【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第36話「鈍刀」の感想など

 10/13(木)に呪術廻戦2期第36話が放送されました。滑り込みではありますが、いつも通りアニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本12巻 ・第98話 渋谷事変⑯ ~ 第100話 渋谷事変⑱ p.63

       ・第101話 渋谷事変⑲ p.79まで

ファーストインプレッション

 細かい部分は以降述べるとして、とにかく今回は七海が輝いた回であったと思う。あれ程怒りが煮え切ったナナミンを見るのは初めてで、彼の1級術師としての強さを見せつけられた一話となっていた。冒頭の独白や倒れている伊地知と灰原が重なる描写、吐き捨てるような「舐めやがって」という荒々しい言葉。そして「鈍刀」とタイトル画面が出る。1分もないが、この一連の流れで七海という人物にグッと引き寄せられる。

 重面との戦闘シーンでは、2人の体格差も強調されていてフィジカルからして七海が圧倒的強者であることが明瞭であり、底のない怒りを絵から易々と感じられる。言葉数も一層少なく、「仲間の数と配置は?」と繰り返し詰め寄る彼には、味方で良かったと思える程のおっかなさだ。五条と花御のシーンで感じた恐怖に近しい。

 個人的には冥冥の優雅でしなやかな強さも印象的だった。今後冥冥の見せ場が来ると思われる段階だが、彼女の落ち着いていて物怖じしない態度は優美でかっこよく、見ていて安心すら覚える。決して自分のペースを乱さない冥冥独自の雰囲気に見入ってしまう。冥冥は「特級特定疾病呪霊 疱瘡神」との戦闘を控えているが、ぜひ勝利して生還してほしい。

 そして甚爾の肉体が孫の魂を塗り替えて完全に甚爾として復活してしまった。周辺に残っている猪野と恵とどう絡んでいくのかや、地下で繰り広げられるであろう熾烈な戦い、そして新たに始まった虎杖vs脹相の行く末等に関心が引き寄せられる。渋谷事変というイベントの中で様々な戦いが終わり生まれていく様が感じられる怒涛の1話であった。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より

 

ストーリー構成

 各サイドの場面順序の入れ替えあり。今回の第36話は七海に見せ場がある回だったので、最初に七海の独白を持ってきたのだと思う。後は時系列的に理解しやすいような順序にしていたり、回想として表現されていた真希と野薔薇&新田の会話シーンを地続きになるように織り込んでいたりと話の順序に工夫がされていた。最後はまた虎杖vs脹相という新しい戦いが始まるぞというところでエンディングを迎え、かなり濃厚且つ続きが気になるエピソードになっていた。

シーンごとのメモ等

・アバン:七海の独白

 仕事用デスクとカスクート、そしてナナミンの独白から始まった第36話。地面に伏す伊地知を発見した七海の表情が何とも言えない。そして伊地知の姿を見てほんの一瞬映った、傷だらけの灰原の顔。七海の脳裏に灰原が過ったと思われる演出だ。「舐めやがって」とぽつりと溢すその心境を思うと胸が苦しい。ここの音の演出も素晴らしかった。BGMはなく、町の音も控えめで七海の言葉に集中できる。そして台詞の間の取り方も絶妙で、「舐めやがって」が出るまでの間がリアルだ。七海の内側に沸々と湧く激情というか…そういった色んな感情が渦巻き大きくなる時間を表しているようだった。そしてそのまま流れるように出るタイトル、「鈍刀」。この1分も満たないアバンだけで物凄くストーリーに引き込まれ、そして七海という人物の人生について思いを馳せたくなる。今までで一番印象的なアバンだったと思う。

・Aパート:冥冥vs蛯名

 優雅なBGMを背にゆっくりと歩み寄る冥冥。そして片足を失い地を這う蛯名。冥冥がこっちに向かってくる様が美しすぎて、ランウェイかな?と錯覚してしまうほど。キービジュアルの端っこに写っている新キャラだったのでどんな呪詛師だと思っていたが、戦闘シーンも描かれることなく終了してしまったようだ。「命を狩る者がその価値を即答できない。そんなんだから負けるんだよ」という台詞にはこちらも背筋が伸びる。他の術師達は一体何と答えるのだろうと少し興味深い。

