【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第34話「昏乱」の感想など

 9/28(木)に呪術廻戦2期第34話が放送されました。いつも通り、アニメ勢の筆者が感想や考察などを語っていきます。

※下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本11巻 第91話 渋谷事変⑨ p.52の3コマ目~

        第93話 渋谷事変⑪まで

ファーストインプレッション

 ストーリーは依然シリアス展開ではあるが、場面転換も多くテンポもよく、ヒヤヒヤ&ワクワクするような1話であった。ここからどんどん盛り上がっていくであろうことがビシビシ伝わってくる。

 特に虎杖が「ナナミーーーン!」と叫ぶシーンは声を出して笑ってしまった。筆者も渋谷でナナミンコールしたい。あと、伊地知さんを何回も刺した重面は絶対に許さない。ナナミンに助けてくれ~と縋りつきたいが、特大フラグとしか思えない台詞を吐くものだから絶望である。五条先生は獄門疆の中でふんぞり返っていたが、もう少し焦ってくれ…という気持ち。

ストーリー構成

 ほぼ原作通り。

シーンごとのメモ等

・アバン:ミニメカ丸と虎杖たち

 今回はミニメカ丸の立ち上げ画面っぽい演出から、虎杖の耳にミニメカ丸がくっつき、「五条悟が封印された」という知らせを受けるところからスタートした。

・アバン:五条vs偽夏油(寄生体)たち

 こちらサイドは「おやすみ五条悟。新しい世界でまた会おう」という台詞から始まった。「僕はな、オマエはそろそろ起きろよ」「いつまでいい様にされてんだ、傑」という声かけと共に夏油の手が自身の首を絞める部分には、死して尚夏油の意思が残っている事が分かって何とも言えない気持ちになった。

 欠伸をしてぽやぽやしている真人が可愛い。無量空処明けなのに、お昼寝から起きた子どもみたいである。そして寄生体が真人に声をかけ、”魂と肉体”に対する仮説を嬉しそうに提示するが、バッサリ切る真人。真人のこういう切り替えし、毎回面白いなと思う。

 そしてついに完全封印されてしまう五条。獄門疆が閉まるその最後まで、夏油の姿を目に焼き付けている姿が印象的だった。また、定員一名で五条が自死しない限り使用不可だという。話はズレるがこの場面、皆お顔が綺麗であった。そしてオープニングに入る。

・Aパート:虎杖&冥冥&憂憂、ミニメカ丸

 冥冥の「あの五条悟だよ?何を根拠にそれを信じればいい?」という台詞には、そりゃそうだよな~という気持ちと、やっぱり五条は”絶対に揺るがない最強ポジションである”…或いは”あるべき”ということを改めて実感した。気になっていたメカ丸の状況については、ミニメカ丸が説明してくれた。既に真人によって殺害されているものの、生前に残した保険が機能して今接触しているとのこと。保険とは「五条悟が封印された時」に限定して発動するもので、仕込んでいるのも3箇所に限定されたものだ。ミニメカ丸は冥冥と虎杖をシロと判断し、情報提供をした。死して尚活躍の場を与えられたメカ丸、芥見先生にすごく気に入られている気がする…。戦闘タイプも他の術師とは違ってロボット作品みがあったし、先生の描きたいものが詰まったキャラクターなのかもしれない。

 冥冥らのもとに敵が近づいていることがミニメカ丸から伝えられる。その後の冥冥の一連の所作が美しくて巻き戻して観返してしまう。髪を少し持ち上げる動き、目元のアップ、補助監督に電話する動き…どれも美しくかっこいい。五条の安否確認をしに行こうとする冥冥をミニメカ丸が止め、現状を伝えてくれる。渋谷には4枚の帳が降りているらしく、五条付近を中心に、一般人を閉じ込める帳、五条悟を閉じ込める帳、術師を入れない帳、一般人を閉じ込める帳と4層構造になっているという…。ミルフィーユかな?と思う位の帳の枚数だ。偽夏油の用意周到さが伺える。ミニメカ丸は作戦を彼らに伝え、虎杖には「地上から渋谷駅へ向かい五条が封印されたことを周知、そして五条奪還を共通目的にすること」、冥冥には「虎杖が地上へ抜ける隙を作ること、明治神宮駅~渋谷駅の線路を抑えること」を命ずる。「五条悟が消えれば呪術界も人間界もひっくり返る。済まないが命懸けで頼ム」と言う台詞からは事の重大さが伝わってきた。作戦が固まったところで、犬?を連れた呪詛師が向かってくる。

