たちの前に立ちはだかって「ここは私が」といって引き受けるのです。……カッコイイ!!!前半からちょくちょく姿は見せるも、一言も喋らないな~と思って見ていたらここぞという所で台詞が。また、ネクタイを拳に巻いた後に黒閃が連続4発!アニメで誇らしげに黒閃エピソードを語っていたあのシーンが劇場版で回収されましたね。原作0巻にはなかったので、ナナミンよかったね…となりました。また、お馴染みの「時間外労働」という曲もBGMとして使われていて、ナナミンは制作サイドにも愛されているのだな~としみじみ…。

 また、イノタクの戦闘シーン、初出しでしたね!「覆面の男性が戦ってるな~…まさか…?」と思ったら、やはりイノタク。帽子を下げると覆面みたいになるんですね。謎仕様。何か理由があると思うので、この辺も追々明らかになると嬉しい。

 そして!何と言っても、京都校の子たちが出てきたのが本当に嬉しかった。加茂くんが出てきた瞬間、テンションが急上昇。その後、三輪ちゃん、メカ丸、真依、西宮ちゃんときて…東堂!筆者、東堂が大好きなので心の中でガッツポーズです。強そうな呪霊相手にマイペースに戦っていましたね。加茂くんは一人で突っ込むなと注意していましたが、東堂は聞く耳持たず。何せ、12月24日に高田ちゃんのクリスマススペシャル生特番があるとかなんとかで、こんな所で時間を使っている場合じゃないとのこと。分かるぞ東堂、私もその気持ちで仕事を倒してきたのだ。ただ、我儘言うと…東堂がたった一人で一級呪霊5体、特級呪霊1体を祓うシーンを見たかった…。

 そうそう、冥さんの戦闘シーンも初出しだったので嬉しかった。笑いながら大きな鎌をブンブン振り回す美女…狂気が滲み出ていて大変よかった。「撃破数のインセンティブはクリア…。満額ボーナス目指してもう少し働こうかな~」と言っていましたね。お金に対して誠実な冥さんを拝めることができ、満足。

(後は、刑事さんみたいな恰好をした呪術師もいましたね。来場者特典を見る感じ、日下部さんというキャラかしら。)

 

アニメと劇場版の違い

 アニメ1期を10回以上は見ている筆者が最初に映画を観た時の感想は、「雰囲気が違うな」だった。一番特徴的なのは、ギャグシーン。若干ライトで説明っぽい感じだなという印象だった。劇場版だからか?と思ったが、原作の0巻の時点でそういう作りだったので、原作の雰囲気をそのまま活かしたのだろうなと思った。これはそもそも0巻が呪術廻戦連載前の作品で、現在の呪術廻戦を前提として作っている訳ではないこと。また主人公の乙骨が現主人公の虎杖と違い、割とこちら(=視聴者)側の感覚であること。これが雰囲気が違って見える大きな理由だと思う。

0巻では、乙骨は思ったことをその場でモノローグとして発言することが多い。一方、現・呪術廻戦では表情や間・息遣いで表現したりする部分が多い。そういう部分が違いとして出ているな~というのが第一印象だった。私個人の好みでいうと、今の呪術廻戦の雰囲気が好きだが(シュールで自然な雰囲気が魅力的だと思っている)、すでに映画を7回観ている時点でお察し..と言ったところである。

 

原作0巻と劇場版の違い

 先にも述べたが、原作にはないシーンも多数あり面白かった。アニメ1期を踏まえ、作品全体の流れを考慮した上で、0巻をどう魅せるかしっかり構成を練って作成されたのだろうというのがひしひしと伝わってくる。”原作にはなかったけれど、この時間軸ならこのキャラがこの場にいた方が自然だよね”とか、”このカットを入れた方が深みは出るよね”とか、”今後の展開を考えてここを少し肉付けした方がいいだろうね”とかそういった検討がされていたのだろうな…。ありがたいなぁ…。(妄想)

 