・Aパート:虎杖&恵

 冥冥が蛯名を狩った同時刻であろうか、虎杖が帳の基を握りつぶして術師を入れない帳が上がった。これで一旦動きやすくなる…といったところで恵が発見したのは地面に向かって落下する猪野であった。原作ではその猪野の様子が1カット入っていたのだが、アニメではその描写がないので「猪野さん?!」となり、続いて出てくる鵺が猪野に向かうカットで状況が理解できる。恐らく、恵が鵺を出す(キャッチしたいが、最悪減速だけでもという感じか?)→それを察知した虎杖が落下地点でキャッチ といった具合であろうか、言葉も交わさずにこのコンビネーション…流石である。ぼろぼろな猪野を見て虎杖が苦しそうな表情を浮かべるが、この表情にはこちらも切なくなる。

・Aパート:オガミ婆vs甚爾

 甚爾の肉体を降ろされた孫の様子が何やらおかしい。「誰に命令してんだよ、ババア」と振り向く頃には、もう完全に“甚爾“となってしまっていたのだ…。オガミ婆は、不測の事態を防ぐために肉体の情報のみ降ろすと決めていたというが、その肉体が魂の情報を塗り替えてしまったらしい。「よく分かんねぇけど俺の肉体は特別だからな、コイツの魂が俺の肉体に勝てなかったんだろ」という言葉にはこの人本当にどうなっているんだ…という感想しか出てこない。「オマエは下に降りて術師を殺せ」というオガミ婆の命を受けて「術師は殺せか…テメェも術師だろ」と音も無く詰め寄り(本当にSEも何もない)、拳を振り上げる甚爾が怖すぎる。この後どういう動きをするのかが気になるが、好き勝手して現状よりもっと状況が混沌としそうだ。筆者はどこかで恵とかち合うのだろうなと予想しているが、どうなるのであろうか。

・Aパート:真希&直毘人、野薔薇&新田

 まず、甚爾からの真希というのが粋な構成だなと感じた。二人は禪院という家柄、そしてフィジカルギフテッドという共通点を持つからだ。改めて思うが、真希の戦闘シーンはアニメ映えしてかっこいい。ポニーテールや長物の呪具の動き、そして真希のしなやかな身のこなし…全てがかっこいい。渋谷事変ではこれから見れると思うので大変楽しみである。野薔薇が情報共有をし、それを基に指示を出す真希。そして横で欠伸をしている直毘人、このおじさん何なんだ状態だ。そして伊地知のもとへ向かう2人の背を見送りながら「(帳の外の方がいざという時に逃げ様があるよな)」と自分に問いかけるような台詞には目の奥がグッと熱くなった。本当に逃げ様があるのかどうかは分からないが、真希の覚悟や2人を想う姿に心がギュッとなる。

・Aパート:虎杖&恵

 猪野を保護し、「ちょっと殴ってくる」と頭に血が上る虎杖をいなして2人の取るべき行動へ誘導する恵。本当に良いコンビである。猪野を連れて一度外に出るぞと提案する恵に対し、「猪野さんを頼む。俺は先に駅に向かう」と告げる虎杖。恵もそれがベストと思っているが虎杖が単独行動する彼の身を案じている様子だ。「…分かった、でも」「”死んだら殺す”だろ?」「心配すんなってメカ丸もついてるし!!」「分かってるならいい、後でな」「応!!」と言葉を交わす2人。こういう時の別行動は怖いのだ…。2人がお互いのことを理解し合っているのが伝わってくる場面でもあったが、同時にちゃんと後で合流できるよね?と不安を煽られるシーンだった。

・Aパート:蛯名を倒した後の冥冥、そして偽夏油(寄生体)