・Aパート:漏瑚&真人&脹相&偽夏油

 寝起きのぽやぽやした漏瑚と脹相。ちょっとかわいいのやめてくれ…。まるで引率の先生のように「全員起きたね^^」とほほ笑む偽夏油。言葉を続けようとするも、突然獄門疆の質量が増加し地面にめり込む。獄門疆についている瞳が蒼色に変わり、真が周り涙が溢れて目も充血している。最初、「エッ!五条先生の心情反映?!」と思ったが、これは”五条悟”という情報を処理しないといけなくなった獄門疆が苦しんでいる画であろう。突然物凄い量の情報が物凄い勢いで処理しないといけなくなってオーバーフローになっているのだ。獄門疆も気の毒なものである。そして獄門疆の中で優雅にふんぞり返っている五条先生、アイマスクをぺしぺししながら余裕の表情である。物理的時間は流れていないようなので、この中で餓死してしまうことはなさそうだ。「まずったよなぁ、色々とヤバイよなぁ…ま、なんとななるか。期待してるよ、皆」と、一年ズを思い浮かべながら言う五条先生。まずっているし色々とヤバ過ぎると思うし、なんとかならなさそうな雰囲気でしかしない。…が、中村悠一さんの「期待してるよ、皆」の言い方から一年ズの事を信頼していて、想いを託していることがよく伝わってくる。五条先生のこういう所が憎めないのである。早く出てきて欲しいが、解放される頃にはもっと地獄になっていそうで怖い。

・Bパート:待機する呪術師たち

 21:22に日下部、禪院、ナナミンとそれぞれ待機していた3班が突入することになった。改造人間が非術師を襲うようになったからだ。彼らも異変には気付いているようだ。上着を脱ぎながら前を進むナナミンの背中には、思わず「ナナミン!!!!」と謎の歓声を上げてしまう。

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より

 補助監督の新田さんと連絡を取る伊地知さん。適格に電話で指示しながらも他の補助監督にメールを打つ姿には、彼の有能さを伺える。そんな伊地知を背後から狙うのは重面。彼を背中から何度も刺し、伊地知は地面に伏してしまう。帳の外で待機するように連絡を受けた新田さんは、通話中であったため伊地知の異変に気付いたのではないだろうか?伊地知さん無事でいてくれ。そしてなんとなんと、重面に同行していたのはあの謎の白髪おかっぱの子であった。「帳の外でスーツの人間を狩り続けて下さい」と穏やかに伝え、ついに声まで明かされた。斎賀みつきさんがお声を担当されているということで、容姿には反して中性的でかっこいい印象になった。どういう立場の人物なのか気になってしょうがない。名前も明かされていないので、今後に響く重要人物であろう。

・Bパート:漏瑚&真人&脹相&偽夏油

 地面にめり込んだ獄門疆について、偽夏油は「封印は完了している。だがまだ五条悟という情報を処理しきれていないんだ。暫くは動かせない」と説明する。その様子を見ていたミニメカ丸は真人によって破壊され、それ以上の監視は不能となった。

・Bパート:ナナミンコールをする虎杖

 すかさず虎杖に状況を告げるミニメカ丸。「奴ら封印した五条を、地下5階から動かせない」「なんで!!「五条悟だからだ!!」のやり取りはちょっと笑ってしまった。また、帳内に入った虎杖の一連の戦闘シーンは圧巻だった。虎杖の迷いのない攻撃、その動作一つ一つが俊敏で重みがあってかっこいい。呪霊が建物内から外に出る部分が特にすごかった。呪霊目線で揺れがあり、カメラワークがすごいなと感動してしまう。ひょいひょいと呪霊を倒して建物の屋上に登る虎杖。スゥーッと息を吸って「ナナミーーン!!」「ナナミンいるーー!??」「五条先生がぁっ封印されたんだけどー!!」と叫ぶ姿には思わず声を出して笑ってしまった。こんな情報伝達方法ある???虎杖らしい、アナログな対応でちょっと癒された。そんなほっこりした気持ちは、七海のハッとした表情と「もし封印が本当なら終わりです。この国の全て」という台詞で一切無くなる。この緩急は呪術廻戦らしいなと感じる。

・Bパート:漏瑚&真人&脹相&偽夏油

 ところ戻って、再度偽夏油たちの視点へ。ここからの各々の動きが明確にされる。分かりやすい様に箇条書きにまとめておく。

夏油:渋谷駅 副都心線ホームに留まる(目的:獄門疆のお守り?)