五条先生について

 アニメ1期では、五条先生は「強い」「適当」「生徒思い」「美人」「高身長」「煽り上手すぎてこっちも腹が立つ」くらいのイメージで、生活感や内面を感じ取りにくいキャラだった。しかし映画を経て、五条の理解も深まったというか。様々な面を観れたことが嬉しかった。

・サングラスから包帯へ変えるシーン(前髪グッと上げて包帯巻き巻きする部分に生活感を感じた。)

・私服+目隠し姿(上記と同じシーンだが、アニメでは見れなかった姿だった。)

・「君にかかった呪いは、使い方次第で人を助けることもできる。力の使い方を学びなさい。」(「~なさい」って口調が先生っぽくて良かった。)

・乙骨たちが特訓に励んでいるのを見つめながら、「若人から青春を取り上げるなんて許されないんだよ、何人たりともね。」(五条先生が生徒たちの健やかな成長を祈っているのが実感できた。)

・乙骨にとって初の任務後にかけた「おかえり。頑張ったね。」(劇場版の中で一番好きな台詞。とっても優しいトーンでよい。)

・夏油との交友関係(他人との関係性が見れてよかった) ※この二人の関係性については後述する。

・かつて同級生だった夏油を止めよう(=始末)とするも、できなかったシーン(心の迷いが手に現れていてぐっと来た。) ※ここも後述する。

・過去の一人称が「俺」。

 

五条先生関連で興味深い点や疑問点が新たに浮上したので記録しておく。

1)学生時代の五条先生

 一人称が「俺」だったり、「何が言いてェんだよ…」と言葉遣いも刺々しい感じなので、学生時代もしやむちゃくちゃ粗暴だったのでは?と。ここまで見せられたら、学生時代の話が描かれると期待せずにはいられない…。

2)テレポート機能

 自身のテレポートはアニメ1期でもお披露目されていたが、劇場版では他人に対してのテレポートも描かれていた。(パンダと棘先輩を高専に送り出す際、円状に謎の模様をサラサラ書いて両手を握って転送していた)「まあ、最強だし瞬間移動の一つや二つ、容易でしょう」と思ってしまうが、もうちょっと詳細が知りたい。

3)何故乙骨の調査結果を聞いてハッとしたのか

 伊地知さんから乙骨の身辺調査結果(=菅原道真の子孫であること)を聞いて、何かに気づきパンダと棘先輩を送りだす決意をした五条。

・パンダ&棘に対して

五条「勘が当たれば最悪真希と憂太二人死ぬ。二人を守れ。悪いが死守だ!」

・後の夏油との会話

夏油「あの二人を私にやられる前提で、乙骨の起爆剤として送り込んだな?」

五条「そこは信用した。お前の様な主義の人間は、若い術師を理由もなく殺さないと。」

 上記で分かるように、五条先生は腹の内と、外に出す情報が一致したりしなかったりするキャラだ。その場で上手く使い分けるタイプだと思う。一体彼は何に気が付いて、行動を起こしたのか知りたいところである。中村さんの声のニュアンスからすると、危険を察知したときの気づきっぽく聞こえたのだが…むむ、今後回収されるのだろうか…。あとポイントはやはり、菅原道真というところでなかろうか…。ただ、菅原道真も今回初出しの人物なので、アニメ勢の私には予想もできない。

 

五条先生と夏油の関係性について

 彼らの関係性については原作の0巻ではほぼ描かれていなかったが、映画で色付けされたものを含めると下記のような描写があった。

・夏油と五条、硝子は同期で仲が良さそう。夏油&五条は無邪気に笑い合うカットもあり。

・お互いを下の名前で呼んでいる。

・五条にとって夏油は「たった一人の親友」である。

 東京校の2年生や五条先生の特徴として、信頼関係を築くと下の名前で呼ぶという癖があるように思う。それをベースに考えると、敵対しても尚当時の呼び方で「悟」「傑」と呼び合うのはなかなかくるものがある。五条先生がたった一人の親友と呼ぶほどだ。きっと学生時代からすごく仲良しだったのだろう。

 