 五条に貸しを作り、”いくら”になるのかウキウキしている冥冥、そして線路に立ち恐らく明治神宮駅方面を見つめているであろう偽夏油。「思っていたより早かったなぁ…」と顔も見えない台詞なのに、イラァッとするこの言い方に脱帽である。偽夏油と呼ぶのも合っているか分からない寄生体という表現を使うのも嫌なので、そろそろ名前を明かしてほしいものである。

・Aパート:野薔薇&新田vs重面

 伊地知のもとへ向かう途中の野薔薇と新田の前に現れたのは重面であった。ちょっと的外れな事を言うが、野薔薇は結構小柄なのだなと。

・Aパート:伊地知を抱え、歩く七海

 一方その頃、七海は伊地知を背負いながら補助監督を辿っているようだ。ゆっくりとした足取りで台詞もなく無表情の彼は一体何を考えて歩いているのだろう。

・Aパート:野薔薇&新田vs重面

 野薔薇は新田を逃げるように指示し、重面の前に立ちはだかり戦闘が開始する。「どちら様ですかァ?!」「もっと危なくしてやるよ」の言い方が癖になる。リアタイ時は野薔薇ちゃん頑張れー!と拳を握って応援していた。野薔薇の久しぶりの戦闘シーンに胸が躍るも、新田を追う剣の動きが怪しくハラハラさせられる。逃げる新田の背後に迫る剣は、彼女の足を切りつけ動きを封じる。ここはアニオリなのだが、動きを鈍らせるために先に足から狙うという事でえげつなさがより強調されていて緊迫感が感じられた。切られた時の新田の声も本当に痛そうでウッとなる。そして新田のもとへ走り蹴り飛ばす重面。怒る野薔薇と、剣を握り振りかざす重面、間一髪で避けて受け身を取りながら釘を放つ…この辺りの一連の動きがすごかった。見せ方や動きのリズム、重み等が感じられるアニメーションで思わず見入ってしまう。

 壁の一部を簪で破壊し重面が煙に包まれる。野薔薇が新田に目を向けたその瞬間、剣の手が野薔薇の顎に殴りかかる。拳を受けた野薔薇の頭蓋骨のカットが入り、彼女は耳鳴りと共に地面に膝をつく。この表現でクリティカルヒットしたことが容易に分かる。重面の声も籠った様な加工が施されていたり、野薔薇の顔がだんだんボケていったりと、音と絵の演出の細かさに圧倒される。「ただ強いだけで勝てる世界じゃないんだよ、特に俺の術式が絡むとね」と告げる重面の術式については後ほど考察パートで述べるが、筆者は”運”を上げる術式を持っているのではと思っている。そして新田を逃がすためにも時間稼ぎをしようと問いただす野薔薇の、ただでは倒れない精神に感服する。重面は「俺が楽しければそれでいいじゃん!!」と言いながら新田の臀部に剣を突き刺す。彼へのヘイトゲージがめちゃくちゃ溜まったのは私だけではないはず…。

・Aパート:近づく七海

 コツコツと静かに歩を進める七海。七海助けて!!!という気持ちである。

・Aパート:野薔薇vs重面、七海合流

 そして更に新田の足を刺していく重面。動けない野薔薇。ふらつく身体を起こして殴りかかろうとするが当たらず、足を引っかけられて簡単に転んでしまう。言葉が上品ではないが、「こいつ絶対許さんぞ!!」と思った。

・Aパート:さらに近づく七海

 次は左手だけのカット。ナナミンーー助けてーー!

・Aパート:野薔薇&七海vs重面

 野薔薇と重面が再度手を振り上げた所でドアのガラスがぶち破られて七海が合流する。言葉を発さず入口付近に佇む七海。もうそれだけで相当キレている状態であることが分かる。