脹相:①虎杖と野薔薇を殺害する(目的:弟の敵討ち)

   ②残りの呪胎九相図の回収(目的:弟たちの解放?)

漏瑚:宿儺に指を献上する(目的:宿儺の復活、呪いの時代)

真人:虎杖の殺害(目的:自分の欲求のため)

※脹相、漏瑚、真人の共通ターゲットである虎杖に関しては、早い者勝ちとする。

 脹相と呪霊たちについては嘘偽りなさそうだし、本当に上記のように行動するであろう。漏瑚の「呪いが人として立っていればそれでいい」という思いと、それに真っすぐに向かう姿勢が改めて描かれており、漏瑚というキャラの憎めなさを実感した。こういう真面目さが魅力的だ。一方真人は「欲求のままに行動する」をモットーに生きている。そのための柔軟な思考、そして言葉にも真人の良さが詰まっている。

 しかし、偽夏油についてはなんとも言えない。この人物は平気で嘘を吐くだろうし、何を考えているかも何をしでかすかも分からない。実際、真人が「どうする?」と声をかけると「私は獄門疆を見てないといけない、遠慮させてもらうよ」「好きにするといい、私にとって宿儺は獄門疆が失敗した時の代案に過ぎない」と言う。この時の真人と夏油の表情、そして演出から真人は偽夏油を信頼し切っていないし、偽夏油もまた然りなのだという事が分かる。正直真人たちよりこの寄生体の方がよっぽど質の悪い敵なので、ちょっとだけ呪霊たちを応援したくなる。と言ってもこの何を考えているのか分からない、嘘と真実を混ぜ込んで喋っているような胡散臭さ…恐らく呪霊たちも偽夏油(寄生体)の思うがままなのだ。単に泳がされているだけであろう。

・Bパート:偽夏油vs枷場菜々子&美々子

 呪霊たちがわちゃわちゃして去っていった後に登場したのは、あの枷場菜々子&美々子であった。寄生体に協力し、非術師を落とし続けたので約束通り夏油の身体を返せと迫っている。寄生体は「返すわけがないだろう」「次術師と約束する時は”縛り”であることを明確にするんだな」と冷たく返していた。旧・夏油一派は恐らく夏油の身体が乗っ取られていることを知っていて、夏油の身体と引き換えに協力してきたのだろう。その実、果たされることのない約束だったわけだが…。「夏油様をこれ以上玩ぶな」という双子の台詞は、我々視聴者&読者の気持ちも乗っているようであった。最後に残した「後悔か、さてどんな味だったかな」のシーンは、獄門疆の瞳に映る偽夏油の姿と櫻井孝宏さんの演技も相まってなんだかゾッとした。ほんとその姿でこれ以上悪さをしないで頂きたい…。

・Bパート:虎杖&恵&七海&猪野

 もやもやしているところに、可愛さが振り切っている虎杖サイドとなる。まだナナミンコールをしており、恵が頭をチョップしてやっと止まった。そしてミニメカ丸が4人に情報を伝達する。特になんでもないのだが、七海が「夏油さんが?」というところが地味に好きである。そしてここからの各メンバーの動きは下記だ。

 七海:帳外に出て伊地知と合流し、七海にしかできない要請を済ませる

 虎杖&恵&猪野:”術師を入れない帳”の解除

そして「2人頼みます」「…はい!!」の七海と猪野のやり取りはなんだか泣きそうになった。ナナミンは覚悟が決まっている様子だ。不穏な空気しか感じない…行かないで…。

 そして猪野と後輩ちゃんズのスリーマンセルが結成される。猪野が五条封印に対する事の重大さを説明してくれる。

五条サンがいなくなって困る2つのこと

 ・五条家の失墜:五条が通していた融通で救われていた者たちの立場が危うくなる(虎杖、乙骨も該当するか?)