夏油について

劇中では、現在と過去で相反する思想を持っていたことが描かれている。

現在の夏油

・「愚者に死を」「弱者に罰を」「強者に愛を」という掛け軸を背に座っている。

・非術師と会話した後に除菌消臭スプレーをする。

・「強者が弱者に適応する矛盾が成立してしまっているんだ。」「非術師を皆殺しにして、呪術師だけの世界を作るんだ」

・「呪術も扱えない猿共め」

・「誰が何と言おうと猿共は嫌いだ」

 非術師への並々ならぬ嫌悪が顕著に表れている。対して仲間には始終笑顔でご機嫌。そして乙骨に対して跪いて両手を握って勧誘してくる。異常なほど弱者(=非術師)を毛嫌いしているなというのが印象的。

高専時代の夏油

夏油「強きを挫き、弱きを助ける。いいかい悟、”弱者生存”。これがあるべき社会の姿だ。呪術は非術師を守るためにある。」

五条「それ正論?俺正論嫌いだわ~」

 過去の夏油は、今の思想と全く真反対のこと発言している。この時点から現在に至るまで、何等かのきっかけがあったはずで、更にそのきっかけは夏油にとってとてもショッキングな出来事であったと推測できる。映画の演出的には、美々子&菜々子と夏油の出会いが彼に大きな影響を与えたのではと思っている。

美々子&菜々子の回想シーン

菜々子「アンタらは知らねえだろ。地図にも載ってねー様なクソ田舎で呪術師がどういう扱いを受けてるか。」

美々子&菜々子が怯えている表情で座り込んでいて、その状況を見て絶望しているような夏油(高専)、美々子&菜々子を傷つけた周囲の人間に手をかけたと思わしきシーン、返り血を浴びながらも彼女たちに微笑むシーン(「もう大丈夫だよ」とでも言っていそうな表情)

 元々夏油は「強者である呪術師が弱者である非術師守ってあげるべき」と考えていた人間だ。ところが、任務か何かの時に守っていたはずの弱者が強者に危害を加えていた場面に遭遇してしまったのではないだろうか。幼い女の子をあんなに怯えさせて、きっと夏油は怒りと絶望感に満ち溢れたのだろう。更に呪術師は自分がいつ死ぬか分からないような危険と隣合わせで職務を全うしているのだ。それなのに…と思ったのではないだろうか。きっと真逆の思想に陥ってしまうほど、その現状は辛酸なものだったのだろう。

夏油「君が最強だから五条悟なのか、五条悟だから最強なのか。」「私が君になれるとしたら、この馬鹿げた理想も地に足がつくと思わないかい?」「生き方は決めた。後は自分にできることをやるさ」

人込みに背を向けて歩く夏油を見つめる五条。五条と思わしき手がクローズアップされ、技を飛ばそうとしていたが、一瞬ためらって手を下す。

 きっとここで五条は夏油の思想の危険性を理解していて、彼を始末しなければならないと思ったのだろう。しかしできなった。”親友”だからだろうか。

 

また、夏油に関しても気になる部分があるので下記に残しておく。

1)何故現在生きているのか?

映画の最後には、五条が夏油を始末し、看取ったであろうシーンが描かれている。最後の言葉も交わした。なのに何故、アニメ1期で元気に暗躍しているのだろうか。筆者は、夏油が呪いになってしまったのかもしれないと考えている。何故そう思ったかというと、下記のやり取りがアニメ1期であったからだ。

楽巌寺「先の虎杖の死は、自死だと聞いておる。敵対術師にトドメを刺す時、気を付けねばならんことは?加茂。」

加茂「はい、死後呪いに転ずることを防ぐために呪力で殺します。」

楽巌寺「そうだ。他者の呪力でしっかりトドメを刺せば何の問題もない。」

 もちろん五条も上記のことを知っているはずなので自身の呪力でトドメを刺したはずだが、”しっかり”トドメを刺し切れていなかった可能性もあるのではないだろうか?それによって呪いに転じてしまった、或いは夏油が飼っていた呪霊が悪さをしたのではないかと思っている。