・Bパート:野薔薇&七海vs重面

 無言でネクタイを手に巻く七海。心なしかいつもよりガタイが良く描かれている気がした。何も喋らずゆっくり近づいてくるのが底知れぬ怒りを感じていい。新田がいない事に気づき「逃げちゃった」と残念そうに言う重面の後ろにぬっと壁のように立っている七海がめちゃくちゃ怖い。そして「仲間の数と配置は?」とだけ問い、尋問が始まったと感じた。知らないと言いながら切りつけ、腹部を蹴るも傷一つ付かず微動だにしない七海。更に「仲間の数と配置は?」と同じ台詞で問いただす。重面が知らないと言い切る前に殴りかかり、重面の身体はショップのショーケースに飛んで行ってしまった。術式がなければ死んでいたと言い、逃げようとする重面。七海が逃がすはずもなく、ポニーテールを持って再度尋問し応えない重面に更にもう一発入れる。最後は首を掴み上げ、顔面に拳をぶち込む七海はもはや鬼のよう。もうここの描写がものすごかった。七海が圧倒的強者というのが物凄く伝わってくるし、特に野薔薇たちをフォローする事もなく敵に向かって「仲間の数と配置は?」と繰り返し詰めるところに彼の怒りの深さを感じた。背負っている刀すら抜いていないのにこの強さ、この恐ろしさ。七海も呪術師なのだという事を痛感したシーンだった。

・Bパート:冥冥vs偽夏油(寄生体)

 冥冥が地下の線路で対峙したのは夏油の姿をした寄生体。この2人もゆっくりとした歩みで大人の余裕を感じる。冥冥にとって彼はどう映るのか気になったが、瞬時に偽物であろうという見解を示していて流石だなと思った。呪霊操術を見せられたことで自分の読みに疑念を抱いているが、恐らく7割程度は偽物と思っているだろう。そして自分の手は汚さず、呪霊だけ寄こす寄生体の戦い方にも反吐がでそうである(言葉が汚い)。領域に閉じ込められた冥冥はなかなかにピンチな状況と思うが、果たして大丈夫なのであろうか。心配ではあるが、冥冥がゆったりと構えてくれているのでいつもより安心して見れるという…。ただあの策士な寄生体のことだ。冥冥の事を生かして通す気もなさそうだ。彼女が自分を偽物と勘づいている事すら察している可能性もある。冥さん無事でいてくれ!!

・Bパート:虎杖

 そして渋谷駅に到着した虎杖は構内を駆けている。人が全然いないことを不審に思っている様子だ。

・Bパート:七海&野薔薇&新田

 伊地知が無事という知らせを聞けてホッとした。元々術師を志していたという伊地知。今は回復に専念してほしいが、伊地知さんがどんな戦い方をするのか気になる。いやでも、補助監督の彼が戦う時が来てしまったらそれこそ異常事態すぎるので見たいようで見たくないような…。そして野薔薇と新田にその場で救護を待つように指示し、七海は真希たちと渋谷駅のB5Fに向かうと言う。野薔薇も付いていきたいと言うが、駄目だときっぱり告げる七海。「ここからの戦いは1級で最低レベルです」「足手纏い邪魔です。ここで待機を」と一見冷たく感じるこの言葉も、七海の優しさだなと感じた。視聴者としては、その場で救護を待つ野薔薇たちも、より激しい戦いになる地下へ向かう七海も心配でならない。

・Bパート:虎杖vs脹相

 地下何階であろうか、エスカレータを降りて虎杖が出会ったのは何と脹相!脹相の目的は弟たちの敵討ちなので、見つけた瞬間に攻撃を仕掛ける。バトルが開始する!っとなった所でエンディングであった。物凄い続きの気になる終わり方だ。

・エンディング:新規絵を発見

 今回、いつも通りにエンディングを見ていたが...何と新規絵が!野薔薇と恵がガチャガチャをやっている写真である。元々は野薔薇がパルコ前で決めポーズをしている写真(これも大変可愛らしい)だった。

考察・疑問など

・伏黒甚爾の完全復活から”魂と肉体”について考察する(虎杖、夏油、真人)

 前回抱えていた疑問が色々と解決してすっきりしたと思いきや、いよいよ完全復活しちゃったんだよな…というところ。まさか甚爾の”肉体”が孫の魂を塗り替えてしまうとは。甚爾の肉体強過ぎないか…?いくらフィジカルギフテッドとは言っても、こんなことあってたまるかという気持ちである。この現象を踏まえると、虎杖と夏油、真人について少し思う所があるので記述していく。