 ・パワーバランスの崩壊:五条悟の存在で抑制されていた呪詛師や呪いたちが暴走する

 →上記2つを相手にした場合、呪術師サイドは負ける&最低でも日本では人間の時代が終わる可能性大

 改めて五条という存在がいかに重要なのか痛感させられる。五条がいなかったらとっくに呪いの時代になっていたかもしれないが、1人の力が強過ぎるが故、バランスが悪い体制であることには変わりない。五条が心配になってくるシーンである。猪野が「いくぜ後輩ちゃんズ!!七海サンが戻る前に”帳”をぶっ壊す!!」「五条悟を助けるぞ!!!」と言いながら気合を入れるシーンには胸が熱くなった。

・Cパート:呪詛師たち

 初めて登場する、個性的な呪詛師たちがCパートで出てきてびっくりした。PVで虎杖と恵と戦っていたおじさんがいるので、敵サイド(偽夏油側)であろう。

考察・疑問など

・五条は夏油の状況についてどう解釈しているのか?

 五条は夏油に対して「オマエはそろそろ起きろよ」と告げた。意味もなくこんな事は言わないはずである。五条は自身の魂と六眼から得た情報をどう解釈してこの言葉をかけたのか、大変興味深い所である。

寄生体「おやすみ五条悟。新しい世界でまた会おう」

五条 「僕はな。オマエはそろそろ起きろよ

五条 「いつまでいい様にされてんだ、傑」(単行本11巻)

・偽夏油(寄生体)の興味、加茂憲倫との関連

 先の五条や真人とのやり取りから、彼は未知の事に触れる事ができて嬉しそうである。また「術式は世界か、いいね素敵だ」という台詞からも、なんとなく術式に対しての探求心や好奇心などを感じた。分かりやすく言うと、呪術オタク…のような気配を感じる。

そしてここで思い浮かんだのが加茂憲倫である。加茂憲倫については、アニメでは偽夏油が説明しており、彼の知的好奇心により呪胎九相図が生まれたと述べている。また「多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す」とあるので、彼もまた呪術に対しての執着があったと予想できる。つまるところ、加茂憲倫は悪い意味で知的好奇心の塊のような人物で、自分の知識欲のためなら何でもするといった性格だったのではなかろうか?

 寄生体と加茂憲倫との関連性は全く説かれていないが故まだ妄想段階ではあるが、やはりこの二人には何か重要な繋がりがあるとしか思えない。寄生体が加茂憲倫の身体を乗っ取っていたのか、それとも加茂憲倫こそがこの寄生体なのか、はたまた別の関連性があるのか…まだ謎は深いが、このトピックについては今後も目を光らせておこうと思う。それにしてもこの史上最悪の呪術師と同じ名前を付けた(漢字は違うが…)加茂くんの名付け人は一体どんな人物なのか気になってしまう。

寄生体「あっはっは、凄いな初めてだよこんなの」

寄生体「真人、見てくれ。君は肉体は魂の先に在ると述べたが、やはり肉体は魂であり、魂は肉体なんだよ

寄生体「でなければこの現象にも、入れ替え後の私の脳に肉体の記憶が流れてくるのにも説明がつかない」

真人 「それって一貫してないといけないこと?俺と夏油の術式では世界が違うんじゃない?

寄生体「術式は世界か…フフ…いいね素敵だ」(単行本11巻)

ナレーション「明治の初め、呪霊の子を孕む特異体質の娘がいた。呪霊と人間の混血、異形の子。身に覚えのない懐妊に始まり、親類縁者からの風当たりは常軌を逸し、彼女は子の亡骸を抱え山向こうの寺へと駆け込む。その寺は呪術師が開いたものだったが、その時点で彼女の運は尽きてしまう」

ナレーション「加茂憲倫、多くの呪術文化財と共に史上最悪の術師として名を残す、御三家の汚点。彼の知的好奇心は呪霊と人間の間に産まれた子の虜となる。九度の懐妊、九度の堕胎。それらがどのように行われ、その後彼女がどうなってしまったのか、一切の記録は破棄されている」(単行本7巻)

・偽夏油(寄生体)にとってのリスクは?