 そもそも何故夏油本人でないと考えたかを述べると、アニメ時点と0巻時点の夏油は思想や実施していることは確かに一致する。だが、五条とのあの”最後”のシーンを経た後に奇跡的に死を免れたとしても、1年後にまた同じような騒ぎを企てるだろうか?少なくとも、劇場版で把握した夏油はそんな人間とは思えなかった。このような理由で、夏油本人でないのではと考えている。例えば先に述べた夏油が飼っていた呪霊が悪さをした説を前提にした場合、夏油が呪霊と何かしらの縛りを設けていて肉体の主導権を渡している状態である可能性もある。ただ思想や記憶は夏油本人の物と一致している気がするので、いまいちしっくりこない。一体何が起こったのだろうか…。どちらにせよ、どういう思いで五条先生が夏油にトドメを刺したのか考えると本当に切ない…。

2)映画の夏油はちょっとテンション高い

 アニメ勢としては、違和感があったのだ。胡散臭さは変わりないし、ゲスイし最低なのは変わりはない。が、なんだか映画の夏油は元気だなと思った。急に声を荒げたり、キャッキャしていたり。正直「夏油どうした?」となりました。アニメ1期の夏油は、もうちょっと渋いというか。怪しい大人感がある。時がそうさせたのか、夏油が現在も生きていることの秘密と関連があるのか…。

3)夏油の最後の言葉

「誰が何と言おうと非術師は嫌いだ。でも別に高専の連中まで憎かったわけじゃない。ただこの世界では、私は心の底から笑えなかった。」

 先にも述べたが、夏油が現在の思想に至るまでどんなことを経験してどんなことを考えたのかが知りたいところ。

 

乙骨について

乙骨に関しては、この人めちゃくちゃ強いのではというのが感想である。呪術師としての才能が溢れ出ていると思う。五条先生の言う、菅原道真が影響しているのかもしれないが、明らかに成長速度が速いのだ。下記に乙骨の呪術師としての強さを感じられたシーンを整理しておく。

・呪言を使える

リカちゃんが手渡したメガホンもどういう経緯で生成されたのか、どこかで貰ったのか色々気になるが、それを使って呪言を操る乙骨。きっと実践で初めてだと思うのに、周りの敵をせん滅。強い。

・しれっと反転術式

真希、パンダ、棘を避難させた後にふわっと透明な膜で包んであげているシーンがある。その後の夏油の台詞も加味すると、反転術式を使っていることになる。呪術師になりたてなのに、すぐ使えることが恐ろしい。

・さりげなく黒閃

夏油と対峙している中で、黒閃でお馴染みの黒い墨エフェクトが。リカちゃんがいるとは言え、特級呪術師を相手に互角に戦う乙骨先輩はかなりのゴリラである可能性。

・特級過呪怨霊を生み出した

リカちゃんに呪いをかけたのが乙骨ということであれば、特級の呪いを産みだせる乙骨ってめちゃくちゃ強いのでは?

 

好きなシーンまとめ

以下は、とにかく筆者が劇中で好きだなと思ったシーンである。

・乙骨が五条と喋るシーン

会話の中のカメラワークに、柱にフォーカスが当たっていてキャラが全く映っていないカットがあるが、そこが好き。柱に隠れている乙骨が徐々に見えそうになるようなカメラワークが斬新で面白かった。

・乙骨の朝支度シーンの猫背具合

自身の無さや悲しさやそういった暗さが出ていて、より一層その後の成長具合が強調されてると思う。(影もしっかり猫背なのもポイント)

・乙骨初任務の説明をして帰ろうとする五条先生

カメラ位置が五条のちょっと上斜めくらいで固定。先生がひらひら手を振りながら真希と乙骨に背を向けて歩き出すシーン。だんたん五条先生がボケてフェードアウトするのだが、その視点が独特で興味深く、心に残っている。

