【呪術廻戦】アニメ勢による2期 第27話「懐玉-参-」の感想など

 先日7/20(木)に呪術廻戦2期第27話が放送されました!今回はまぁ~~~~とんでもない回でしたね。感情を端から端まで全速力で行き来させられるような、情報力の多い話になっていました。アニメ勢としては、「混乱」の一言に尽きます。

 

※下記より、アニメ呪術廻戦・アニメ放映分の単行本のネタバレ及び、筆者の感想&考察要素を含みます。※

 

参考)単行本で言うとどの部分か?

 単行本8巻の、第70話 懐玉-陸-~9巻の第72話 懐玉-捌-までが第27話の範囲。

 

ファーストインプレッション

 観終わった後は、脳内大混乱。第27話、絶対1話分の内容じゃないと思った。普通、数話かけてフラグ張ったり回収したりしながら描きそうな内容を全部1話でまとめちゃっているのだ。突然の沖縄で「何これ?」となり、高専ナナミン&灰原の初登場にテンションがブチ上がり(でもさほど喋らず)、沖縄シーンが美しい思い出過ぎて怖いな~怖いな~と思っていたら高専帰ってきてすぐ五条刺されて「ちょっと待ってくれぇ」となり、五条の幼少期の絵が出てきて「え!!やだ、幼少期なんて見ていいの?!」と浮足立っていたら、甚爾強すぎ&動き速すぎだし五条ズタズタにされるし…夏油&天内&黒井サイドになっても、天内と黒井の離別シーンにうるうるして更に夏油と天内のシーンで涙がじんわり出てきて、「理子ちゃんよかったね…」と思おうとしたら、天内が撃たれて倒れるのだ…そりゃあ嫌な予感はむんむんにしていたが、まさか撃たれるとは思っていなかったので涙も引っ込んでしまったし、怒涛の展開に溺れそうである。情緒が全く安定しない、そんな回だった。

※下々先生のテンションが視聴者と全然違う

 

ストーリー構成

 今回、話の展開は完全に原作通りであった。

 

シーンごとのメモ等

・冒頭

 敢えて視聴者を「???」という状態にさせるために敢えてアバンで沖縄導入部分までやったのだと思う。原作もあんな感じなので、きっと原作勢の方も「めんそーれ」の見開きページを見たときは「ハァ?」となったはずだ。あの唐突感を演出するために、アニメではああいった形にしたのでは…と推測。黒井さん奪還に至るまでひと悶着あると思いきや、あっさり終了だった。怒涛の勢いに流されてしまいそうになるが、このアバンでは夏油は責任感が強いこと(黒井さんが人質に取られた原因が自分にあるとかなり悔やんでいる。)や、五条の情の深さ(天内が黒井奪還に着いていきたい=黒井を助けたい&できるだけ一緒に過ごしたいという気持ちを汲み取っている。)も垣間見える。こんなに忙しいアバンは初めてだ。

 

・沖縄

 沖縄パートは、青春一色で本当に怖かった。例えアニメ勢であってもその先に地獄が待っていることだけは分かるので、こんなに美しい思い出シーンを見せられるとどんどん構えてしまう。(もうホラーです。)

 五条が術式(六眼の力?)を常時展開させていて気を張っているのに、天内たちの前ではそんな素振りを一切見せていない。天内に残された時間を目いっぱい楽しんでもらうための心遣いだろう。一見粗暴で不真面目に見えるが、他人のためにここまでできるのは良い子以外何者でもない。感心してしまう。1期では五条の感情の機微や行動の動機などが分からない部分が多かったので、2期でこうして人物の深堀がされていくのが大変嬉しい。1期~劇場版までは、「飄々としてるけど意味わからんくらい強い、顔の綺麗な先生」という印象でしかなかったが、そこに至るまでの過程や、高専時代の五条をじっくり堪能してしまっては2期を見終わる頃には私も五条推しに転じているだろう。

 ナナミンと灰原の登場シーンも見逃せない。2期では初の登場なのに、七海はめちゃくちゃ嫌そうな顔で「え!ナナミン高校生の頃から渋っ!かわいい!!」となったし、灰原はめちゃくちゃ明るくて七海と温度差があっていいコンビだなと思った。嬉しいシーンなのにこんな事を考えるのも嫌だが、灰原が夏油にものすごく懐いていることが分かる。そしてものすごくいい子そうである。でも夏油が離反するのは確定しているし、1期や劇場版時点で灰原が全く登場していないことや、いい子過ぎて不穏という要素が働いて、灰原の未来がとんでもなく怪しい。あんまり想像したくないが、夏油のメンタルを沈ませるイベントに灰原が関わっているだとか、堕ちてしまった夏油に何かされてしまっただとかそういう可能性を臭いもしないのに嗅ぎ取ってしまう…。怖い。芥見下々先生は鬼だと思っているので(褒めている)、こうやって想像して予防線を張って覚悟しておかないとこちらのメンタルがやられてしまう。

 その後の沖縄のシーンも大変美しかった。原作では3ページだが、それぞれのコマを膨らませて天内たちにとってのかけがえのない思い出が丁寧に描かれている。ここは原作通り台詞はなく、BGMと映像のみという演出だったのも素敵だった。(劇場版で出てきたソーキそばのカットもありましたね。)