 現状、偽夏油(寄生体)の思惑通りに進んではいるが彼の行動を阻害する可能性のある要素をまとめてみようと思う。余りにも状況をコントロールされているので、どうにか弱点を見つけたい一心である。

1)旧・夏油一派

 今回双子が寄生体に怒りを表していたように、呪術廻戦0で登場していた夏油一派と呼ばれるメンバーは恐らくこの寄生体の存在に気づいており、夏油の身体の解放を志して動いていそうである。全員とはいかないかもしれないが、夏油に助けられ、尊敬していた人物は間違いなく仇を取りにくるであろう。ただし、寄生体の方が優勢のように思える。何故なら一派は夏油の身体を傷つけることはできないであろうということと、中身は違うものの姿形・声・記憶も本人同様のため夏油を想っている人物であればあるほど対峙するだけで精神的ダメージが大きくなるであろうという理由からだ。でも夏油を想う視聴者としては前のめりで応援したくなる。頑張ってくれ!!!!

2)夏油本人の意思

 トリガーが不明だが(五条の存在は大きな影響を与えそうだ)、寄生体にとっては予測不可能であろう。リスクとしては一番大きそうだ。

3)特級呪霊たち&脹相

 真人&漏瑚&脹相が虎杖狩りをしようと躍起になっているし、今後も彼らの信念に沿って行動するであろうということが予想される。寄生体の目的に反した行動を取ろうとしているが、この点は夏油も想定していたと思うので特に問題にはならなさそうだ。それだけ対応策も用意済のように見える。ただし、中でも真人は寄生体に意味深な視線を寄こしていたり、一番柔軟で狡猾な人物なので全て寄生体の思い通りに丸め込まれてしまうのはかどうだかな…という感じであるが…なかなか呪霊たちにとっては厳しい状況が待っていそうである。

4)五条悟

 五条先生は現状獄門疆に閉じ込められてしまっているが、五条悟が故の何かしらの想定外が起きる可能性もあるし、寄生体のタイミングで解放された後に自身を狙われる可能性も大いにある。前者においては、筆者としてはなんかミラクル起きてくれ~という気持ちだ。後者は前回も書いたが、自分にとって不味い状況にならないから五条をいいタイミングで解放するはずなのでリスクにはならなさそうだ。

5)その他術師

 こちらも前回書いたが、特に虎杖・乙骨・秤は五条の一押し生徒であることと寄生体の想定や予想を大きく上回りそうということでリスクになり得るであろう。

6)両面宿儺

 挙げてみたものの、宿儺に関しては上手くやりそうである。宿儺を引き込むことについては五条封印よりも算段がしっかりありそうな気がしている。

・偽夏油(寄生体)の目的は?

 ほぼ毎話、この寄生体の目的について考えているが…今回この台詞から、寄生体にとっては両面宿儺の引き込みの方がメインに近いのではないかなと感じた。少なくとも、”獄門疆が失敗した時の代案”程度の目的ではないであろう。本当に胡散臭い。

真人 「夏油はどちらかと言えば漏瑚派だろ?どうする?」

寄生体「私は獄門疆を見ていないといけない遠慮させてもらうよ」

寄生体「好きにするといい。私にとって宿儺は獄門疆が失敗した時の代案に過ぎない」(単行本11巻)

夏油「戦争の前に2つ条件を満たせば勝てるよ」

  「五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺、虎杖悠仁を仲間に引き込む」(単行本2巻)

夏油「宿儺の動きがさ、少し私のイメージとズレる。これは推測でしかないんだけど、恐らく学生の中に宿儺にとっての地雷がいる。それを踏めば最悪今回の行動全てが台無しになる

漏瑚「先に虎杖だけ攫ってしまえばいいだろう、どの道使う駒だ」

夏油「いや虎杖…宿儺自身もまた爆弾だ。私達にとっても高専にとってもね。刺激するタイミングはより混乱が求められる時にしたい

夏油「10月31日渋谷、五条悟の封印のために利用できるものは温存する」(単行本7巻)

 そして、双子曰く彼女らは夏油の身体を解放する代わりに、非術師を落とし続けてきたと言っていた。という事は、この寄生体にとって非術師を落とすことは利益に繋がるということである。目的にも関連するであろう重要な情報だと思われる。この”落とす”が具体的にどういう意味なのかまだ不明だが…夏油がやっていたように、呪いを収集するため・資金の調達のための2つの目的で落としていたということであろうか?それともまた別の事をしていたのであろうか?