・真希さんの戦闘シーン

予告編で感動して何回も巻き戻して観た、小学校の呪霊3体を祓うシーン。美しくて見とれてしまう。

・リカちゃん「わ~綺麗!リカ、綺麗なの好き~~~!」のシーン

可愛らしい台詞なのに、呪霊をズタズタ捌いていくリカちゃんの姿が好き。そして本当に花澤香菜さんの演技が大好きで、テンション上がる。

・乙骨にとって初の任務後にかけた「おかえり。頑張ったね。」

劇場版の中でここが一番好きな台詞。とっても優しいトーンでよい。

・小学校の現場に後から登場する夏油(の影)

このシーン、アニメと同じ音の演出で個人的にすごくテンションが上がった。救急車の音がなっている中で鉄のドアがギィッと開く、あの音を聞くと「夏油くる!!?」と浮足立つのは私だけではないはず。そしてだんだん影が近づいて、髪の毛のフォルムが出てきた瞬間、やっぱり夏油だ~!!!!となる感じがすごい好きで見るたびに嬉しくなる。

・眼鏡姿から包帯バージョンへの変身シーン

前髪グッと上げて包帯巻き巻きする部分、生活感があってよかった。

・棘先輩が地面を蹴りだすシーン

上からジャンプして降りてきた後、呪霊の攻撃を避けるために地面をグッと蹴り上げるシーンがあるが、そこのグッと感がすごい好き。蹴りだす時のタメがすごくツボ。

・夏油さんの「残念、噂のリカちゃんに会いに来たのに。同じ特級。早く挨拶したいなぁ。落とし物も届けなきゃだし。」

リカ”ちゃん”呼びがよい。言い回しに茶目っ気と胡散臭さがあってすごく好き。何より櫻井孝宏さんの声がここで初めて聞けるので、そういう意味でも最高に気分の上がるシーン。

・夏油が乙骨を勧誘するシーン

音もなく近づき、乙骨の両手を取って勧誘する夏油(ウインク付き)。対非術師の態度と比べてこれですよ、と。胡散臭くてよい。

・五条が夏油に向けて攻撃しようとするも、やめるシーン

手だけの描写だが、自分が夏油の危険性に気が付いて呪術師として始末しないといけない気持ちと、親友であり今までの夏油の人となりを理解しているが故の迷いというかそういうものが垣間見えたと思う。五条先生の人間らしい一面が見れたという意味でもお気に入りのシーン。

・美々子&菜々子の回想シーン

夏油が美々子&菜々子を観てショックを受ける表情が忘れられない。この時のイベントがかなり夏油にとって大きな意味をもたらしたのでは?と思えるので好きである。

・対ミゲル戦にて、五条先生が突然ビタッと止まるシーン

それまでドカドカやり合っていたのに、ふいにスッと動きを緩める先生の動きが良かった。

・ノールックで赫(?)を飛ばす五条先生

ミゲルと対峙してるときに、後ろからぬっと出てくる大きな呪霊を「邪魔だ」と敵も見ずに赫を放つ先生。建物も粉々に壊れてしまっており、夜蛾先生が頭を抱えそうである。

・ナナミン&京都校メンバー登場シーン

ストーリーの山場に更にテンションを上げてくれた部分だった。何回観ても嬉しくなる。

・夏油vs乙骨の戦闘シーン

戦闘シーンで一番好きかもしれない。夏油はずっしりしたフォルムに反して軽やかに袈裟や髪が揺れ動き、慣れた様子で戦う姿。一方、戦う中でどんどん洗練されていく乙骨とリカちゃんの姿。カメラワークもとっても素晴らしくて、感動の嵐。特に、夏油がヌンチャク(多分、特級呪具游雲)を手にした後の戦闘が本当に美しい。先に述べた二人の動きに加え、ヌンチャクの伸び縮みする動きが加わるので、臨場感を出すのには大変難しい部分だったのではないかと思われる。複雑な動きのシーンなのに、とってもこだわって丁寧に作ってくださったのだな~と制作された方に頭が上がらない。劇場版の中でも見せ場のシーンだと思う。