オガミ婆「どういうことだ…儂はまだ”肉体の情報”しか降ろしておらん!!」

甚爾  「降ろす…?あぁ、そういう…」

オガミ婆「(そう不足の事態を未然に防ぐため、”魂の情報”は降ろさんと決めている!!)」

甚爾  「よく分かんねぇけど、俺の肉体は特別だからな。コイツの魂が俺の肉体に勝てなかったんだろ」(単行本12巻)

 切り分けられているとは言え、宿儺の魂に打ち勝てる虎杖の肉体と魂は相当なものであろう。虎杖自身に秘められている、まだ明かされていない能力等が気になるところである。また夏油に関しては、現在謎の寄生体に肉体だけ利用されている状況になるが、五条の言葉に呼応するかのように寄生体の自由を奪うような行動を取ったこともある。甚爾がどのような原理で魂を乗っ取ったのかにもよるが、夏油と通ずる部分もあるかもしれない。とすると、怪しいのは肉体に込められた記憶や能力等の情報であろうか。肉体と魂の話をするには真人にも触れない訳にはいかない。もし、甚爾のようなタイプと真人が戦った場合はどうなるのか興味深い。この対戦は実現しなさそうであるが、2人の場合恐らく甚爾に軍配が上がりそうである。ただのフィーリングだが、甚爾の魂の形を変えたとて、肉体に影響しそうにないからだ。こうなった時の真人の反応が見てみたいものである。この魂と肉体というトピックは、”縛り”と同様に今後のストーリーに深く関わっていきそうだ。

 もはや妄想であるが、偽夏油を霊媒にして”夏油の魂”を降霊させたら夏油の肉体と魂が一致するので復活することになる。オガミ婆、やってくれないかなぁ…。他人に自分の肉体を利用されるだなんて夏油があまりにも報われないので、こういう希望を勝手に作り上げてしまう…。

・重面の術式と彼が生きているかどうか

 圧倒的な強者の七海に3発打撃を入れられ、最期は壁にめり込む程のダメージを負った重面。筆者が思うに、彼はまだ生きていると思う。というのも、重面の術式が関与していると考えているからだ。根拠は2点あるが、まずは重面の残した台詞から考察していく。

重面「君さ、前に会った時より凄く強くなったでしょ。俺最初気づかなかったもん」

重面「でもさぁ、ただ強いだけで勝てる世界じゃないんだよ、特に俺の術式が絡むとね

重面「つっても、俺も俺の術式のことよく分かってないんだけど」(単行本12巻)

重面「(死んでいた!!俺の術式がなければ死んでいた!!)」(単行本12巻)

 「ただ強いだけで勝てる世界じゃない」という台詞は「実力があっても”運”がないと勝てない」と言っているように聞こえる。「俺の術式がなければ死んでいた」というのも、彼の能力のお陰で即死攻撃を“即死”でないレベルで受けることができたと解釈できる。彼の術式は“運”に関するものなのかもしれない。

 そして2点目は絵だ。絵の情報からもヒントを得られる。まずは野薔薇が一瞬戦闘不能になるほどの打撃を加えたあのシーン。単行本では打撃シーンはサラッと描いてあるが「(コイツ…イイトコ当てやがる!!)」と野薔薇が零している。アニメでは野薔薇のモノローグはないが、絵で“クリティカルヒット”した事が物凄く伝わってくる。人体構造上一番弱いとこに当てたぞというのが表現されていると思う。その後に「おっ顎入った?立てない?」と嬉しそうにする重面は、たまたまイイトコに入って“ラッキー”だとでも言った様子だ