 

高専へ帰還

 高専へ着き、五条が術式を解いた瞬間にザクリである。原作は高専について描写~術式解除までがわずか2ページで、次を捲るともう伏黒甚爾が五条を刺している。「もう沖縄終わりか~解いちゃって大丈夫?」と思ってる途中で刺されていて、待て待て待てとなった。無駄な引き延ばし等一切ない、呪術廻戦らしい展開だなと思った…。ちなみにアニメでは若干10分でこのボリュームだ。まだ半分も行ってないけど?!と混乱したし、もうこの時点で温度差で風邪を引きそうであった。

「アンタどっかで会ったか?」「気にすんな、俺も苦手だ。男の名前覚えんのは。」というやり取り、台詞の言い回しがかっこいい。そして、2話で“恵”のことを「誰だっけ」と言いのけた甚爾。この台詞は、恵の件にもかかっていそうである。(それにしても、近しい関係の子くらいは覚えるだろとは思うが…それだけろくでなしなのか、わざとなのか…よく分からない。)

 

・五条vs甚爾

 作画がやばすぎる。絵の綺麗さやスピード感はもちろん、五条がまだ洗練されていないことや甚爾の戦闘経験・センス・パワーどれをとっても五条が及ばない感じも伝わってくるとんでもないパートだった。凄すぎて、なーんだこれという気の抜けた感想しか出なかった。毎回思うが、呪術廻戦に関わっているアニメーターさんは実際に観て撮影してきたんですか?と思うくらい、臨場感・没入感に溢れる絵をお描きになる…。私のような素人にはどう表現していいかも全然分からないが、本当に素晴らしいと思う。カメラワーク等も凝っていて絵作りがお洒落だし、何かもう人が一つ一つ描いているのが信じられないくらい。キャラクターが目の前で生きているように見えるのだ。どうやって作っているのか本当に気になる。絵コンテなどで骨子は作ってそれを基に描いていくのだろうけど、その絵コンテもセンスや想像力が必要だろうし、また更に原画を書く際にはもっと細かい粒度で動きを決めて表現しないといけないと思うので、もう本当にお一人お一人が職人でアーティストだなと思う。いやほんとすごい。特に日常生活では見ることのできない戦闘シーン等は参考にする資料もないだろうから、どうやって絵に落とし込んでいるのか不思議でならない。モーションをアウトプットできるツール等あるのだろうか…まぁあったところでその動きをさせる部分にセンスが必要だろうが…。普通に気になる。凡人には想像にも限界があるのでちょっと頭が痛くなってきた、いつかどこかで公開してくれたりしないだろうか…。

 また、今でこそ最強と謳われていて、すぐ煽るしお茶らけてるし、ちょいと手を動かせば特級呪霊も吹き飛ばせる存在だったあの五条が、汗をかいてやせ我慢をしながら戦っているのだ…!これは貴重である。中村悠一さんの演技も相まって、まだ完成されていない「五条悟」というのがしっかり伝わってくる。それと同時に、甚爾の桁外れな強さも浮き彫りになってとてもいいコントラストだなと思った。五条の術式を貫通する描写もよかった。

 そういえばこんなことを五条先生が言っていたなと思い引用。下記の「基礎でごり押し」は甚爾のことも含まれているのだろうな。

五条「悠二の体術に呪力を上乗せするんだ!下手な呪術よりもこういう基礎でごり押しされた方が僕は怖いよ~!さっきも言ったけど、肉弾戦の才能はピカイチだからねぇ!」(1期第6話より)

天元の下へ向かう夏油たち

 エレベータが地下に着き、夏油・天内・黒井の順に降りるのだが、3人の足の運びの違いもいいなと思った。天内は夏油に続いて一緒に出ていて、黒井は天内が踏み出して少ししてから足を振り出している。もちろん主従関係故という部分もあると思うが、それよりも下記の台詞に繋がるような、別れの時間が迫っていることや黒井が天内との別れを惜しんでいることが表現されているのではないだろうか。この二人は2話からの登場なのに、自然と涙が出そうになった。

黒井「私はここまでです。理子様…どうか…」

天内「黒井大好きだよ。ずっと…!!これからもずっと!!」

黒井「私も…!!大好きです…」

 

・夏油と天内

 ここは本当に辛いシーンだった。天内の希望を叶えてあげようという夏油と五条の温かいやり取りがあった事を知れたし、夏油が天内の本音を引き出す言葉をかけたことで天内も自分の本心を吐露出来たすごく心にくるシーンで…「ああ、理子ちゃんやっと本当の気持ちを言えたね。よかったね。夏油と五条たちに守ってもらいなね」と思おうとした瞬間、天内が頭を撃ち抜かれていたのだ…。ショッキングすぎる…。後述するが、ここ天内の台詞からエンディングテーマがかかるのだ…。何も知らないアニメ勢の私は、今回特殊エンディングなんだな~!と思っていた…。あまりにも…メンタルを抉りに来る演出ではなかろうか。「オマエみたいに隙がない奴には、緩急つけて偽のゴールをいくつか作ってやるんだ」という甚爾の台詞、「芥見先生とMAPPAさんさ、もしかして我々に向けて言ってます…?」と思うほど。今回、この甚爾の台詞をまんま表したような1話だったように思う。