・五条と夏油の最後のシーン

五条が何を伝えたのか、何を聞いて夏油は「最後くらい呪いの言葉を吐けよ」と答えたのか。視聴者の我々にすら開示されなかったのがもどかしいが、逆に二人だけの最後の時間という感じがしてよい。

・「学生証!先生が拾ってくれてたんだ!」という乙骨に対して「いいや、僕じゃない。」「親友だよ、たった一人のね」と言う五条

本当に最後の最後のシーンで、夏油とどういう関係性だったのか初めて五条先生の口から明かされるというのがすごくよかった。最初見たときは、「え・・・???待って」と、驚きとショックでいっぱいであった。何度か劇場に足を運ぶ内、五条先生の心情を想像しながら見るようになり、うるっとくるという…。あとから理解が追い付くような作りになっていてすごくよかった。そしてそこに重なるエンディングテーマ「逆夢」でさらに涙を誘う。

 

クスッと来たシーンまとめ
・小学校任務に送り出す五条が寄りかかる車のナンバーが「12075」

五条先生の誕生日+5というナンバーで、作画班のお茶目さを感じた。

・教室に掲げている言葉が「天上天下」「唯我独尊」
ちょっと…?!と思いませんか。作中では、どこぞの宿儺さんを表す言葉だが、こんな言葉を教室に飾るっていうのが面白くて笑いそうになった。教育に相応しくなさすぎる。

・武器庫に案内するときの「ささ、どうぞ…」の言い方

中村悠一さん、何であんなに恭しいトーンにしたのですか。ちょっと悪ふざけしてる感じがして良い。

・対ミゲル戦にて、五条先生が壁になるシーン

ミゲルと戦うシーンで、ミゲルがスーッと降りてくるところを五条先生が(たしか逆さで)自ら壁となって弾くシーン、面白かった。もちろん原作にはない描写なので、今回映画化するにあたってどういう戦闘シーンにするか考えて作ってくださった部分だと思うが、自らが壁になるっていうアイデアを思いついた方のセンスがすごい。190cmの巨体となれば、普通に歩いてても“壁”みたいな感じでしょうね。

 

その他雑多な感想

・今回初めて、解呪のシーンを目にした。が、こんな綺麗な解呪はこれが最初で最後なんだろうな~と思った。

花澤香菜さんの演技に鳥肌が立った。乙骨以外はまじ許さんみたいな雰囲気が出ていて素敵。

・棘先輩の喉が枯れた声が本当に痛そうで、内山昂輝さんすごい…!と思った。

・棘先輩の、「憂太逃げろ」と言う時に、胸郭が膨らんでいた。苦しいけど頑張って声に出している感が出ていてよかった。

・パンダの真希への乙骨いじりはここからだったのかと。アニメ1期の時に、「でも憂太といる時は少し丸くなるよなぁ」と言っていて、この頃は勝手に弄っているのか、それとも本当に真希さんが乙骨に気があるのが不明なところだったが、劇場版を見ると前者だなと。

・帳を下す五条先生&夏油が見れて満足。

・伊地知さんの謎の安心感。


■今後の展開予想

 少なくとも、五条と夏油の過去については詳しく描かれるのではないかと思っている。映画では五条と夏油の関係性に少し触れたが、原作と比べると少々その関係性について肉付けしている。今後大事なストーリーとして控えているので、より我々が興味を惹かれる程度に補足してくださったのでは…と予想している。また、先にも述べたが五条と夏油の回想シーンにて、謎の女性キャラが登場していた。あのMAPPAさんが無意味にキャラを見せるはずがないので、きっと二人にとっても大事な仲間の一人なのではなかろうか。アニメ勢の私からすると五条・夏油の関係性はまだまだ未知なので、もっと背景を理解できた時にこの劇場版の内容を振り返るとまた涙腺に来る度合いが高まりそうである。とにもかくも、素晴らしい映像作品を世に送り出してくださった制作陣の皆様には本当に感謝しかない。公開終了まで、繰り返し見て吸収していく所存である。

 

以上。