双子「私達はオマエに協力し、非術師たちを落とし続けた。約束通り夏油様の身体を返せ

双子「夏油様をこれ以上玩ぶな」

寄生体「返すわけがないだろう。君達の頭まで空っぽにした覚えはないんだがね。次術師と約束をする時は”縛り”であることを明確にするんだな」(単行本11巻)

・おかっぱ頭の呪詛師

 素性不明、台詞もなし、名前も分からない…で、今のいままで謎だらけだったこの呪詛師、今話で確信したが、かなーり重要人物であると思われる。恐らく、寄生体が組んでいる呪霊・呪詛師の中で一番重要なポジションではなかろうか?役者さんが斎賀みつきさんというだけでも底知れぬ強さが漂っている…ような気がしてしまう。服装や喋り方まで全部がなんか怪しい。参謀ポジションっぽいというか何というか…。

・五条先生の危うさについて

 獄門疆に閉じ込められても、偉そうにふんぞり返っている五条先生。ちっとも慌てなくてこの人なんなんだ…と思ってしまった。余裕そうな態度や、1年ズを思い浮かべて「期待してるよ」と言ってくれるところには温かみと安心感を覚えるのだが、1年ズを始めとした五条の可愛がっている生徒たちも無事でいられる保証は1mmもないのだ。酷い傷を負うかもしれないし、最悪死に至る可能性も十分にある。何というか、五条は色々な物事に対する物差しがどんぶり勘定になっているように思える。特に身内には甘いというか…。自身が”最強”が故であろうか?

 事実、五条の後輩でありサポートをしてくれていた伊地知さんは重面に深手を負わされてしまったし、散々可愛がってきたナナミンだって特大フラグを抱えているのだ。五条の”身内への過大評価”がなんだかとても危ういなと思う、今日この頃である。

 ここで五条先生ってなんだか大事なところで運がないような…そんな印象がパッと浮かんできた。ということで、ちょっと整理してみようと思う。

■重要な分岐点での五条の選択

※ただし、需要と判断した基準は筆者の独断と偏見である。

高専時代

 ・天元の命に反対する(天内の安全のために高専に連れていくべき)→△(反対したのは〇だが、結局夜蛾や夏油の意見に押し切られるので△)

 ・天内の黒井に寄り添いたい気持ちに応える→△(高専に連れていくべきだった)

 ・天内のために沖縄滞在を延長する→×(結果五条の体力が削られ、甚爾に深手を負わされる)

 ・高専について術式を解いてしまった→×(高専の結界内なら大丈夫、賞金のタイムリミットを過ぎた、夏油がお疲れ様と声をかけたことで慢心してしまった?)

 ・天内が同化を拒んだ時は天内の意思を尊重する→??(実際不発に終わった)

 ・教職を目指す→未

 ・恵ら姉弟を引き取る→未

呪術廻戦0

 ・上層部の反対を押し切って乙骨憂太を高専で預かる→未

 ・夏油のいる高専へパンダと棘を送る→〇(真希、パンダ、棘が深手を負ってしまったが、乙骨の覚醒を促した)

 ・夏油の遺体処理を硝子に任せなかった→△(正直、硝子に任せていたとしても寄生体は夏油の身体を探し出したと思う。時間が少しかかるくらいの違いと思われる)

呪術廻戦

 ・恵に宿儺の指の回収を任せる→×(呪いの王の魂なのだから、特級術師が対応すべきだった)

 ・恵の私情(虎杖を生かしたい)に応えた→未

 ・宿儺と約束を交わしてないか虎杖に聞く→△(疑ってくれたのは〇だが、もう少しシビアに考えてほしい)

 ・虎杖に七海をつけたこと→〇(虎杖のサポート役として最適任者だったと思う)

 ・真っ先にくみやじゅうぞうを狙ったこと→×(本丸の真人を先に仕留めるべきだった。次いで重面、花御、くみやの優先度だったと思う)

 ・単独で花御に虚式-茈-を撃ったこと→△(芥見先生曰く東堂との連携ミスとあるが、東堂の術式を知り得ないので仕方がないと思う)

・非術師を守るためにターゲットを改造人間に絞ったこと→×(本当は非術師を犠牲にしてでも特級呪霊たちを倒すべきだった。でもどの道偽夏油が現れるので同じ結果になっていたとも思う)

・夏油の姿を認めて足を止めてしまったこと→△(逃げるべきだったが、五条の過去を考慮すると仕方がない)