 そして最後は、重面の目下にあるマークについてだ。よ~く見ると少しずつ消えていっているのが分かる。そしてそのマークの消えるタイミングを整理すると、これは彼の術式が発生した後なのではないかと予想できる。若干アニメと単行本で数の減り方が違うが、恐らくアニメ制作時に芥見先生とMAPPAさんのやり取りがあっての事だと思うので、アニメの情報が芥見先生の表現したかった真の情報と捉えていいと筆者は考える。

 恐らく彼の運を上げる術式には残機のようなシステムがあって、それがまさに目下のマークなのだと予想する。リセットされるのかや、どのタイミングで発動されるのはまだ不明だ。もしかしたら本人でもその辺の事を分かってない可能性もあるし、もっと言えばそれすら縛りの可能性もある。だが今回の戦闘で明確に3つマークが消えているので、3回分の運を消費したと考えればこの仮説の基本的な部分は裏付けできそうだ。そして、冒頭に述べた“彼は生きている“の根拠で何より大きいのはこのマークの残り本数だ。最後の打撃を受ける前、彼にはまだ3つ分の残機がある。ということは、彼はまた1つ運1を使って生きている可能性が高いということだ。なかなかしぶとい敵になりそうだ。特に敵が強いほど彼の能力は発揮されるな~という印象である。七海も重面についてはそこまで考えて戦っているようには見えなかったので、重面が生き残ったことでまた誰かが傷つけられないか心配だ。特に野薔薇たちが無事に救護班と出会えるのかが不安である。

 

目の下のマーク残数

関与する事象

 

アニメ

単行本

0

右3、左3

右3、左3

なし(初期値)

1

右3、左2

右3、左3

野薔薇にクリティカルヒット

2

右3、左1

右3、左2

七海の打撃1発目→生還

3

右3、左0

右3、左1

七海の打撃2発目→生還

4

右2、左0(予想)

右3、左0(予想)

七海の打撃3発目→生還(予想)

・脹相が一番に虎杖と遭遇!虎杖の顔の傷について気になる事

 筆者の予想では戦闘の時系列は 真人→脹相→漏瑚 の順序と思っていたが、一番は脹相であった。現在虎杖は腹部に軽い切り傷を受けた状態だが、PVを見る限りは対脹相戦で虎杖は最低でも顔に2か所(切り傷&右目)負傷するようだ。一方オープニングの真人戦では、顔にそのような傷は見受けられない。という事は、虎杖は何等かの理由でその傷が治癒された状態と言って良さそうだ。考えられるのは、①虎杖が自身で治した、②硝子が治した、③その他の人物が治した の3択である。うーん、気になる。

・脹相と加茂の技まとめ

 脹相と加茂とは術に共通点があり、呪胎九相図と加茂家の関連性が気になるところだ。ということで次回に備えて今まで登場した加茂と脹相の技をまとめておこうと思う。※ただし、明確に台詞で技名が書かれているものに限る。

・加茂

 

技名

登場回(単行本基準)

1

赤鱗躍動

5巻 第43話

2

赤縛

6巻 第44話

3

苅祓

6巻 第45話

4

百斂 穿血

6巻 第46話

・脹相

 

技名

登場回(単行本基準)

1

苅祓

10巻 第84話

2

百斂 超新星

11巻 第89話

・虎杖と恵はその後ちゃんと合流できたのか?

 上でも述べたが、この状況の「後でな」は怖すぎる。こういう局面は今までも何度かあって今があるのだが、この渋谷事変における別行動は本当に震える。似た局面を整理してみたものの、何とも言えなさすぎる結果でより一層不安になるだけであった。

 

場面

結果

1

少年院にて、特級呪霊と対峙。虎杖がその場に残り、恵は野薔薇と脱出。

虎杖は身がボロボロになるまで粘り、最期に宿儺に交代し特級呪霊は祓われるも、肉体の主導権が宿儺優位になる。最後に虎杖が抑え込むも心臓を取られていたため死亡。

2

姉妹校交流会に乱入した花御の相手を虎杖と東堂が引き受ける。恵は花御戦で深手を負い、その後救護される。

花御にプレッシャーをかけることはできた。最後は五条が茈を放ったことで逃げられ戦闘終了となる。

3

八十八橋にて、予定外の呪霊(血塗&壊相)を発見。恵がその場に残り呪霊と対峙し、虎杖は血塗らを追い、野薔薇に加勢。

恵の相手は予想を大きく上回る特級呪霊となったが、土壇場で領域展開を会得し無事勝利。虎杖らも血塗らに勝利。

■おまけ:東堂はいつ来るのか?