 

最も印象に残った部分:エンディングテーマのかけ方

 すぐ上でも述べましたが、視聴者の心を殴りにいっているような凶悪(褒めている)な演出でしたね…。天内の本心を吐露するシーンにエンディングテーマも相まって「ああよかったね理子ちゃん、言えたね」と思って涙がポロっと出るところで銃声。これ原作勢の方大丈夫だったのでしょうか…。そしていつものように流れるエンディング。何でもない日常が描かれているのを見るのが辛い。うーん、地獄。

 

その他気になること等

・今後の地獄度合い

 今回で急に地獄の入り口に立たされたなという印象である。だって我々は知っているのだ…夏油がフラフラになるほどの精神状態になってしまう未来と、五条と夏油が決別する未来は確定していて、それに向けて今進んでいるのだから…。そう思うと、だんだんオープニングとエンディングを見るのが辛くなってきそうである。今でもしんどい。(遅効性の毒かな)こんなものを毎週見せられたら、寝られるのでしょうか…。曇っていく夏油を最後まで見届けられるのか心配になってきた。

 

・五条&天内&黒井の安否

まず黒井に関しては何とも言えないのだが、夏油の元に甚爾が襲撃しに来る途中で彼女と鉢合っているか否かが重要になってくる。鉢合っていたら、恐らく…かなり厳しい状況なのではないか。

 五条は相当な致命傷を負わされているが、五条がここで死んでしまっては1期で見た五条は誰なんだという話になるので生きていることになる。PVにも五条が覚醒するようなシーンがあったので、あの状態からまた甚爾と戦闘するくらいまでになるということだ。ただ発動中の術式解除という効果を発揮する呪具でズタズタにされているので、無下限呪術は無効=ガッツリ切られているという事になるはず。そんな瀕死状態からどうやって回復するのか…。今のところ治療と言えば反転術式が唯一の方法だと思うが、硝子か他の誰かの治癒を受けたor五条が自分で治癒した のどちらかであろうか?正直どっちもあり得そうとは思った。夏油の出した呪霊か検知され、異常事態が発生していることは高専内に伝わるはずで(時間の問題はあるが…)、五条の元に硝子がすぐ行ける状況であったのなら反転術式でケアを受けられるかもしれない。ただ、前回の硝子のヒューヒョイのシーンがあったことを考えると、五条がその場でやってみたら習得しちゃったなんて可能性もありそうだ。なんせ後に最強となる男だからだ。やろうと思えば何でもできそうである。呪具の効果発動条件が不明確ではあるが、反転術式をするタイミングがあれば命は繋げられるかもしれない。

 

・夏油vs甚爾

 この二人の戦闘も気になる。PVからすると後に五条も参戦するのだろうが、それまでは当然夏油が相手をしなければならない。天内を目の前で撃たれ、親友である五条の命も奪った甚爾に対して夏油はもう怒髪衝天の状態であろう。一方、甚爾は正直この2人より格上で戦闘経験&センスも勝っている。そんな相手にどうやって挑むのか…怖いけど楽しみである。

 そういえば、夏油が劇場版にて首に巻いていた呪霊は甚爾が使役しているものと同じ呪霊のように見える。戦闘中に奪ったのか、それとも甚爾を倒した後に取り込んだのかどちらなのかまだ分からないが、その辺も注目してみたい。

 

・甚爾の能力

 「呪力が全くない!!天与呪縛のフィジカルギフテッド!!動きがまるで読めねぇ!!」と五条も言っていて、既出キャラで言うと真希さんタイプということが分かる。ただ、首に巻いている呪霊を出したり引っ込めたりしているようだし(ということは呪霊は見えているということになる)…謎な人物である。真希さんは呪力を持たず呪いも見えない分、身体能力が高い。呪力は呪具、呪いが見えない点は眼鏡でカバーしている。甚爾の能力や戦闘方法は今後も注目していきたいところ。武器については、あの首に巻いている呪霊が保管してくれているのだと思われる。そういえば1期でそういう言及があったな…と思うなど。

パンダ「呪具の持ち運びかぁ…」

恵「得物で近接を補うのは賛成ですけど、術式上両手はパッと空けられるようにしたいんです。刀とかも鞘に納めるロスがあるし。」

(中略)

パンダ「物を出し入れできる呪霊を飼ってる術師とかもいるよな~!」

真希「それは無理だろ。レアだし。飼い慣らすのに時間もかかる…見つけたら私に教えろよ?」(1期第6話より)

ちょっと話は変わるが、この頃から恵がいる場で甚爾に関連する会話をしているのだな…と思った。ここまで来ると、恵はほぼ甚爾の息子と言っていいだろう…(違ったらどうしよう)。五条が引くほどのろくでなし感がもうちょっと出てくると確定するのだが…でももうだいぶろくでなしか…?

 

以上。