 なんだかこうやって振り返ると、芥見先生にいじめられているのではないかと思う位、不憫な道を辿っているではないか。五条がいつも飄々としているし自他ともに認める最強ポジションだから深く考えずに受け止めていたが、なんだかこう…重要な分岐点で運がなかったり、どの道その運命だった…みたいなパターンが多いように思える。芥見先生は、呪術廻戦の制作に当たって「ストーリーや描きたい部分は決まっている。」みたいなことを仰っていたが、そのシナリオに”本当に大事な時には本領発揮できない最強ポジションを描く”ということが書いてあるんじゃないかと思う位、なんだか不穏な臭いがする。今までは、”自他ともに認める最強ポジションを最後まで押し通す”というコンセプトがあるのではないかと思っていたが、どうも最近きな臭い。というのも、五条先生の彼の過去などから人間性が明かされてしまったからだ。五条は実はハートの熱いタイプで荒々しい本性を抱えているので、”情”には意外と弱い面があるのだ。そういう面が知れるのはファンとしては非常に嬉しいのだが、最強というポジションにおいて、そして彼の呪術界における重要度を考えると非常に危ういのだ。

・伊地知さんは無事か?

 伊地知さんを後ろからめった刺しにした呪詛師・重面。絶対許さんぞ!!!!と思ったのは筆者だけではないはず。深手を負ってしまったと思うが、これでさよならなんてことにならないでほしい。生きててくれ伊地知さん…!!!

・ナナミンが危なそうで怖い

 単刀直入に言うと、ナナミンに強いフラグが立っている。「2人を頼みます」の表情と、言い方、そして単行本ではフォントも強調されている。更にナナミンにはこれまでもフラグが色々立っているのだ。芥見先生、これ以上嫌な予感を濃くしないでくれという気持ちである。ナナミンなんとかしてーーーーっ!!!と長い脚に縋りつきたいが、同時にナナミン行かないでーーーーっ!!!とも思うのだ。情緒不安定。

おまけ:真人の魅力

 少し脱線するが、皆さん真人はお好きだろうか?状況が変われば考えが変わるかもしれないが、今のところ筆者は真人のことが結構好きである。その理由はいろいろあるのだが、その一つに彼の考え方やそこから出てくる台詞にあると考えている。今回では、寄生体とのやり取りや漏瑚とのやり取りが面白い。こういう真人の切り替えしが、彼の魅力だなと思うのだ。小説「逝く夏と還る秋」にも真人のエピソードが載っているので、まだ読んでない方にはぜひおすすめしたい。ちょっと話はズレるが、こうみると漏瑚も真面目で良いキャラだな~と思う。”表裏のない存在”という言葉が作中で繰り返し出ているところに、彼の軸をそこに感じる。呪術廻戦は敵味方、皆味がギュッと詰まっている。

寄生体「真人、見てくれ。君は肉体は魂の先に在ると述べたが、やはり肉体は魂であり、魂は肉体なんだよ

寄生体「でなければこの現象にも、入れ替え後の私の脳に肉体の記憶が流れてくるのにも説明がつかない」

真人 「それって一貫してないといけないこと?俺と夏油の術式では世界が違うんじゃない?

寄生体「術式は世界か…フフ…いいね素敵だ」(単行本11巻)

漏瑚「死すら恐れず目的のために裏表のない道を歩む、それが偽物共にはない呪いの真髄だ」

真人「違うっしょ、軸がブレようと一貫性がなかろうと、偽りなく欲求の赴くままに行動する。それが俺達呪いだ」(単行本11巻)

■次回、第35話について

 予告動画をいつも通り低倍速で見てみたが、来週は後輩ちゃんズと猪野の戦闘が見られそうだ。猪野の戦闘シーンは呪術廻戦0でほんの少ししか出ていなかったので、彼の能力と戦闘スタイルに注目していきたい。虎杖と恵のしっかりした共闘は今まであまり見られなかったので、そこも楽しみである。なんだかこの3人は相性も良さそうだし、どんな会話をしてどんな戦い方を繰り広げるのかワクワクする。頑張れ!後輩ちゃんズと猪野パイセン!!そして伊地知さんとナナミンは無事でいてくれ!!!

出典:TOHO animation チャンネル, TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」第2期PV第3弾(URL: https://youtu.be/PKHQuQF1S8k?si=DhwVjHwoKOZTPnUY)より

芥見先生のコメント

■アニメーターさんの投稿

 

以上。