 東堂好きの筆者としてはオープニングで見た東堂と虎杖の共闘が楽しみで仕方がないのだが、一体いつこちらに来るのであろうか?東堂が仮に京都校からこちらに向かってくるとすると、新幹線で言うと2時間半くらいかかるであろう。更に、京都校に応援要請が行くとしたら恐らく①五条単独任務発令前後、②五条封印情報拡散後の2時点と思われる。一旦時系列でまとめて、東堂がいつ到着しそうか予想してみる。

・渋谷事変 時系列まとめ

19:00 東急百貨店東横店を中心に約400mの帳が降ろされる

20:14  各呪術師たち帳外にスタンバイ完了

    ・都心メトロ渋谷駅13番出口側:

     七海健人(1級)、猪野琢真(2級)、伏黒恵(2級)

     伊地知潔高(補助監督)

    ・渋谷マークシティ レストランアベニュー入口:

     禪院直毘人(特別1級)、禪院真希(4級)、釘崎野薔薇(3級)

     新田明(補助監督)

    ・JL渋谷駅新南口:

     日下部篤也(1級)、パンダ(準2級)

20:31 五条悟(特級)文化村通り 道玄坂2丁目東に現着

20:38 五条が渋谷駅B1Fに到着

20:40 五条が渋谷駅B5F副都心線ホームにて特級呪霊らと交戦開始

21:14 真人が明治神宮駅B5F副都心線ホームより乗車し渋谷駅へ

21:22 改造人間が非術師を襲い始める。スタンバイ中の3班突入

21:26 偽夏油と特級呪霊らが渋谷駅B5F副都心線ホームにて五条封印後の獄門疆を囲んで会話

21:27 虎杖が七海に五条封印の旨を叫んで伝達

21:40 釘崎が文化村付近で重面と交戦開始

21:44 七海が渋谷駅13番出口側にて倒れている伊地知を発見

22:01 猪野、虎杖、伏黒が渋谷セルリアンタワー屋上にて呪詛師と交戦開始

22:02 冥冥が明治神宮駅-渋谷駅間にて蛯名に勝利

22:04 首都高速 セルリアンタワー前にて虎杖&伏黒が粟坂に勝利

 上記を踏まえると、ポイントは①19:00~20:14の間と、②21:27である。帳が降ろされて高専に通報がいき、作戦などを立てて~という時間を考慮して19:30ごろと仮定する。また、虎杖が五条封印を共有した後に誰かがそれを高専など外部機関に連絡したとして21:30と仮定。とすると…東堂が京都から向かったとして到着するのは、21:00~23:00といったところか。ちなみに36話時点では、22:02頃までのエピソードかと思われる。ということは、東堂はもう現着しているorあと一時間くらいで来るのどちらかである。後者とした場合、渋谷事変は言わずもがなバトルがメインで1バトル数分~十数分で終わると仮定すると、登場はまだまだ先かな~と言ったところだ。

■次回、第37話について

 次回は棘が登場するようだ。2期では初登場となるので楽しみである。そして何と言っても目玉は虎杖vs脹相であろう。脹相は今まで、最低限加勢してますよとポーズを取っていた程度なので彼の本気が見られそうで楽しみである。虎杖が加茂と交戦経験がないので特に彼からのリアクションはなさそうだが、脹相の技にも注目していきたい。タイトルも加茂の使っていた赤鱗躍動の”赤鱗”ということもあるが、今のところ加茂と同じ赤血操術という術式を使っている。加茂家との関連性なんかも垣間見える部分がないか、目を凝らしてリアタイしていきたい。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より

芥見先生のコメント

■アニメーターさんの投稿

 

以上。